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みやさん

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シー・ジュエル

14/11/01 コンテスト(テーマ):第六十九回 時空モノガタリ文学賞【 無題 】 コメント:2件 みや 閲覧数:908

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それを海で最初に見つけた男は、そのあまりの美しさに驚愕した。

大きさは手のひらにぴったり馴染む大きさで、形は少し歪な楕円形。色は乳白色が基調になっているが、光に当てると角度により鮮やかなマリンブルーやエメラルドグリーンの様々な色がキラキラと輝きを放っていた。20年漁師をやっている男でも、今までにこんなに美しい貝を見た事が無かった。

貝、と言ってもそれはアサリや蛤のように二枚貝ではなく、かと言ってサザエのような巻貝でも無かった。ただ綺麗な楕円形をしているそれは、貝と言うよりは石ころのようだった。そして石ころのように硬かった。

薄汚れたこの町の海にもこんなに綺麗な貝が存在しているのかと思うと男は嬉しかった。娘が喜ぶかな、とその貝のような美しいそれを男はポケットに入れた。

それは、次の日にも男の漁の網にキラキラと輝きを放って存在していた。昨日は一つだったのに、今日はいくつも網に掛かっていた。他の漁師の網にもそれは掛かっていた。

皆で不思議がり、これは何と言う貝なのか…と首を捻りあった。

漁業組合の会長にそれを見せると、会長は驚き、そして喜んだ。これは…まさに海の宝石だ、神様からの贈り物だ、と狂喜乱舞し、すぐに海洋生物の学者に連絡を取った。

それを見た学者は、そのあまりの美しさに、シー・ジュエル!と感嘆の声をあげ、すぐにそれの研究に乗り出した。町はたちまち注目を浴び、流行りものにすぐに飛びつく人々が、海の宝石を見にわんさかと押し寄せた。薄汚れた町の町興しになると町の人々は喜んだ。

シー・ジュエルの分析には時間を要した。外側は硬く、どんな力も寄せ付けずになかなか内側を見る事が出来ない。それが却って人々の興味を煽り立てた。
真珠のような宝石が内側に眠っているに違いないと人々は確信していた。

しばらくするとシー・ジュエルの捕獲量は他の魚や貝に勝り、もはや網の中は輝く乳白色のシー・ジュエルで埋めつくされていた。

それを観光客に販売する事により薄汚れた町は多額の利益を得た。神様からの贈り物だと例えた会長の考えは間違っていなかった。

今や町の岬は、ようこそ海の宝石の町へ、神様からの贈り物シー・ジュエル、などの立て札で埋め尽くされている。その片隅には産業廃棄物処理場を撤廃しろ、などの抗議や綺麗な海を取り戻せ、などの立て札が埃を被っていた。

漁師の娘が海岸で友達たちに自慢そうにシー・ジュエルを見せていた。
「これは私のお父さんが初めて見つけたシー・ジュエルなんだよ」
「すごい、見せて」
「さわらせて」

すると、娘の手のひらにあったシー・ジュエルが突然グニャリと変形し始めて、中からどろりとした真っ黒な液体が出て来た。

「何これ、臭い!」
「汚〜い」
「気持ち悪い…」

娘はシー・ジュエルを砂浜に投げ捨てた。引き潮の影響で砂浜にはたくさんのシー・ジュエルがキラキラと光り輝やいていた。







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このストーリーに関するコメント

14/11/03 みや

チャラン様

コメントありがとうございます☺︎
シー・ジュエルのような神様からの贈り物が出現しないように願いたいですね。

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