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草愛やし美さん

時空文学コンテスト開催100回、おめでとうございます。思えば、初めて私が、こちらに投稿したのは2012年5月のこと、もう4年近く経ったのですね。時空モノガタリさまが、創作の場を与えてくださったお陰で楽しい時間を過ごすことができました。感謝の気持ちでいっぱいです。 また、拙い私の作品を読んでくださった方々に感謝しております。 やし美というのは本名です、母がつけてくれた名前、生まれた時にラジオから流れていた、島崎藤村作詞の「椰子の実」にちなんで……大好きな名前です。ツイッター:草藍やし美、https://twitter.com/cocosouai 

性別 女性
将来の夢 いっぱい食べて飲んでも痩せているっての、いいだろうなあ〜〜
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大分豊後名物モノガタリ 

12/07/09 コンテスト(テーマ):第八回 時空モノガタリ文学賞【 大分 】 コメント:3件 草愛やし美 閲覧数:1893

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「本日はようこそこの豊後国鶴亀バスにお乗りくださいましてありがとうございます」
 バスガイドさんの澄んだ声がバスに響いている。
「バスガイドのとりてん、運転手はゾーリンです、よろしくお願いいたします。修学旅行にここ豊後国をお選びくださいまして、ありがとうございます。これより、皆さまを豊後名物旅へとお連れいたします」
 ガイドのとりてんの豊後かぼす姫伝説の話が始まりました。

「姫さま〜〜、姫さま〜〜どちらへいらした」
「いましがたこちらの寝所でお見かけしましたのに、行方不明とは何としたことじゃ。どんこじいお前が甘やかすからじゃ」
「言わせていただけばそういう城下華麗の局さまのご教育にも問題が……」
「ええい、こんなところで争っておられぬ」
「そうじゃった姫を探さねば、昼には婚礼のお相手のプリンスとやらがこの城に出向いてこられるのじゃった」
 ここ豊後の国は大騒ぎ、かぼす姫さまが行方不明になられたのです。婚礼が嫌なのでしょうか。婚礼のお相手は長崎出島からやってこられる異国のお方ですので、誰もそのお顔を見た方はおられません。姫さまは不安で逃げ出されたのでしょう。手引きしましたのは、大分仮面。彼は密かに船を用意してかぼす姫さまを乗せ、豊後水道に乗り出しまていました。
「かぼす姫、このソニック号はホーバークラフトと申しまして、海を航行できるだけでなく空も飛べるのです」
「凄い!」
 かぼす姫はあっという間に韓の国へと着いておりました。
「姫、ここは整形という優れた医術が発達しておりますゆえ、姫さまの望まれるご要望も可能かと思います」
 韓の国でかぼす姫はこうのたもうわれました。
「わらわは、婚礼が嫌で逃げ出したのではに。この丸顔が嫌なのじゃ、丸顔じゃと転がらねばならぬからじゃ」
 そうなんです、ここ豊後国では毎年かぼす転がし大会が催されているのです。姫さまといえど人間の手にかかり転がされるのです。悲しいかな、訴えようにもかぼすたちには人間の言語が話せないのですから、無理というものなのです。コンテストは年一回、人間どもはこんな会話をするそうです。

「知っちょん? 転がすコンテストがあるんだっち」
「何を転がすの?」
「かぼすだよ、あのまりーかぼすを転がしてその距離を競うんだ。優勝者にはしいたけの詰め合わせとか、銘菓ざびえる、名産の幻焼酎など大分知っちょん賞品がもらえるそうなんだ」
「俺は焼酎がいいな」
「あら、私はざびえるがいいわ〜美味しいのよあれ」
「ところでかぼすってどんくらい転がんの?」
「さあ? やったこつがせんけんわからん」
 
 かぼす姫はどうしても転がりたくなかったのです。
「わらわは嫌じゃ……転がるなど、恥かしい。着物がめくれてしまうではないか」
「ほんに姫さまの言う通りです」
 大分仮面はにっこりと笑って姫の整形医術の終わるのを待っていました。姫さまは整形されソニック号に乗って再び豊後国に帰って来ました。そして、ようやく婚約の儀が催されました。
「異国のプリンスはどこじゃ」
 かぼす姫の問いにおつきの城下華麗の局は答えます。
「プリンスさまは姫さま専用のお馬を用意されているそうですぞ」
「それは素晴らしいことじゃな、馬を引け〜〜どこじゃ馬は見当たらぬではないか?」
 姫の視線の先には馬らしきものはおりません。馬ではなくうすっぺらいぺったんこのひょろひょろのものが立っておりました。
「これがお馬でございますかぼす姫さま」
「なんということじゃ、これが馬か?
「姫さまお言葉ですが、この馬はやせうまと申しまして、豊後国では精鋭の馬、その名は四方の国まで知れ渡っております」
 やせうまはきなこの粉を吹きながらヒヒヒーンといななきますと、たちまち、人々はその美味さに舌鼓をうちました。馬ですから当然のことですが、食したものは美味さに驚きました。
 やせうまに乗り姫さまが嫁いだ先は長崎国のカステーラ王子の元でした。
「同じじゃ、わらわとカステーラ王子は同じじゃ」
 確かにカステーラ王子とかぼす姫は同じ、真四角な顔をしていたのです。かぼす姫さまは韓の国でお顔を四角に整形されたのでした。やがて、転がらない四角の似たもの夫婦は幸せな夫婦の象徴になりました。
 その後、豊後国は幸な国と呼ばれ、豊後水道で獲れる魚のことも、「関さば」でなく「幸サバ」と呼ばれるようになったそうです。かぼす転がし大会はなくなり「幸せ資格大会」と名称も新たに、幸せを競う大会が開催されています。
 
 とりてんガイドさんの名調子を聞いている間にバスは湯布院に到着しました。
「みなさま、湯布院です。さあどなたが一番豊後国名物に出会えるでしょうか? 準備はよろしいですか、1・2・3! ソレーーー」
 一斉に生徒たちは懸け出していくのを見て、とりてんガイドは笑っています。


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このストーリーに関するコメント

12/07/10 ドーナツ

アニメにしたくなるくらいキャラがユニークで 楽しいお話です。
丸顔は 可愛いと思うんだけど,転がされるのは困っちゃうね。
このバスに乗って、湯布院にいって、やせうまと大分仮面に会ってみたいです。

12/07/11 草愛やし美

ドーナツさま

コメントありがとうございます。
名物は各地にありますが、どこの名物もその地の方々の思いいれがあって外せないものばかりです。
大分は修学旅行に行き、あれこれ名物を買った楽しい記憶があります。そんな経験からお話書いてみました。やせうまは美味しいのでぜひお会いして乗馬してくださいね(笑)

12/07/24 toruchann

大分は 温泉天国ですね

別府から熊本に向かう途中にある
湯布院は 標高400mちょっとですかね

温泉入って 夕食の膳に並ぶ
ぴちぴちした山女の塩焼きには カボスがあいますね

ところで 豊後名物には 炭酸泉がありますね
ぶくぶくと 炭酸のような 泡が湧き出ている温泉 

ちなみに この湯に入ると 女性は 美肌になるそうな

(ps) それにしても 色々な引き出しを持っていますね
   ブラボー 

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