1. トップページ
  2. 『海にいこう』

泡沫恋歌さん

泡沫恋歌(うたかた れんか)と申します。

性別 女性
将来の夢 いろいろ有りますが、声優ソムリエになりたいかも。
座右の銘 楽しんで創作をすること。

投稿済みの作品

4

『海にいこう』

15/05/16 コンテスト(テーマ):第八十二回 時空モノガタリ文学賞 【 海 】 コメント:6件 泡沫恋歌 閲覧数:1539

この作品を評価する

 憧れの先輩から、突然。
『海にいこう』て、誘われた。
 えっ! ええー? 二人っきり、マジで!?

 私こと、岡田佳奈(おかだ かな)は高校一年、フツーの女子高生だよ。
 入学したばかり頃、理科室が分からなくて校内で迷っていたら、二年生の男子が親切に案内してくれたんだ。
 それが五十嵐淳也(いがらし じゅんや)先輩だった。
 スマートでかっこいい! ひと目惚れっいうのかなぁー、もう胸キュンでドキドキが止まらない。彼のことを調べていたら、成績優秀でスポーツ万能、女生徒にも人気があるらしい。ああ、とても私の手の届かない人だと諦めていたが……校内で見掛ける度に、先輩への想いは募るばかり……。
 そんな時、生徒会長に立候補するという噂を耳にした。少しでも近づきたい私は思い切って生徒会役員に立候補する。
 結果、五十嵐先輩は生徒会長で、私は書記になったよ。

 生徒会で顔を合わせるようになって、書記としてお話ができる。先輩は人気あるけど、特定の女子とつき合っていないみたい。もしかしたら私にもチャンスが……なぁーんて甘い夢をみたりして。

 日曜日なのに、生徒会の集まりがあるというので、学校にきてみたら誰もいない。メールを確認したら、日程が変更になったというお知らせが届いていた。
 やれやれ……せっかく来たのに無駄足かと帰りかけたら、ガラッとドアが開いて先輩が入ってきた。憧れの人を目の前にして、私の鼓動が速くなる。
 生徒会室に誰もいないのに驚いて「岡田だけか? 他のみんなは?」と聞かれたので、日程が変更になったと説明すると、スマホを確認して「俺のLINEにもメッセージ入ってた」と照れ笑いした。
 生徒会の人は先輩とLINEやってるんだ、横から羨ましくみてたら「岡田もLINEやってる?」って先輩。私が「やってます!」と言ったら登録してくれた。
 やったー! どんどん先輩に近づいてきたよ。
 ふいに「岡田、もう帰る?」と聞かれたので、素直に「ハイ、帰るつもりです」と答えたら、「もし暇だったら、つき合わないか?」突然の先輩からのお誘い!
 帰っても録画したアニメを観るしか予定のない私は、「行きます。行きます」二つ返事で答えた。
「じゃあ、今から海にいこう」
「えっ、海ですか? ここから遠いでしょう」
「そうでもないよ。自転車で二時間半くらい」
 二時間半!? マジですか。
 憧れの先輩からのお誘いを断わるなんて有りえない。海でも、山でも行きますとも!

 そして、二人は海を目指して自転車で走りだした。
 だけど先輩の自転車はマウンテンバイクの18段変速付き、それに比べて、私はママチャリだし性能が違い過ぎる。
 先輩が速すぎて追い付けないよ! 時々、止まって私が追いつくのを待っててくれる。
 国道を走る二台の自転車、トラックの排気ガスに咽ながら、急な坂道では自転車を押しながら、先輩の背中に貼りついていく。途中、コンビニで飲み物を買って休憩する。
 必死の形相でチャリンコを漕ぐ私に、「大丈夫? 疲れたら引き返してもいいよ」と声をかけてくれるが、その度に「ヘーキ、ヘーキ」と空元気で応えてる。
 マウンテンバイクなら二時間半だけど、私のせいで三時間半かかって、やっと海に到着した。

「海だ―――!!」

 二人は大声で叫んで、砂浜を駆け降りて海へ突進した。裸足になって、子どもみたいに波うち際でじゃれ合った。昨日まで、ただの憧れの人だったのに……こんなに身近に感じちゃってる。
「俺さ、今まで、いいなーって思った女の子には海にいこうって誘うんだ」
「そうなんですか」
「遠いからいつも断られた。たまに行くって子もいるけど……半分も行かない内に疲れたって帰ってしまう。岡田が初めてだよ。最後まで付いてきてくれた女の子は……俺、すごく感動した! おまえの頑張りと俺を信じてくれたこと感謝してる」
「私は先輩と一緒に海が見れて嬉しいです」
「俺、岡田に惚れちゃった。つき合ってくれないか?」
 もしかして、先輩から告られてるの?
 リア充なんて夢だと思ってたのに……信じていいの? ヤバイ! 涙がでてきたよ。もち、私の返事は決まってる「オッケー!」ですとも。
 きれいな夕日が二人を包む時……そっと触れた唇の感触、世界中に先輩と私しか居なかった。

 帰りは私のママチャリがパンクしたので、バス停を探して、そこからバスで帰った。
 車内でいろんな話をしたよ。先輩がゲーム好きなこと、観てるアニメが一緒だったこと、案外フツーの男の子だったりして。でも大好き!
 LINEのグループ設定で、二人だけのグループを作った。
「俺と佳奈のホットラインなっ!」
 ついに憧れの先輩と急接近して、リアルカップルになっちゃった。

『海にいこう』は、先輩の彼女になるためのミッションだったんだ!


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

15/05/16 泡沫恋歌

画像は、フリー画像素材 Free Images 1.0 by:Scarleth White 様よりお借りしました。http://www.gatag.net/

15/05/17 草愛やし美

泡沫恋歌さん、拝読しました。

いいな、いいな、こういう顛末大好きです。ミッションクリアできてよかったですね佳奈さん。先輩といつまでもお幸せにね。

年いって忘れていた淡い恋心思い出せる作品でした。笑顔

15/05/18 鮎風 遊

高校純愛、胸キュンものですね。
こんな学生生活送りたかったですね。
主人公にとっても良い思い出になることでしょう。

あっと、そうそう、高校時代好きな子が他の男と二人で湖畔で遠くを見ていたのを思い出しました。
逆バージョンでしたが、まっ、今となれば、青春のほろ苦い思い出です。

15/05/19 泡沫恋歌

草藍 様、コメントありがとうございます。

いい年したオバサンが、女子高生になって・・・こんな話を書いてると思うと、
それがギャグみたいで笑えるでしょう(笑)

小説って、ひとつの変身願望みたいなものでしょうかね。



鮎風 遊 様、コメントありがとうございます。

これはキャピキャピ女子高生の青春モノですよ。
実は書いてて・・・作者、自体が結構楽しんでました(笑)

この物語で若い頃の切ない記憶を呼び覚ましてしまいましたか。

15/05/20 そらの珊瑚

泡沫恋歌さん、拝読しました。

肩の凝らない乙女の恋物語、素直に楽しめました。
彼女にするイコール海をいくという、
先輩のハードルが高いのか低いのかわからない理由も、若いな〜って思いました。

15/06/06 泡沫恋歌

そらの珊瑚 様、コメントありがとうございます。

肩の凝らない明るいストーリーが私という創作者に求められているニーズではないかと、
最近、思い始めています。
けどね。明るい話って、案外難しいんですよ。

2時間半かけて海に行くって、正直、「俺様キャラ」の発想だと思う。

佳奈みたいな、けな気な女の子だから良かったけど、普通なら先輩は幻滅されそう(笑)

ログイン