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タックさん

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お祭り改革委員会

15/09/06 コンテスト(テーマ):第九十回 時空モノガタリ文学賞【 祭り 】 コメント:6件 タック 閲覧数:1307

時空モノガタリからの選評

言われてみれば確かにそうだな、と思わされる指摘がするどいですね。お祭りの出店で売られているものは、冷静になれば高すぎる上に、普段なら買わないようなものも、なぜか魅力的に見えてしまうものです。皆薄々感じてはいても、口に出さなかった内容を、的確に鋭くつっこむ「お祭り改革委員会」委員長、その姿がコミカルで楽しい作品でした。

時空モノガタリK

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嘆かわしい! 
実に、嘆かわしい!
なにがって、決まってるでしょう! 
わたしはね、あなた方の危機感の無さ、想像力の無さに、怒り心頭なんです! プンプンなんですよ!
まったく、なんなんですか、あなたたちは! なに普通に、お祭りなんかしちゃってんですか、普通に屋台なんか、出しちゃってんですか! 不道徳ではないですか! そうは、思いませんか!
だからね、今日はこの場をお借りして、あなた方の認識を改めよう、あまつさえお祭りを変革してやろうと、こう思っているわけですよ! おっと、止めようとしても、無駄です、一気呵成に、改革案を話して差しあげますから!
ええ! 「お祭り改革委員会」委員長である、このわたしがね!

まず、金魚すくい、なんですかあれは! なんで、金魚なんかすくわせてるんですか! おかしいじゃないですか!
あのね、金魚は魚類ですよ、えら呼吸ですよ! それがあんな、息もできないような空中にすくい出されて、「あはは、すくえた〜、ピチピチしてる〜」なんて、笑われて! 残酷じゃないですか! 可哀想とは、思いませんか! しかもね、大体のお客さんが、その場のノリだけなんですよ! 大体の人が、すくった金魚の処理に困って、結局は無残にしてしまうんです! まったく、むごいじゃないですか! ねえ!
だからね、わたしは考えました! こうするんです! 
金魚を祭りに持ち込むのは、O・Kとしましょう、しかし、すくっちゃいけない! 可哀想だから!
なので、金魚すくいの網、あれポイっていうんですけど、そのポイの紙の部分をはずし、「金魚すくわない」とするのです! どうでしょう! そしてその穴あき網を、各自で水に浸し、金魚が穴を通るのを風流に楽しむのです! これなら、金魚も痛まず、店主も損がなく、お客さんも、わびさびが味わえる! 金魚すくいの、革命といえるでしょう!

次、わたあめです! あれもなんですか! なんであんな、フワフワしてんですか! 買っちゃうじゃないですか! 夢見がちな、女子が! 可愛らしい、幼児が!
あのね、あれはね、白い悪魔ですよ! 一見、フワフワと見せかけて、舐めたらベトベトになるのです、色々なところに、くっつくようになるんですよ! いいですか、想像してください、それをもし、付き合いたての彼氏とお祭りに来た女の子が、買ってしまったら! そしてもし、それが張り切って薄化粧したお顔なんかに、ベタベタと引っついてしまったら! その日のデートはもう、散々ですよ! ベタベタでグスングスン、悲しみながら、その子は帰るんです! そんな姿は、嫌ですよ!
でもこれは、なら買うなよ、なんて簡単な話じゃない、なぜなら女の子は、あのフワフワに吸い寄せられてしまうから、それが、女子であるのだから!
だったらこうしましょう! わたあめによく似せた「棒刺しコットン」を売り、それを見たり、時に触ったりしつつ、材料であるザラメを舐めるのです! これならベタベタもせず、甘さも堪能でき、デートも問題なく、遂行できる! どうですか! しかも店主には「棒刺しコットン」の売り上げも入り、幼児のベトベトがなくなることで、親御さんのお悩みも解決される! 抜群でしょう! 真っ先に、取り入れるべき案ですね!

――おっと、もうですか、もうこのやぐらも、囲まれてしまってますか!
なら、とっ捕まる前に、なるたけ言うとしましょうね!

カキ氷! これは高すぎる! ただの氷のシロップがけに、二百円〜三百円も、払いたくない! 損した気分になるんですよ! だからもう、根本的改革! カキ氷屋は素直に、あのガリガリするアイスを売りましょう! これなら舌も変な色にならないで済み、散財も、四分の一で助かる! 簡単でいいじゃないですか! 女性に優しい、改革といえますよね! 

次、射的! 危ない! なに、子供に発砲を見せてるんですか! 銃撃を、覚えさせてるんですか! 平和な日本に、相応しくない遊戯ですよ! ねえ! なのでこれは、平和的改革! 銃なんて出店に置かず、子供が指差し「おじちゃん、あれほしいんだけど♪」と言った場合はもう、その景品は、あげちゃってください! 無利益で! 無条件で! 子供への、奉仕と思って! これなら平和も保たれ、子供にも、自己犠牲が身につきます! 道徳的! 失った利益はきっと、未来への投資となりますよ!

――さあ、そろそろ、限界のようですね! おさらばの時間と、参りましょうか!
では、さらば! また会わぬことを、信じて! お祭りが普遍的なお祭りであり続ける限り、「お祭り改革委員会」はどこにでも現れますよ!


そうして。
「……なんだったんだろ、あの人」
やぐらから飛び降り、逃げていった後姿を、私はポカンと見つめていた。
きっと、改革案は一つも採用されないんだろうなあ、なんて思いつつ。


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このストーリーに関するコメント

15/09/06 クナリ

お祭りの場は、いろいろ冷静になって考えてはならないものも多いような気がします。
スーパーボールすくいとかも、すくってどうするのか…とか考えたもの負けっぽいですし。
きっとこの方は、まだまだ言い足りないのでしょうね(^^;)。
舞台がやぐらだと判明したとき、情景が目に浮かんで特に面白かったです。

15/09/06 murakami

おもしろい!

15/09/14 タック

クナリさん、遅くなり申し訳ありません。コメントありがとうございます。

なんですかね、普通に見てみれば「別に必要ないじゃん」と思うようなものでも、お祭りの場でそれを見るとものすごく魅力的に映るんですよね。ついつい散財してしまうような……。それもお祭りの一つの魔力なのだと感じます。
そうですね、彼にはもっともっと言いたいことがあったと思います。字数……もとい時間の足りないせいで少なくなりましたが、出来ればあと三つほど突っつきたかったなあ、と思いました。彼は。
構成も、もうちょっと上手くやれたなあ、と読み返してみて思いますね。彼は。それでも、面白いと言っていただき本当に嬉しく感じます。
ご一読、ありがとうございました。また、お読みいただけたら幸いです。

15/09/14 タック

村上さん、遅くなり申し訳ありません。コメントありがとうございます。

ありがとうございます! 
面白い、と言っていただけることが一番うれしく思います。
今後もこういった傾向のものを書きたいと考えていますので、その際はお読みいただけたら幸いです。ご一読、ありがとうございました!

15/09/14 タック

OHIMEさん、遅くなり申し訳ありません。コメントありがとうございます。

こちらこそ、いつもお読みいただきありがとうございます。
ギャグものは特に皆様の反応が気になりますので、OHIMEさんのコメントには救われています。本当に、ありがたく思いますm(_ _)m
「お祭り改革委員会」は未だ一つの実績もない会ではございますが、入会の門はいつでも開いているようです。よろしければ是非、ご一考ください。コメント、ありがとうございました!

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