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ミゲル3さん

情緒を感じる生きざまとサイケデリックな感情で生きております。

性別 女性
将来の夢 明るい社会と画家
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頭のクリーンアップ

15/07/02 コンテスト(テーマ):第八十六回 時空モノガタリ文学賞 【 掃除 】 コメント:0件 ミゲル3 閲覧数:766

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消そう。消したい。頭の中の不純なものをうまく消し去ることが 出来たら、どれだけ人は楽に生きていけるだろうか。過去に囚われすぎた脳はときとして重く人の影にのし掛かる。偽善者の様に生き抜くことを覚えた人は、いつも頭の中の絡み付くものを消し去ろうとする。赤い事を思い出し、青い事を思い出す。そして白いもので塗りつぶそうと試みるのだ。

私は大人になって気付き、ふと立ち止まり考えてしまう事がある。それは人との付き合い方の難しさや心の繋がり合いだ。人はうまれたばかりの無邪気な心で素直なありのままに畢生を生きていければ、それは本当の真の理想であると言えよう。きっと不条理な事を感じることも無く、困難に直面することもない。厄介な気持ちを抱くことも無ければ、其れこそ素直なままに想いを伝え表現出来ることであろう。しかし、人間は人としての価値を見出だされた時、生きることを知ってしまった偽善者は少なからずや、あらゆる場面において演じることを命ぜられる。何色かの仮面を巧みに被り分け、時として根拠の無い気遣いをつくり上げる。そして、その場を繕う事で円満を生み出すことを好むのだ。果たしてこれは人と付き合って行く為の最低不可欠な手段であると言えるのか。いや、人間が人間と繋がり合う為の自然な行い、性質なのであろうか。はたまた円満な心とは何であろうか。さまざまなまとわり付く想いが頭を混乱させ、とても煩悶していた。

私はいつも必要以上に物事を深く考えてしまう癖がある。今こうしてそんなことを考えすぎてしまっている事は言うまでもない。ただ、上記で述べた通り、人間はこんなに私が想い描いている程単純なものでは無いことも十分承知でいる。きっと本当はもっとシンプルで、愛情に満ち溢れているものではないかとも思ってしまう。しかし、私の中のその攻撃的で一方的な考え方は、大胆にも脳内で勝手に肥大していた。自らで迷路のように自分を困窮させることを、意外にも私はそれを酷く楽しんでいるかの様にも思われた。面倒で余計なものに、時折反応してしまう自分の癖のお陰で、最近ではその追及し過ぎる考え方にすっかりはまってしまっているようだ。まるで自分の脳を駆使されているかの様な感覚で、私は一種の興味と化してその考え方に凝り固められていた。

「複雑に入り組む人間の心は未知で複雑すぎる」

私は今日もそんな訳の分からない心の言葉を呟き、独り部屋に座って大好きな珈琲を飲んでいた。

人間とは、とても奇妙で難しい生き物だと思っている。人から与えられた情によって心が養っていくという事は多少なりとも考えられる。そして、その情は記憶として人の心に残り、輪郭線を残し、それらはきっと人間を培っていく為の大切なものであろうと思う。私はその記憶を辿った時、自分にとって全てが良好なものとは言い難かった。例えば根拠の無い10%の気遣いでさえ人は素直にも同情心を抱き、大いに助けられ、大いに励まされた気持ちを覚える。そんな経験を思い出したからだ。まあ、こぶしの様に硬く考えすぎてしまっては虚しく、やるせない気持ちで終わるのも落ちだが、私にとってはストレートな生き物とは大分かけ離れていた。

人との付き合い方は私にとって一生のテーマである。気持ちを共有出来るのも、人間としての特権だと思う。私が今こうして美味しい珈琲を頂けるのも、人としての価値が見出だされたからであろう。

シンプル イズ ベスト

私の大好きな言葉だ。しかしながら私の頭の中は、その言葉とはいつも対極線に存在していた。この珈琲の様に、美味しいと言う後味だけで生きられれば私はどれだけ楽であろうか。いや待てよ、珈琲の旨味は、さまざまな過程を経て出来ている。
私はまた、いつもの様に考え出してしまった。でも、いつか期待したい。私の頭の中のクリーンアップが実行される日を。その日まで楽しんでいこうじゃないか。


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