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海見みみみさん

はじめまして。 時空モノガタリで修行させていただいています。 焼き肉が大好物。

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全てのきっかけは……

15/08/01 コンテスト(テーマ):第八十九回 時空モノガタリ文学賞【きっかけ】〜松山椋君の足跡 コメント:4件 海見みみみ 閲覧数:1763

時空モノガタリからの選評

「きっかけ」のテーマをとてもうまく活かした作品ですね。構成が面白く、楽しく読みすすめられました。作中で様々な出会いやきっかけを引き起こす作者は、神同様の存在なのでしょう。松山さんの勢いのある、個性的な作品群を想起させるお話でテーマにも合っていると思います。

時空モノガタリK

この作品を評価する

 私には彼氏がいる。大井カズキ君、彼とは別々の高校だけれど、ある事がきっかけとなって付き合い始めた。
 ある日の放課後、私が暴漢に襲われそうになった所を、偶然大井君に助けてもらったのだ。
 大井君は部活動でボクシングをしている。暴漢を寸止めのパンチで気絶させた大井君はとても格好良かった。
 私達は今、とても幸せにつきあっている。



 だがそれには裏がある。俺、大井カズキは彼女、桜エリと付き合うために策を講じた。
 桜を襲った暴漢、あれは実を言うと俺の友人だ。彼らの演技と協力があって俺達は今付き合っている。
 なぜわざわざそんな事をしたのか。きっかけは些細な事だ。
 毎朝乗る通学の電車。そこで桜と偶然一緒になる事が多かったのだ。毎日同じ車両に乗り、桜の姿を見かける。その度俺の胸はときめいた。
 特に電車が混んでいる朝。桜が近づいてきて、彼女から漂ういい香りをかいだ時、俺は心臓がはちきれそうになった。
 仕込みをした事に少し後ろめたさはあるが、桜と付き合えて俺は今とても幸せである。



 大井君はそう思っているようだけど、それには実は裏がある。私、桜エリは大井君に好意を抱いてもらうべく策を講じていた。
 毎朝の電車。そこで大井君と一緒の車両になるよう、私は必ず同じ車両に乗るようにしていた。
 さらに事前に香水をまとい、電車内で大井君に近づいたのも、もちろん意図したものだ。
 なぜそんな事をしてまで大井君の気を惹こうとしたのか。そのきっかけは些細な事だ。
 とある日の朝。その日の電車は運転手の運転が荒かった。必死に手すりをもちこらえようとする。だが電車が大きく揺れ、私は倒れそうになった。そんな私を受け止めてくれたのが大井君だったのだ。
「大丈夫ですか?」
「は、はい」
 あの時感じた大井君の温もりが忘れられない。そのまま想いが募っていき、私は大井君を誘惑するような真似をしてしまった。
 誘惑してしまった事にほんの少し後ろめたさはある。だけど、大井君と付き合えて私は幸せだった。



 なーんて二人は思っているようだが、これには裏がある。二人が出会ったきっかけを作ったのは何を隠そう、この世界の神ことこの私である。
 神様の力をちょちょいと使って、その日、電車の揺れを激しくしたのだ。あとは激しい揺れに彼女が転びそうになり、彼氏がそれを支える。完璧な出会いである。
 なぜこんな事をしたかって? きっかけは些細な事だ。
 彼氏である大井君。彼は幼い頃からジムに通い、ボクシング選手になるべく特訓をしていた。その努力は並大抵の物ではない。
 そんな彼の頑張る姿を見ていて、私はふと思った。彼にささやかな幸福をプレゼントしたいと。
 結果、彼は今の彼女と付き合う事になった。
 彼らの運命を操ってしまった事に少し後ろめたさがあるが、彼ら二人の笑顔を見ていると、私は大変幸せである。



 と言った具合に神様は全て自分の掌の上で事が進んだかのように思っているみたいだが、それは間違いだ。彼らの運命を導いたのは作者であるこの私、海見みみみである。
 なぜこんなメタフィクションを書いたのか。それには些細とは言えないあるきっかけがある。
 私には憧れている作家がいた。彼はインターネットの投稿サイトで小説をアップしていたのだが、その小説がとても面白いのだ。
 特に彼の書いたメタフィクションとも取れる小説や、ぶっ飛んだ展開の小説はあまりの面白さに舌を巻いたものだ。
 しかしそんな彼が亡くなってしまったと、その投稿サイトを通じて私は知った。
 憧れている作家の死。それが私に与えた影響はとても大きい。
 私は彼の素晴らしい小説達に敬意を称し、この小説を執筆した。

 松山椋さん、心よりご冥福をお祈りします。


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このストーリーに関するコメント

15/08/01 松山

海見みみみさん、拝読しました。
きっかけとは色々あります。海見みみみさんの小説の続きです。
きっかけは些細なものです。椋がきっかけで皆さんの素晴らしい小説を読むことが出来てます。読みながら涙をこらえてます。今日は、椋の四十九日法要です。そして仏様の元へ・・人生と言う大作の小説の中で私達は生きているのでしょうか?ありがとうございました。

15/08/01 海見みみみ

松山様

ご覧いただき誠にありがとうございます。
仰る通り、私達は人生という大作小説の中で生きているのかもしれませんね。
人生という小説の作者はとてもきまぐれです。
時にはとても悲しい展開も待ち受けています。
でも、その展開には必ず意味があり、無駄になる事は絶対にありません。

改めて松山椋さんのご冥福をお祈りします。
感想ありがとうございました!

15/08/25 光石七

拝読しました。
海見みみみさんお得意の畳みかけるようなユーモラスな展開にクスクスしていましたが、最後はほろりとさせられました。
素晴らしい哀悼作品だと思います。

15/08/25 海見みみみ

光石七さま

ご覧いただきありがとうございます。
今回はかなり実験的な作品でした。
最後に記した私なりの言葉に感じる物があったようで嬉しいです。
感想ありがとうございました!

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