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みやさん

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地球最古の花

15/06/01 コンテスト(テーマ):第八十五回 時空モノガタリ文学賞 【 動物園 】 コメント:2件 みや 閲覧数:1034

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その花は遥か昔からずっと見ていた。

恐竜達が生きていた時代。肉食恐竜の王様ティラノサウルス、草食恐竜の帝王トリケラトプス、空を飛ぶ勇者ケツァルコアトルス、海を泳ぐ猛者リオプレウロドン。彼等達の姿もその花は見ていた。地球はまだ産まれたての姿で、其処には何も無くただ花や木や水の自然と恐竜達だけが生きていた。それはまるで自然の動物園、いや恐竜園で、恐竜達は空気や風や緑の自然に育てられ、自然もまた恐竜達からの恩恵を受けて豊かに育っていた。

弱肉強食の摂理によりやがて草食恐竜の帝王達は肉食恐竜の王様達の補食により淘汰され、餌である草食恐竜達の絶滅により必然的に肉食恐竜達も絶滅。そして隕石落下により空を飛ぶ勇者達は絶滅し、最後に生き残った海を泳ぐ猛者達も氷河期突入により絶滅した。

地球に存在する自然以外の命は無くなったかの様に思えたが、新しい命の誕生もその花は見ていた。それは新しい命の息吹、人類と呼ばれる生き物達。

人類は恐竜達とは比べ物にならない程小さくて弱く、その花はこの生き物達が淘汰されるのにそう時間は掛からないだろうと考えていたが、人類には恐竜達には無いものが備わっていた。それは感情と知恵。感情と知恵により人類は目覚ましい発展を遂げた。

恐竜達にも感情はあったとその花は推測していたが、それは人類の比では無く、恐竜達よりも遥かに情緒豊かな喜怒哀楽の感情を持ち合わせる人類はその花には不思議に思えた。何故なら恐竜達は花を見て綺麗だとは決して思わなかったが人類はその花を見て綺麗だと認識していたからだった。

喜の感情。
嬉しいと思う事。喜び。喜怒哀楽の中で一番快楽を感じる感情。この感情を持続させる為にやがて人類は自分以外の人類のものを奪い合う様になった。

怒の感情。
悔しいと思う事。怒り。喜怒哀楽の中で一番激しい感情。この感情を根元に人類は人類同士で憎み合う様になった。

哀の感情。
哀しいと思う事。哀しみ。喜怒哀楽の中で一番絶望を感じる感情。この感情を払拭するために人類は人類同士で争い合う様になった。

楽の感情。
楽しいと思う事。笑い。喜怒哀楽の中で一番厄介な感情。この感情を満たす為に人類は人類同士でますます争い合う様になった。

喜怒哀楽の感情を持つ事により、恐竜達の時代ではあり得なかった同種属である人類同士が争い合う様になり、その花は絶望した。豊かな感情を持ちながら何故皆で平和に生きていく事が出来ないのだろうか?あるいは感情が豊かであり過ぎる為に争い合うのか?

そして人類の最終兵器、それは知恵であった。ティラノサウルスの剣の様な牙、トリケラトプスの三本の角、ケツァルコアトルスの巨大な羽、リオプレウロドンの四枚の鰭、そのどれにも勝る武器、知恵が人間には備わっていた。

知恵を行使し、人類は地球を自分達が生きて行き易い様に変えていった。何年も、何十年も何百年もかけて人類は山を削り海を埋め立てありとあらゆる自然を破壊し、ビルや道路のありとあらゆる造形物を創り上げていった。そして人類は小さな建物にひしめき合って暮らし、さながら動物園の檻に閉じ込められている様にその花は感じていた。ビルや建物は年々増え続け、地球も随分と騒がしくなったな…とその花は辟易した。少し騒がしくなり過ぎなのではないか?

繁栄の末路をその花は知っていた。その先に待っている未来を。人類は自らその未来に向かって生き急いでいる様にその花には思えて仕方が無かった。その先の未来を考えるとその花は悲しかった。恐竜達の様に人類もまた絶滅し、そしてまた新たな別の命の息吹が誕生するのか?または恐竜達が復活を遂げる、それもまた楽しいかもしれない。

その花は今も見ている。人類が名付けた名、木蓮。地球最古の花ー


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このストーリーに関するコメント

15/06/30 光石七

拝読しました。
地球を動物園と捉える考え方はそうマイナーなものでもないようですが、こういう切り口で書かれたことに感嘆しました。
人類が何を誤りどこに向かっているのか、花の視点で書かれているので押しつけがましさや説教臭さが無く、すっと心に入ってきて考えさせられました。
面白かったです。

15/07/04 みや

光石 七 様

コメントありがとうござい☺︎
木蓮が地球最古の花だと知った時に、どんな想いで地球の進化を見つめてきたのかな…とワクワクしました。これからもきっと見つめ続けるのでしょうね。

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