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草愛やし美さん

時空文学コンテスト開催100回、おめでとうございます。思えば、初めて私が、こちらに投稿したのは2012年5月のこと、もう4年近く経ったのですね。時空モノガタリさまが、創作の場を与えてくださったお陰で楽しい時間を過ごすことができました。感謝の気持ちでいっぱいです。 また、拙い私の作品を読んでくださった方々に感謝しております。 やし美というのは本名です、母がつけてくれた名前、生まれた時にラジオから流れていた、島崎藤村作詞の「椰子の実」にちなんで……大好きな名前です。ツイッター:草藍やし美、https://twitter.com/cocosouai 

性別 女性
将来の夢 いっぱい食べて飲んでも痩せているっての、いいだろうなあ〜〜
座右の銘 今を生きる  

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癒しのブ秘術

15/05/04 コンテスト(テーマ):第八十一回 時空モノガタリ文学賞 【 三匹の子豚 】 コメント:9件 草愛やし美 閲覧数:1352

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 その後の三匹の子豚がどうしてるか知ってるかな、そこの人間の子供よ? 知らないじゃろう、お前は見るからに夢のない顔をしておる、最近の子供は童話を読まんからそうなるんじゃ。童話の世界のことをわしが教えてやろう。


 三匹豚家の長男はブータレ、次男はブヒブヒ、三男はブッタという名前じゃった。ん? 何か違うってか、細かいことは気にせんことじゃよ、それが世の中を潤滑に進めるわざってもんじゃ。

 長男ブータレはすぐに文句ばかり言ったんじゃ。煉瓦の家で安心できるようになると、今度は三男ブッタに美味い飯が食いたいと毎日言い続けたんじゃ。次男豚のブヒビヒは食いしん坊じゃから、食えるもんなら何でも良かった。じゃが、煉瓦の家の建築費に出費がかさんだ三匹豚家では、家計が底をついてしまい、米も麦も何も買えなくなってしまっていたんじゃ。いくら狼から命が助かったといえども、食い物がないのでは同じこと。三男豚のブッタは仏陀のように、座禅を組んで考えた。三日三晩、座禅を組んでいたんじゃが、足の蹄を見てパッと閃いた。

 
 すぐに、次の日から商売を始めた。何と癒し処じゃ、これがえらく評判が良くてなあ、流行ったのなんのって行列ができるほどの盛況ぶりになった。癒し亭の名前? そりゃもちろん『レンガ亭』じゃ。これまたどこかで聞いた名じゃというのか、さきほど、言ったばかりじゃろ、細かいことは気にせんこと、わかったかい。

 蹄じゃな、経絡のツボに蹄が妙にうまく入るらしいのじゃ。経絡秘ブーを使った施術はブ秘術とか申すそうで、肩こりも腰痛も一押しで快方へ向かうそうじゃ。ついに、狼共もやってくるようになった。

 狼族も今や三男の癒しの技の虜になっておる。とりわけ、あの七匹の子山羊を狙った狼は、週に一度施術してもらわねば、肩こり、腰痛が酷くて動けないそうじゃ。そりゃそうじゃ、今も腹に石ころが詰まったままなのじゃから、重くて耐えらず、肩も腰もこり固まってカチンカチンじゃ、悪いことはできぬということじゃ。だが、お腹に石があるんじゃ幾ら施術しても治るわけなどない、あまりに可哀想だと優しいブッタは治療を勧めたんじゃ。それが何と産婆じゃったそうでな、産婆は狼を一目見て、「もう生まれるぞ、はよう、いきむめ」と叫んだ。狼が腹に力を入れると、何と石のように丸々とした赤ちゃん子山羊が次々と産まれた。

 何と二十匹もの子山羊が生まれたそうじゃ。我が子は可愛いそうでのお、今じゃ、狼は子山羊の母親として育児に精出しているんじゃ。育児は肩腰がこれまた凝るそうで、やはり子豚の癒し処『レンガ亭』で週に一度施術してもらっているという話じゃ。


 お蔭で三匹豚家の家計は潤いブータレもブヒブヒもブッタも腹いっぱい飯を食えるようになったそうじゃ。長男豚ブータレは結婚することになって、みんなでハワイに行ったそうじゃ。みんな真黒に日焼けして黒豚と呼ばれ、鹿児島の黒豚になったとか、めでたしめでたし。これでこのお話はおしまいじゃ。


 何じゃと、このわしの話を信じられんというのか? 子供のくせにうるさい奴じゃなあ。まあ信じないのならそれで良い、全て童話の世界のこと。まだ世間に知られていない話を教えてやったまでじゃ。何? 肩こりが酷いので蹄で経絡秘ブー施術をして欲しいというのか。子供のくせに肩こりするとは勉強のしすぎじゃなあ。適当に怠けることを覚えなさいよ。

 教えろって大きな声で何度も言わんでも聞こえておるわ。『レンガ亭』に行くには、まず、童話の国へ入り、そこから山を三つほど超え、大きな川を渡って……。ああ、もうこんな時間か、わしは眠くなってしまった。ブータレとブヒブヒとブッタの話はまたあしたじゃ、おやすみ。ZZZZZZzzzzzz


 おしまいじゃ、何と言おうとこれで話はおしまい


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このストーリーに関するコメント

15/05/06 レイチェル・ハジェンズ

ナレーターについての説明がないのに、
どんな人物かイメージ出来そうな……ばーちゃん?

楽しんで読めるお話を、どうもありがとう。
どうしてか分からないけど、イントゥザウッズのCMが頭に浮かんできます。

短編を不自然なく組み合わせてある所が流石だなあと思いました( ´△`)

15/05/07 そらの珊瑚

草藍さん、拝読しました。

童話って、ひとつひとつは独立したお話なのに、登場動物が同じだと
どこかでつながっているのでは?という気がしますね。
童話のその後にも彼らの日常はあるわけで(笑い)
とっても楽しいお話でした♪

15/05/07 光石七

拝読しました。
三匹の子豚のその後、やはり三男はやり手の人格者(豚格者?)なのですね。
軽妙な老人の語り口が心地よい面白さで、細かいギャグも楽しめました。
鹿児島県民としては黒豚の誕生秘話も見過ごせません(笑)
面白いのじゃ、何と言おうとこの話は面白い♪

15/05/09 泡沫恋歌

草藍 様、拝読しました。

童話の世界って、結構残酷だし、不条理な話も多いから、こういう、ちょっと強引な、
ナレーションで語られるのも面白いですね。

そう言えば、最近の子どもは童話よりも漫画とゲームだったりします。

15/05/11 鮎風 遊

レンガ亭、行ってみたいです。
腰が、腰がね、ちょっとね、揉んでくれますかね。

だけどちょっと通そう。
近場でオープン、お願いします。

15/05/11 冬垣ひなた

草藍さま、拝読しました

三匹の子豚のその後……幸せそうで良かったです。
癒し処のマッサージは高いので肩たたき機派なのですが、
こんな施術なら受けてみたいです。
語り口が魅力的で、いつもながら惹きつけられます。
素敵なお話でした。

15/05/13 滝沢朱音

ブ秘術!(;゚;ж;゚;)ブッ
あかん、夜中に声あげて笑ってしまっちゃったじゃないですか!笑
私もレンガ亭に行きたくなりました。

なんと言おうとこれでおしまいじゃっ!

15/05/17 草愛やし美

>レイチェル・ハジェンズさん、お読みくださって嬉しいです。

ばーちゃんが童話を語るっていい雰囲気ですよね、昔話を耳を傾けて子供らが聞くって平和な時間だと思います。そういうシーンが引き継がれていって欲しいと願う私です。イントゥザウッズ知らなくて検索しました、拙い作品ですのに、こんな素晴らしい映像をイメージしていただき幸せです。コメント励みにして頑張りたいです、ありがとうございました。

>そらの珊瑚さん、コメントいつもありがとうございます。

そうそう、童話って単体なのに登場人物が似ているものは、自然と繋がっていそうに考えてしまいますね。中でも狼と王子様の出演は大変多いと思います。でも、実際、赤ずきんで死んだはずの狼が次は子山羊を狙ったなんてありかも。苦笑

>光石七さん、お読みいただき嬉しいです。コメントありがとうございます。
三男は人格者いえ、豚格者(とんかくしゃ?)でしょうね、童話やお話はたいてい下の者がいい役に思えます。私、三人姉妹の末っ子だったのでそれで童話好きになったのかもしれません。苦笑
光石さんのふるさと黒豚は美味しいです、肉厚で脂肪もヘルシー。ビタミンBの多い食べ物として注目され、大阪では最近、美豚(びとん)という名前の食堂が増えていますよ。

>泡沫恋歌さん、いつもお立ち寄り感謝しています。コメントありがとうございます。

ほんと、悲しいかな、童話はすたれていってますね、最近のお子様がたの関心はゲームや漫画が主流、内容も複雑です。昔の童話は単純でしたが、それはそれで良いところも多いと思います。大事にしていって欲しいなと思います。

>鮎風游さん、コメントありがとうございます。

レンガ亭、私も行きたいのですが、どこなのでしょうね。もしかして図書館の中だったりして……。苦笑

>冬垣ひなたさん、お読みいただきとても嬉しいです。

童話って考えれば結構、残酷な終わり方をしていると感じます。弱者が救われる筋立ては良いのですが、悪者に仕立てられた狼は憐れなものです。時には、みんな仲良くもひとつの終わり方として良いかなあと思う私です。コメントありがとうございました。

>滝沢朱音さん、お忙しいなかをいつもお読みくださって感謝しています。

ブ秘術笑っていただけ笑顔になります、猫ちゃんは肉球、豚ちゃんはひづめって考えた時、ツボ押しを思いつきました。自分でも楽しみながら書きましたので、コメント嬉しいです、ありがとうございました。

15/09/17 kotonoha

草藍さま。
楽しく拝読させていただきました。

三男のブッタが施術するレンガ亭へ行って見たいです。
肩こり腰痛の酷い私は童話の世界と知りつつも蹄でツボを押してもらえば気持ちいいだろうなと思いました。(笑)

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