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ポテトチップスさん

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人間の恨みは蛇となって生き続ける

14/10/21 コンテスト(テーマ):第六十九回 時空モノガタリ文学賞【 無題 】 コメント:0件 ポテトチップス 閲覧数:922

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黒の礼服を来て14年振りにタケシの実家に行った。タケシの母親は泣きながら俺にお辞儀をして、家の中に入るように勧めてくれた。
玄関を上がるとお線香の匂いがし、『ああ、やっぱり本当だったんだ』と俺は思った。
1階の8畳の和室に祭壇と棺が置かれ、その中でタケシは目を瞑って死んでいた。
俺はタケシの死に顔から目をそらした。タケシは顔中に青あざがあり、顔が倍近く膨れ上がっていて、見るに堪えない痛々しさだった。
隣のリビングでは、タケシの親戚が静かに茶を啜って飲んでいたり、ハンカチで流れ出る涙を拭っていた。
俺はお線香を1本あげた後、タケシの母親にお悔やみの言葉を短くかけお辞儀をし、家を出た。
タケシと最後に会ったのは、中学の卒業式が最後だった。あの時は、お互い楽しい人生を送ろうぜ! と激励し合って「じゃあな」と言って別れた。そんなことを思い出しながらタケシの家からほんの少し行ったところで「トオル?」と後ろから声をかけられた。
振り向くと14年前とあまり変わっていないミツルだった。
「ミツル?」
「おう!」と言って、片手を上げた。
「久しぶりだな。ミツルもタケシの葬式に来てたのか?」
「うん。まさかタケシが死ぬなんて……」
「犯人は捕まったのか?」
「いや、まだらしい」
「むごい死に顔だよな。何十発も拳で殴られたんだろうな」
ミツルは腕時計に目を向けた後「ちょっと喫茶店でも行かないか?」と言った。
「ああ、いいよ。久しぶりにミツルとゆっくりと話がしたい」
「俺も、トオルに話しておきたいことがあるんだ」
「どんな話?」
「まあ、話は駅前の喫茶店でコーヒーでも飲みながら話そう」
店のテーブル席に俺はミツルと向かい合って椅子に座った。ホットコーヒーが運ばれて来て、一口啜るとミツルが言った。
「トオルと俺だけだよ……」
「何がだ?」
「あのメンバーで生きているの」
「あのメンバーって?」
「忘れたのか? 中学3年生の時に俺達6人で花草洋一をイジメていたじゃないか。それが原因で花草洋一は学校の屋上から飛び降り自殺したじゃないか」
そんなことが確かにあったと、俺は14年前を思い返した。
ミツルが続けて言った。「トオルは中学卒業後に親の仕事の都合で東京に行ってしまったから知らないと思うけど、あの時の花草洋一をイジメていた俺達6人のうち、いま生きているのはトオルと俺だけだよ」
「マジかよ……」
「ヤスシは18歳でアキオは21歳の時、シゲルは25歳の時に死んだ。3人ともタケシと同じく誰かに殺されたんだ」
「犯人は?」
「捕まっていない」
「なんであの時のメンバーが次々に死んでいくんだよ?」
ミツルはコーヒーを啜って飲んだ後、小さくため息を吐いてしばらく沈黙した。
「花草洋一が学校の屋上から飛び降り自殺した時、屋上に遺書のノートが置いてあったの覚えてるか?」
「ああ、覚えてる」
「内容も覚えてるか?」
「たしか先生が俺達6人にそのノートを見せてくれたのは覚えてるけど、内容までは忘れたよ」
「ノートにはこう書いてあったんだ。『僕は悪霊となってお前たち6人を30歳前までに全員呪い殺す』って」

朝、仕事に出かけるために身支度を整えていると携帯電話が鳴った。
電話に出ると、中学時代の同級生である佐野幸一からだった。1年振りの電話に驚きながらどうしたと聞くと、ミツルの訃報を知らせる電話だった。
「なんで、ミツルが死ぬんだよ。半年前にタケシの葬式で会った時には元気だったぜ……」
「殺されたんだ」
「誰に?」
「分からない。まだ犯人は捕まっていない」
今朝、ミツルの訃報を知らせる電話があった日の夜、仕事から自宅に帰り着いた俺は、浴槽に熱湯を入れ湯に浸かった。今日は一日中、悪寒を感じ鳥肌がたっていたからだ。
俺は湯に浸かりながら30歳の誕生日まであと何日だろうと計算した。今日も含めるとあと38日で30歳の誕生日を迎えられる。
翌日から、俺は会社や休日に外出する時など周りの人間に注意しながら外を出歩くようになった。
そのかいもあってか、明日に30歳の誕生日を無事に迎えられることになる。
この日の夜、会社帰りに自宅へ続く夜道を歩いていると、目の前に黒のフードコートを被った男が背中を向けて道の真ん中に立っていた。
警戒しながら横を通り過ぎようとすると男が振り向いた。
俺は「ヒエ〜ッ!」と間の抜けた声を上げた。
フードを脱いだ男は、自殺した花草洋一だったからだ。
「花草……」
男は不気味な笑みを浮かべながら「双子の弟の洋二だよ」と言った。
「弟?」
「病気で17歳まで入院してたから君に会うのは始めてだけど、こうして君の死ぬところを見られて光栄だよ。お兄ちゃんの遺書を実行することが僕の務めだから」
洋二はまた笑った。俺は小便を漏らしながら足がガクガクと震えていた。


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