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少女時代

12/08/04 コンテスト(テーマ):第十回 時空モノガタリ文学賞【 自転車 】 コメント:0件  閲覧数:1690

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 私たち5人組は自転車で高校まで行くことになった。新しい制服はグレーのブレザーで短いスカートが流行りだった。ウエストの所で幾重にも折ってスカートを着ていた。靴下も短めで白いものを身につけていた。もうひとつの流行りはリボンだった。髪にリボンを付けて、かわいいものが大好きだった。
 桜が咲く4月、5月までは、みんな5人がそろって、通学していた。部活がはじまると、そういう訳にもいかないので、朝は自転車を漕いで、雨の日は遠周りになるけれど、
バスを使っていた。
 私は生物部、桜子はテニス部、みちるは吹奏楽部、恵と真紀は野球部のマネージャーをやっていた。三年間の青春時代は輝いていた。きらきらに美しく。私は生物部の部長と手をつないで、帰ることがあった。部活見学のときに、先輩から「一緒に帰ろう」とみんなが居る前で誘われて、そのまま「帰ろう」と笑顔を向けている先輩にするすると吸い込まれるように、「はい」と言ってから、「僕たち付き合わない?」と突然言われて、驚いてしまって、「まだ出会ったばかりで、しかも今日会ったばかりの人とでは・・・」と聞こえるか聞こえないかの声になって言った。
 「だから、ひとめぼれだよ?一瞬で好きになったんだ」
 「そういうのは、信じないほうの人間なので・・・どうしたら?」
 私は自分の頬が熱くなっていくのを感じていた。うつむきながら、私は先輩が好きになっていくような、だんだんと好きになっていくような気持ちが育むまれるような恋をしていた。そして、黙っていた私に信号待ちの交差点で、先輩が私の顔を包むようになでてからキスをして「これで、優子は俺のモノだ」と言ってにこりとして、私が思いっきり鞄を先輩の足にぶつけると、そのまま追いかけごっこしながら、家路に向かっていた。
 桜子はテニススクールに6歳の頃から通っていたので、部活の中でも、抜群にうまかった。夏のコートで日焼きどめクリームを顔か腕や足に塗り替えししながら、いつもコートにいて、夕陽が落ちているのに、まだやっているテニス部の中から、桜子を見つけると手を振って、さようならの挨拶をしていた。
 みちるはトロンボーンをやっていた。小学校のときも中学校のときも吹奏楽部だったので、音楽が好きなのだと思っていたら、打楽器をやっていた川村くんが好きすぎて、でも振り向いてくれないのがわかっていつから、女子に「私が好きなんだから」と言っていたので、ふたりとも、付き合うことなく、悲しい恋をしていた。OB,OGのためのレッスンもみちるは出ていて、そこにも、川村くんがいた。彼は気付いてても、何も言わず、そのままの状態から、何かを踏み出すことはなかった。
 恵と真紀は放課後になると、立川のグランドまで連れて行ってくれるバスが校内に来ることになっていたので、メンバーの確認や練習のメニュー表などを持ち、授業が終わると走って、野球部の部室に立ち寄ってから、バスで立川まで練習していた。甲子園には過去に1度だけ行ったことがあった。
 同じ小学校同じ中学校だった私たち5人組がたまに会うのが自転車置き場だった。全員が揃うときも3カ月に1度くらいはあった。そういうときは、一緒に自転車漕いで、話しながら、駄菓子屋行くこともあった。春は和菓子に抹茶、夏はかき氷だし、秋には焼き芋がほくほくで、冬はたこ焼きだった。
 私たちの自転車は私が赤、桜子は青、みちるは緑、恵は黄色、真紀は白だった。信号機や交通安全の色みたいで、5人組が集まると、賑やかになっていった。新品の自転車を買ってもらって、卒業まで乗り続けたら、思い出の自転車になるのだ。卒業アルバムには載らない思い出の自転車になるはずなのだ。
 卒業を意識しはじめてから、ますます、春、はじめて校門を、みんなでくぐったことが忘れらない。進路はみんなそれぞれの思いで、決まっていった。私の先輩も大学生になり、いまでも恋愛はまだ続いている。私は誰に相談することなく、ただ受験勉強をしていて、花や植物が好きなので、農芸化学に行きたかった。そのパスポートをもらうために、参考書や問題集を買って、勉強した。私は希望の大学に行けた。桜子は物理へ。みちるは日本文学へ。恵と真紀は数学へ。卒業後、私はそれ以来5人組で会うことがなく、20年ぶりの再会をしたのが夢のようだった。桜子は外資系のキャリアウーマンで恵は主婦をしながら子育てに専念していた。真紀は数学の教師になっていた。みちるは、30歳くらいのときに亡くなってしまっていた。家族だけのお葬式で、私たちの誰もがお線香をあげに行っていない。私はそのまま大学の研究室に残りながら、塾講をしていた。結婚もしてひとりの女の子のママでもある。
 こんなに時間が経っても、同窓会のようなことで集まることが出来るのは、青春のきらめきなのかもしれないと思った。きらり。
 


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