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しーぷさん

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差し出された手は

15/04/05 コンテスト(テーマ):第七十九回時空モノガタリ文学賞 【 通学路 】 コメント:4件 しーぷ 閲覧数:992

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僕は学校が嫌いだ。


昔からよくいじめられた。そういう体質なのかもしれない。そういう顔をしているのかもしれない。そういう喋り方をしているのかもしれない。

誰かをいじめようと思ったことのない僕には、その答えは見つからない。


そんな僕には友達がいない。
誰かに話しかけられても、何か言われるのが恐くて僕はいつも逃げていた


誰かが喋っているのが聞こえてくるだけで、僕の悪口を言っているんじゃないかと思ってしまう。


ほら、また……。



鬼ヶ煎小学校5年5組の教室後方では、10人ほどの男子生徒が輪になって騒がしくしている。

「なあ。知ってるか? この学校の――」


ああ。嫌だ聞きたくない。どうせ僕の悪口だ。


僕は逃げるように教室を出た。





人を避けるようにして登校し、人を避けるように1日を過ごし、人を避けるように帰路につく。

今日もまた一人。
僕は夕暮れの中、ランドセルを背負ってとぼとぼと歩いていた。


考えたことがないわけじゃない。
友達といろいろな話をしながら通学路を歩く自分。

周りの人に当たり前のように出来ていることが、僕にはできない。


さみしい。




「ねえ」


突然の声に身がすくむ。
おそるおそる顔をあげてみると、同い年くらいの男の子が立っていた。


「君、一人?」


なんでそんなことを聞くんだろう。この人は誰だろう。またいじめられるのだろうか。


「……うん」

かぼそい声で答えた。

「そっか。僕も一人なんだ、一緒に帰らない?」

にこりと笑った男の子。その瞳は、今まで見てきた人たちとは違う気がした。
なんとなく、そんな感じがした。

この男の子は、他の人とは違う。



「……うん」

さっきよりちょっぴり強い声で、僕は答えた。





楽しかった。
友達と一緒に通学路を喋りながら歩く。ただそれだけのことなのに。


「ふ〜ん。友達いないんだ?」
「はは……。直球だなあ」
「じゃあさ、友達の家に遊びに行ったこととかもないでしょ?」
「まあ、うん」


男の子はふふっと笑った。

「じゃあさ、今から僕の家にこない? 晩御飯もうちで食べていけばいいよ」
「でも、お母さんに言ってからじゃないと」
「大丈夫だよ。僕の家についてから電話すればいい。ね?」

「うん。……そうだよね」

初めて出来た友達。せっかくの誘いを断って嫌われたくない。

「じゃあ、いこっか」

男の子に右手首を掴まれた僕は、引っ張られるように足を踏み出した






「なあ。知ってるか?この学校の七不思議」
「またそれかよ。お前、そういう話好きだよな」
「何それ聞きたい」
「この前聞いたのは、影鬼だったっけ」
「また兄ちゃんが教えてくれたんだよ。……誘鬼の話」
「また鬼かよ」
「誘鬼は、一人で帰る生徒に一緒に帰ろうって言って、そのままあの世に連れてっちゃうんだと」
「一人で帰るって……通学路に出てくるの? その誘鬼とやらは」
「そうじゃねぇ?」
「それさ……、この学校の七不思議って言っていいのか?」




×月×日未明
鬼ヶ煎山の山頂付近で小学生くらいの男の子とみられる遺体が発見されました。
遺体で発見された男の子の右手首には、何者かに強く掴まれたとみられる痣があり――


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このストーリーに関するコメント

15/04/05 しーぷ

ひっさしぶりの投稿や(*´∀`人)
いえいえ
さぼっていたとかそういうあれとかそれではなきにしもあらずなかんじで←
ええ、ええ。
この前の表彰式行きたかったです
家から一時間かかんないとこだったんですよー
アルバイトさえ、、、、、「極端なカジュアルルックは控えてください」の言葉さえなければ←

15/04/06 海見みみみ

CPUさん、拝読させていただきました。
オチがピリリと効いている作品ですね。
それだけに主人公に救いはないのかとも思ってしまいます。
ある意味、誘鬼の存在が主人公にとっての救いだったのかもしれませんね。
その結果もたらされたものは悲劇的ですが。
いろいろなことを考えさせられる作品でした。

15/04/07 しーぷ

海見みみみさん
読んでいただきありがとうございますm(_ _)m

もうちょっと広げて深くできたんじゃないかなぁ、、と反省の多い作品となってしまいましたが
そう言っていただけると嬉しいです!

一人で帰るときはお気をつけくださいませ
誰かに腕を掴まれたらさらにお気をつけくださいませ

15/04/09 光石七

久しぶりの“○○鬼シリーズ”ですね。 ←勝手に命名(笑)
話しかけてきた男の子に何か裏がありそうな気はしていましたが、ホラー展開とは思いませんでした。
主人公は途中で正体を知って恐怖を感じながら命を落としたのか、それとも友達ができた喜びの中のまま亡くなったのか。どちらなのかで物語全体の印象も変わってきますね。“誘いを断って嫌われたくない”とあるから、前者のような気もしますが。
“いじめようと思ったことのない”主人公だから、彼の良さをわかってくれる友達ができたらよかったのですが、悲しいですね。

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