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泡沫恋歌さん

泡沫恋歌(うたかた れんか)と申します。

性別 女性
将来の夢 いろいろ有りますが、声優ソムリエになりたいかも。
座右の銘 楽しんで創作をすること。

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黄色いガーベラ

15/03/20 コンテスト(テーマ):第七十八回 時空モノガタリ文学賞 【 嫉妬 】 コメント:8件 泡沫恋歌 閲覧数:1568

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 ずっと、ずっと君だけを見ているから――。

M: 
「ねぇ、僕の話をちゃんと聞いてるの?」
 そう問いかけると、君は曖昧に頷いて、僕の肩越しに窓の外の風景を見ていた。
「そういう迂闊なをところを注意しているんだ。もうすぐ結婚するのに、もし君に何かあったらと思うだけで……僕は心配で気が狂いそうになる」
 玄関チャイムを押したら、僕だと確認しないでドアチェーンも掛けずに扉を開けたのだ。――もし、強姦魔だったらどうするんだ!
 そのことで注意したら、叱られた仔犬のようにショゲて、僕と目を合わせようともしない。
 もういいか、小言はこれくらいにして……紙袋から君へのプレゼントを取り出した。
 花の好きな君のために、トルコキキョウの花束にしたよ。
 まるで蝶々のように瞳を瞬いて、嬉しそうに花束を受け取った。その可愛い笑顔が僕の心を奪ったんだよ。

W: 
 婚約者は嫉妬男! 
 どうしようもない嫉妬男だと、気づいたのは婚約してからだった。
 彼は私の周りの全ての物に嫉妬している。
 たとえば――素肌が見える服は着るなとうるさい。宅配ピザの店員に愛想を振りまいたと嫌味をいう。男性美容師がヘアーメイクする店には行くなと怒る。新人社員の歓迎会、男の社員も来るなら行ってはいけないと断固反対する。新しい香水に変えただけで、なぜ変えたのかとしつこく理由を訊きたがる。
 もう、うんざり! 彼は私を自分の牢獄へ閉じ込めたいのかしら?

 こんな人と結婚したら、一生、彼の囚人にされてしまう!

M: 
 今日は待ち合わせのオープンカフェに、少し早めにきて君を待っている。
 ここにくる前に花屋に寄って、黄色いガーベラがきれいだったのでカスミソウと一緒にアレンジして貰った。きっと、喜ぶだろう、君の趣味はよく分かっているからね。
 ところで気になることがある。僕の婚約者が昨夜、男と二人で食事をしていたという情報だ。どういうことか、訊きただそう。
 あっ! 通りからこっちへ向って歩いてくる君の姿が見えた。
 今日はサクラ色のワンピースだね。まるでミューズのように神々しいほどに美しい。
 こんなに可愛い君を他の男にも見られているなんて……ああ、絶対に嫌だ! 嫉妬で狂いそうになる。

M&W:
「私が男と食事してたって?」
 驚いたような顔で君は聞き返した。
「しらばっくれてもムダだよ。見たって人がいるんだから……」
 君はダイヤの婚約指輪をいじりながら、僕の質問にすぐに答えようとしない。
「そいつは誰だ!」
 うんざりしたような顔で、君はゆっくりと喋りだす。
「……以前、話したでしょう? オーストラリアに私の弟が留学してるけど、今、日本に帰ってるから一緒に食事に行ったのよ」

「弟だって、男じゃないか!」
 
W: 
 弟まで嫉妬するなんて……頭オカシイ? この男は異常だわ。
 決心するなら、たった今、ギリギリセーフで間に合うかも。

 絶対に婚約解消したい!

M:                  
「君は僕以外の男と外出したらダメだよ」
 本気で怒ってないから、そんなに俯かなくていいよ。
 君の可愛い顔を見せておくれ。そうしたら、ご褒美の花束をあげよう。
「僕にいう通りにしていれば、君は世界一幸せな女性になれるさ」
 黄色いガーベラを受け取った、瞬間、僕の頬に硬いモノが飛んできた。チャリンと音がして、下を見たらダイヤの婚約指輪だった。
 慌てて拾って君に渡そうとしたら、いきなりガーベラの花束が僕の顔を叩いた。
 いったい何が起きたのか分からず、茫然とする僕に向って、君はヒステリックな罵声を浴びせた。いつも従順な君がこんなに激昂するなんて……。

 嫉妬男? いったい誰のことなんだ。
 婚約解消? おい、悪い冗談はやめろ!

W:
 嫉妬は心の病なのよ。
 よくやった自分。あんな男と別れて正解!


M:
 その後、弁護士を通じて正式に婚約解消を申し入れてきた。
 理由は性格の不一致、結婚生活に対する不安、愛情が冷めた……。そんな理由で僕は君に捨てられてしまった。
 あの日、最後の花束は黄色いガーベラだった。
 それを僕に投げつけて、「さよなら」と言った君。訳も分からず立ち尽くす僕を残して……振り向きもしないで走り去った。
 何がそこまで、君を激怒させたのか分からない。
 僕は深く傷ついて、理由を聞くことすらできない。
 あの時のこと、僕は忘れないよ。僕の愛を踏みにじった君を許さない。君を忘れる日まで、僕は君を憎み続ける。

 そう、君を憎んで、憎んで、憎んで……また、ずっと君が好きになっていくんだ――。


W:
 黄色いガーベラの花言葉が『究極愛』だと知ったのは、嫉妬男と別れてからだ。

 今でも時々、物影から誰かに見張られてるような気がするのは、なぜ?


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このストーリーに関するコメント

15/03/20 泡沫恋歌

M ⇒ 男
W ⇒ 女

男女の心の中の温度差です。

黄色いガーベラの花言葉は『究極愛』『究極美』などで、ある意味怖い。


画像は楽天ウェブで検索してお借りしました。http://pds.exblog.jp/pds/1/200607/17/67/f0050567_16473868.jpg

15/03/20 海見みみみ

泡沫恋歌さん、拝読させていただきました。
嫉妬男が実に恐ろしいですね。
実際にこういう人がいそうなところがリアルです。
ガーベラの花言葉も男の性格を考えると恐ろしい!
恋愛の温度差って怖いなと思わせる作品でした。

15/03/20 そらの珊瑚

泡沫恋歌さん、拝読しました。

結婚する前に別れて正解でしたね。
世の中、愛の形はそれぞれだと思うけれど、行き過ぎた嫉妬は怖い!
この先、彼がストーカーにならなければいいと心配です。
可憐なガーベラも彼女にとっては嫌な思い出になってしまったのかも。
お花には罪はないけれど。

15/03/20 南野モリコ

泡沫恋歌さま

拝読させて頂きました。

男と女、それぞれの物語を交差させる形式が面白いですね。

黄色いガーベラ、大好きですけど、プレゼントする時は注意しようと思いました(笑)

15/03/22 鮎風 遊

思いのすれ違い。
よくあることですね。

ただこの男の場合は「愛」ではなく「情」だと思います。
「愛」は解き放つ感情、「情」は縛る感情だから。

そんなことを考えながら読ませてもらいました。

15/03/24 草愛やし美

泡沫恋歌さん、拝読しました。

いますねえ、この手の男。嫉妬深いこういう男が、ストーカーになって殺人までやらかしたりするのでしょうね。怖いですよ、主人公危ないです。見張られている気がする、新聞ニュースにならないように願うばかりです。

こういう嫉妬深さは男性に多いですね、女性は、隠れて嫌がらせしたり、会社に男の秘密を暴露したりする手が多いと思います。直接的に出てくる嫉妬深い男性、怖すぎます。
黄色いガーベラ、まず私が貰うことはないと思いますが、知識として覚えておきます。苦笑 汗

15/03/25 泡沫恋歌

海見みみみ 様、コメントありがとうございます。

こういう男がストーカーになって、女性に凶器を向けるタイプの男です。
自分一人の思い込みで、相手を理解してると思っている、トンデモナイ勘違い男ですから、
厄介ですよ(´・ω・`) =3


そらの珊瑚 様、コメントありがとうございます。

怖い、怖い、こんな男と結婚したら、自由なんかない。
いつも束縛されて・・・一生、囚人みたいな生活ですよ。
ギリギリセーフで別れられて、彼女はラッキーでしたね。


ミナミノモリコ 様、コメントありがとうございます。

男女の心の中の声ということで、交互に語らせました。
ガーベラは色によって、花言葉は違うようですよ。

ピンクのガーベラ「崇高美」、白いガーベラ「希望」「律儀」、赤いガーベラ「神秘」などです。

15/03/25 泡沫恋歌

鮎風 遊 様、コメントありがとうございます。

「愛」は解き放つ感情、「情」は縛る感情ですか。

なるほど、どうやら愛より情は厄介みたいですね。
男女の絡みあった『情愛』は破滅への一歩のような気がする。


草藍 様、コメントありがとうございます。

これは娘に訊いた話ですが、アニメの声優ファン、かなりオタクの子たちですが、
当然、お気に入りの声優が結婚したりしたら、ショックで怒り出すんですが・・・
この場合、女性のファンは好きな男性声優と結婚した相手の女性を嫉妬して「死ね!」とか言うらしい。
決して、好きな男性声優を罵ったりしない。

男性のファンの場合は、結婚をした女性声優を恨んで「騙された」といって、怒りだすらしい。

その辺のメンタルが男女の違いらしいですよ。

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