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鮎風 遊さん

この世で最も面白い物語を見つけ出したい。 そのために、ひとり脳内で化学反応を起こし、投稿させてもらってます。 テーマに沿った個別物語の他に、いくつかのシリーズものをコツコツと書き続けさせてもらってます。 その主なシリーズものを紹介させてもらいます。  ☆❤☆❤☆ 新シリーズ 『ツイスミ不動産』 __ 2017.07.16よりスタートさせてもらいました。 カサリンとクワガタ野郎があなたが求める終の棲家を紹介いたします。  ☆❤☆❤☆ 『刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)』 __ 2017.05.21 ただ今、27話 __ 1話完結の2000文字推理小説です。この少ない文字数の中で、百目鬼刑事と部下の芹凛(せりりん)がいかに事件を解決していくか、その醍醐味を味わって頂ければ、光栄です。 これからも引き続き難しい事件に挑戦して参りますので、よろしくお願いします。  ☆❤☆❤☆ 『漢字一文字の旅』 __2017.04.04 ただ今、連載41__ 漢字にまつわるエッセイです。  ☆❤☆❤☆  『歴詩』 __歴史上の人物になりかわって、その波瀾万丈の生き様の思いを詩に綴らせてもらってます。 本作品については、フォト音(on)小説という形で、you tubeにもUPさせてもらってます。 詳細はこちらHPです。  ☆❤☆❤☆  http://ayukazeyuu.net/index.html  ☆❤☆❤☆                         よろしくお願いします。              

性別 男性
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妄想新説・本能寺の変

15/02/08 コンテスト(テーマ):第七十六回 時空モノガタリ文学賞 【 戦国武将 】 コメント:8件 鮎風 遊 閲覧数:2202

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 天正10年(1582年)6月2日の未明、本能寺の変は起こった。轟々と燃え盛る炎の中で織田信長は自害したと言われている。
 しかし、明智光秀は燻る焼け跡でくまなく遺骨を探した。されど見つからなかった。
 謀反を起こした光秀にとって、信長に代わり天下を取ることが第一義。このままここに留まってるわけにはいかない。この後光秀は電光石火に京を治め、残党を追捕し、近江平定を行った。
 6月5日には安土城へと入城し、7日に朝廷の勅使から祝辞を受けた。これで一段落、光秀は翌日坂本城へと戻った。
 それにしても、心奥に一つの事が引っ掛かってる。
 まことに奇怪だ!
 本能寺の変、紅蓮(ぐれん)の炎の中で、確かに信長は天魔の野望とともに命を絶った。そして灰になった。
 とは言え、信長の骨は……?

「まだ見つからぬか?」
 光秀は溝尾茂朝にあらためて問うた。されども答えは否。
 その代わりに、中国攻めの羽柴秀吉が毛利と講和を結び、主君の仇討ちの旗を掲げ、すでに姫路城に入城したとか。それは、この謀反を予想し、段取りをしてきたかのような素早さの中国大返し。さらに堺で遊ぶ徳川家康は闇に紛れ、三河へと出奔したとか。
 これらの情報を得た光秀、「うーん」と一言唸り、局面は変わったと実感する。
 しかれども、この後の光秀にはゆめゆめ考えられぬ悲運な展開が待っていた。まず5日後の、雨が振りしきる6月13日の山崎の戦いで秀吉に破れる。そして坂本城へと退散中、小栗栖(おぐるす)で土民の竹槍により討たれてしまうのだ。

 なぜこんなことに? ここで少し時計の針を戻してみよう。
 信長の野望は七徳の武をもって、つまり天下布武による天下統一。そのためには朝廷を排除し、都を武力で抑え込み、信長自身が国王になること。しかし国家天下のため、光秀はこの信長の魂胆を受け容れることができなかった。
 そんな中、光秀は5月15日から3日間安土城を訪問する家康の世話役を仰せつかった。だがその2日目に、毛利を水攻め中の秀吉を援護せよと命を受けた。この不意な出陣、これは大層なことだ。勘ぐれば、これはまさに親方様からの虐め。
 それでも光秀は下知に従い、その準備のため5月17日に坂本城に入り、5月26日には亀山城へと移った。
 しかしだ、この17日から26日、ここに10日間の空白がある。光秀は一体どこで何をしていたのだろうか?
 答えは、天下布武を憂慮する正親町(おうぎまち)天皇と密会し、信長打倒を謀議していたのだ。
 そして5月28日、光秀は愛宕山(あたごやま)に登り、連歌会で反逆の決意表明をした。「時は今 雨が下(した)しる 五月哉」と。この歌の解釈は「土岐氏出身の光秀が天下を治める五月かな」。
 こうして6月1日、旗印は水色桔梗、ついに明智光秀が動いた。表向きは秀吉援護のための出陣。しかし途中、「敵は本能寺にあり」と方向を変え、1万3千の兵を率いて老ノ坂を越え、桂川を渡った。
 時は6月2日の未明、ドンドンと闇を劈(つんざ)く種子島。迎え撃つ信長の手勢はたったの100人。
 信長は「明智が者と見え申し候」と蘭丸から報告を受け、言い放った。「是非に及ばず」と。意味は、やむ得ぬ。だが信長の真意は――必然的な結果。
 すなわち信長が仕掛けた罠に光秀がまんまと嵌まったということである。
 その策略とは、光秀を追い込み、謀反を起こさす。そしてそれをテコに、反逆に荷担した公家/朝廷を徹底的に壊滅させてしまうことだ。
 言い換えれば、信長はすべてを知っていた。光秀が朝廷と共に造反を企てていること、またその時期が、光秀が詠んだ愛宕百韻から、近日中だと。
 そこで信長は公家衆を招いて茶会を催し、その後少人数で本能寺の寝所に入った。これは自ら囮(おとり)となり、光秀に本能寺を攻めさせること、それが目的だった。
 あとは地下道を通って南蛮寺へと抜け、安土城へと引き返す。そして兵を興し、一気に京へと攻め上がり、朝廷を滅亡させてしまう。結果、信長が国王となる。こんな謀略だった。

 蘭丸、火を放て!
 戦国の世を駆け抜けてきた。そして未来へ向けての――本能寺炎上。
 急ぎ、地下道を抜けようぞ!

 しかし、信長に思わぬ不運が。放たれた火が火薬に引火し爆発したのだ。
 その爆風で地下道は崩れ、走り抜ける信長に土石が覆い被さった。

 本能寺の変は日本史上最大のミステリー。だが、それは信長が企てた一世一代の鬼謀だった。しかし神は許さず、罰として、永遠に地下に埋めてしまったのだ。
 こうして信長の遺骨は二度と発見されることもなく、今も京都の元本能寺町の住宅地の地下に眠ってる。
 さっ、耳を澄ましてみよう、声が聞こえてくるから。

 人間(じんかん)五十年
 下天(げてん)の内を くらぶれば
 夢まぼろしのごとくなり


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このストーリーに関するコメント

15/02/08 鮎風 遊

みな様へ

ご参考に。
今ある本能寺(京都寺町通御池下ル)は豊臣秀吉により移転されたもので、
明智光秀が攻め入った本能寺は四条油小路を上がった辺りにありました。
東西百四十メートル、南北二百七十メートルの広さがあったと言われてます。
今は住宅地となり、石碑があるくらいですです。
それでも工事現場から焼けた土が出てきたりしています。
また、近くにあった南蛮寺も今はありません。

こんな所で、と驚く本能寺の変、
掘ってみたいのですが、発掘もままならず、
この日本史上最大のミステリーは永遠に封印されたままとなることでしょう。

15/02/11 泡沫恋歌

鮎風 遊 様、拝読しました。

そうなんですか。
まさか、信長の陰謀だったとは・・・その罠に嵌って、謀反を企み、土民に竹槍で
殺された明智光秀は非業の武将というしかないですね。

妄想新説かもしれないけど、説得力がありました。

15/02/14 そらの珊瑚

鮎風 遊さん、拝読しました。

歴史って、その本当は今生きる私たちには推測するしかないし、
またそこが面白いなあって思います。
誰しも知っている「本能寺の変」の新たな解釈も面白かったです。
信長のイルージョン、成功していれば違った歴史もあったでしょうね。

15/02/21 鮎風 遊

泡沫恋歌さん

コメント、ありがとうございます。

最も可哀想なのが明智光秀でした。
この新説では、明智光秀が謀反を起こすことを、信長も秀吉も家康も知っていました。
明智光秀だけが、他が知っていることを知らなかったという、不幸の仮説です。
よろしく。

15/02/21 鮎風 遊

志水孝敏さん

コメント、ありがとうございます。

日本史上最大のミステリーは
明智光秀が謀反を起こすことを、信長も秀吉も家康も知っていた。
明智光秀だけが、他が知っていることを知らなかった。

これで数々の不可解点は繋がり、すべての辻褄が合うかと思っております。
よろしく。

15/02/21 鮎風 遊

そらの珊瑚さん

コメント、ありがとうございます。

仰る通りです。
もし本能寺の変が失敗に終わっていたら、
秀吉は太閤になれず、関ヶ原の決戦もなく、徳川幕府も生まれず、
今の日本は違った形になっていたことでしょう。

本能寺の変はまさに日本の分岐点だったかと思います。

15/02/22 草愛やし美

鮎風游さん、拝読しました。

ああ、なるほどと頷ける謎解きですね。

戦国武将のテーマをいただいた時に、私も真っ先に本能寺の変の謎のことを思いました。爆死説がこういう風に運ばれたことだったなんて、面白いですね。

土中に埋まった信長の遺体は見つからなかったというのもリアリティがあって感心しました。

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