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デーオさん

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あっちゃん

12/07/03 コンテスト(テーマ):第九回 時空モノガタリ文学賞【 群馬 】 コメント:2件 デーオ 閲覧数:1826

時空モノガタリからの選評

最終選考

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お盆休みに生まれ故郷に帰った時に、母が「あっちゃんが群馬の人と結婚したんだって」と教えてくれた。全く寝耳に水という感じだった。あっちゃんというのはオレより2つ下の女の子で、オレの妹の友達だった。オレは密かに恋をしていたのだと思う。

     ◇        ◇         ◇
夏休みのある日、あっちゃんが妹のところに遊びに来ているのを知らずに涼しい居間にに入ったことがあった。小学生の高学年だったろうか、中学生になったばかりのころかもしれない。

昼寝をしている妹とあっちゃんがいた。でもオレはあっちゃんだけを見ていた。その整った顔にしばらく見入ってしまった。感動とちょっとの罪悪感のまま、そうっと部屋を出た。もっと小さい頃、ふざけあったあっちゃんとは別人のような気がして、胸がドキドキしているのを感じていた。そのあと外に出たオレは近くにある小川に行き、訳もなく水の流れに逆らって歩いていた。
     ◇        ◇         ◇

東京で就職してから3年が経っていた。やはり遅れて東京で働くようになったあっちゃんとは、一度あったきりだった。それぞれに恋をしていたのだった。オレが軽い失恋をしたときに、あっちゃんのことを思い出していた。そんなあいまいな感情だったのに、母からあっちゃんが結婚したと聞いたときに、裏切られたような嫉妬かなと思える感情に襲われた。

まったく自分でも思ってもいなかった感情に、「なんで群馬なの」と不満そうな言い方で言葉に出た。母は、誰かが紹介してくれた相手だというような返事をした。
「おい、忠夫」と後ろから声がした。
振り向くと母の弟、輝男叔父さんだった。
「群馬じゃ不満か?」
怒ったふりでも目は笑っていた。そうだった。叔父さんは群馬に住んでいるのだ。

「ちょうどいい所に来た。ちょっと手伝え」
叔父さんに付いて行った場所は台所だった。
「これ知ってるか」
「しもにだねぎでしょ」
「ん? 東京へ行ってなまったのか、あははは、そいつは面白い」
「え〜違うの?」
「しもにただよ。嫁さんの実家がそこなんだ。それで、ネギとこんにゃくを持ってきた。何の料理がいいと思う?」
「すきやき〜」
「ま、いいだろう。肉も買ってきたし、あとはネギをサラダにしよう」
「え〜、サラダぁ? 辛いじゃない」
「そこが素人だ。生野菜ばかりをサラダというんじゃな。茹でて使うんだ」
「忠夫は恋人いるのか?」
叔父さんの話が料理から急に恋人の話になって、オレはすぐに返事ができなかった。
「やっぱりいないのか、群馬の女性はいいぞ。あ、こんど見繕っておこう」
叔父さんは、手伝えと言ったわりには、話をしながら料理の下ごしらえを全部自分でやっている。

ビールを飲みながら、叔父さんの面白い話で盛り上がった。おいしい料理のせいだろうか。オレはいつのまにかあっちゃんへの思いが薄らいでいることに気付いた。来年あたりに、もしかしたら、群馬県の女性のがオレ恋人になっているかも知れない、そして台所で並んで料理をする姿を想像している自分に気付いた。

今度あっちゃんにあった時には、結婚おめでとうと言えるだろう。









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このストーリーに関するコメント

12/07/03 ゆうか♪

素敵なおじさんがいて、「オレ」は幸せだね!
きっと群馬の女性と結婚して幸せになるんだろうね。

そう思える作品でした。GOOD!

12/07/04 デーオ

ゆうか♪さん

ありがとう、料理のできる叔父さん、いいねえ。
文の変な所見つけたが、編集できない。

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