1. トップページ
  2. 歴密会・あきーnai.coi  密会への招待

草愛やし美さん

時空文学コンテスト開催100回、おめでとうございます。思えば、初めて私が、こちらに投稿したのは2012年5月のこと、もう4年近く経ったのですね。時空モノガタリさまが、創作の場を与えてくださったお陰で楽しい時間を過ごすことができました。感謝の気持ちでいっぱいです。 また、拙い私の作品を読んでくださった方々に感謝しております。 やし美というのは本名です、母がつけてくれた名前、生まれた時にラジオから流れていた、島崎藤村作詞の「椰子の実」にちなんで……大好きな名前です。ツイッター:草藍やし美、https://twitter.com/cocosouai 

性別 女性
将来の夢 いっぱい食べて飲んでも痩せているっての、いいだろうなあ〜〜
座右の銘 今を生きる  

投稿済みの作品

9

歴密会・あきーnai.coi  密会への招待

14/10/20 コンテスト(テーマ):第六十七回 時空モノガタリ文学賞【 秘密 】  コメント:10件 草愛やし美 閲覧数:1249

この作品を評価する

「これって、怪しいよ」
「でもさ、行ってみようよ、イベントの一環だと思うんだ」
 大坂冬の陣、夏の陣から四百年、大阪では大阪城周辺で、イベントが繰り広げられている麦秋のとある日、逢坂高校の稲太朗は秋穂と城への道を急いでいる。秋穂はもう一度、携帯メルを食い入るように見た。
『歴史好きの善男善女諸氏、大坂城にて密会が執り行われる。このこと歴史好きの者のみへの秘密の誘いにて決して他言無きように』
「メアドは、歴密会・あきーnai.coiって見たことも聞いたこともないよ、密会って危険な香りがする、けど、このURL商いどっと来いってことかな?」
「俺らのような歴男、歴女対象の限定イベってことさ。大丈夫、何があっても俺がお前を守る」
「そう言う稲が一番怪しかったりして」
 二人はメルに出ている地点へ携帯ナビでやってきた。
「大坂城って字、昔のだよ」
「大坂城会場! 凄い立派な城を建てたもんだ、おっどろきー」
「だな」
 そこには立派な城が聳えたっていた。携帯メルを見せると城門がギギギーと鈍い音を立てて開かれた。進んで行くと段々暗くなり不安になった二人が引き返そうと思った時、目の前の視界が開け、広い草原に出た。
「こんなとこ大阪城にあったっけ」
 草原の真ん中には戦国時代さながらの木で組まれた砦が立っている。その下に、男女入り乱れ凄い人数の人だかりができている。
「どっから来たんだ、このおっさん、おばはん」
「この人達も密会招待されたの、こんなに歴史好きいたのね」
 
 草原の真ん中に甲冑をつけた甲冑姿の侍が馬に乗り現れた。
「演出凝ってるね、本格的、凄いじゃん」
 侍は四メートルほどの高さの砦に登っていく。甲冑が重そうだ。
「本物っぽくいかにも重そうにして、めちゃ役者だぜ、イエイー」
 砦に登った侍が下に集まった群衆に向かって法螺貝を吹いた。
「やあやあ、我こそは加賀谷助之進と申す者なり、只今より、値争い商い密会を開始致す、全て本物の家宝を高値の者に売り渡す也。近頃の民話衰退を嘆きその盛行を願う我らゆえ、其方達の歴史大事と願う心に期待しておる。民話存続のため良き値にて密会成就を望む也」
「オークションじゃなくって値争い商いなんだ、うまいこと言うね」
「本物の家宝ってわざわざ宣言するとこが怪しいけどな、一見の価値はあるかも」
「さてさて、今の世は腹具合の悪い者多しと、聞き及んでおる。この第一番札の宝は、かの坂田金時の家宝、赤い腹掛けなるぞ。食あたり下痢などたちどころに治る也。これを所望いたすやからはおらぬか?」
 前列の頭の禿げた男が札を持つ手をあげた。竹棒に刺した札に金額が書かれているようだ。
「他にはおらぬか」
 一人、二人と札が上がっていく。助之進の声が響いた。
「金三匁にて右なるおなごのものとする」 
 法螺貝が高音で響き渡った。次々と物品が捌かれていく。大江山の酒呑童子が使った盃、渡辺綱の名刀、桃太郎の桃切包丁など、胡散臭そうに思えるものばかりだ。二人は初めて見る密会に興味津々で見入っていた。
「さてさて、最後と相成った。かの里見家より頂戴仕った霊玉なるぞ。里見八犬伝で知れ渡っておる八つの霊玉よりも更に貴重な九つ目の翠の霊玉じゃ心して札を上げよ」
 次々と札が上がった。ほとんどの男女が上げている。
「ねえ、稲、最後だよ」
「お金持ってきてないよ」
「何でもいいから書いてみようよ、お米とかは?」
「面白そうだねOK」
 稲太朗は冗談半分に、米十kgと書いたが、昔はそんな表示がなかったことに気づき、キロを消し石と書き換えて札を上げた。
「そこなる、若き男の札に決定致す、米十石也」
 稲太朗と秋穂は驚いて被りを振った。
「いや、金銀とかじゃないですよ、お侍さん」
「だよ、やめた方がいいよ」
「札上げをしたのに偽りと申すか。許せん其処へ直れ、切り捨ててくれよう」
「いや、遠慮しときます、お許しを」
 真っ赤に燃え立つ侍の目を見た二人はぶるぶると震え座り込んだ。侍が刀を抜き近づいてくる。観念した二人が目を固く瞑ったとたん、急に目の前が真っ暗になり声が響いた『確かに札値の物頂きし候、本日は密会へのご参加、感謝致す』
 気がつくと二人は大阪城公園の梅林に立っていた。
「夢? 稲、怖かったエーン」
「わけわかんねぇ、助かったのは事実だ、秋穂よかったウググ」
 二人が抱き合って泣いている足元には翠玉が転がっているのが見える。

 その頃、稲太朗家では大騒ぎになっていた。
「社長、倉庫の米が消えています。それどころか、配送予定で車に搭載した米も全て……」
 忽然と全ての米が消えたのだ。稲太朗は、古くから米問屋として大阪で商いをしている店の息子。倉庫には、墨書きの紙切れが一枚残されていた。
『一金、米十石也。但し、翠霊玉札上げ値として正に領収いたし候』


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

14/10/20 草愛やし美

解説:米一石とは? 江戸時代、米の量を表す単位として「石」という単位が使われまていました。ですが、石(こく)は容積の単位であって,重さは全く関係ありません。計算上では、1石=10斗=100升=1000合で、1石が約180リットルでドラム缶(200リットル)で換算すると、1斗が約18リットルで石油のポリタンク(20リットル),1升は1升瓶,1合は1合徳利を想像して下さい。
現在での換算は、一石は米の重さで言うと150キロになります。今の金銭に換算することは難しいです。1石は基本的には1両です。1両を4万円とか10万円とか言う人もいますが、現代の米価格で単純に換算すると6万円になります。(ネット検索より)

お断り:十石を約1500キロと考えて創作していますが、もし計算が誤っていましたら、お許しください。この作品は草藍の作りましたフィクションであり、実在する、人物・地名・団体とは一切関係ありません。

14/10/21 滝沢朱音

草藍さん、こんばんは〜ノシ
おおっ、なんだか草藍さんの作品が目白押しですね、すごい!

時代物?
稲太朗と秋穂はタイムスリップしてたのかな?時を越えたお誘いメール?
面白いですね〜。密会、私も行ってみたいです♪
草藍さんが行かれる時は、ぜひお誘いください〜笑

14/10/22 ドーナツ

密会って怪しげなムードで  興味ありますね。高いうイベントあったら参加しちゃうかも。

この二人は別の次元にいっちゃたのね。最期がまた、奇想天外で面白かったです。
「オークションじゃなくって値争い商いなんだ、うまいこと言うね」

私もそう思いました。上手い!


14/10/22 そらの珊瑚

草藍さん、拝読しました。

いつのまにかタイムスリップしちゃったんですね。
里見八犬伝、小学生向けの本で読んで、奇想天外なとろが、すごく面白かったのを思い出しました。
オチが楽しかったです。

14/10/22 泡沫恋歌

草藍 様、拝読しました。

なるほど、江戸時代のオークションですか?
何だか、出どころの怪しいものもありますが、オークションの緊迫感が出てますね。

あれだけのお米をどうやって運び出したの? 忍者でも居たのかしら?
面白くて、楽しいお話でしたo(〃^▽^〃)o

14/10/23 夏日 純希

江戸時代のオークション、初めて垣間見ました(笑)
草藍さんの作品は、飽きない.濃い ですね^^

14/10/25 シンオカコウ

作品を拝読致しました。
あきないどっとこい、にまずやられ、値争い商いに出品された品々に興味をひかれ、
どろんという感じで煙に巻かれたラストまで滑らかな疾走感の作品でした。
このまましばらく煙に巻かれていたいような、ユニークな読後感でした。

14/10/28 kotonoha

稲太郎、秋穂、名前がいいですね。
一升、一斗、一石は昔我が家で稲を作っていましたのでよく覚えています。

オークションじゃなくって値争い商い」と言うのが面白いですね。
こんな素晴らしい発想はどこから湧くのでしょうか。
また詠ませてくださいね。

14/11/01 鮎風 遊

面白いです。
商いどっと来い、これ最高ですな。

大坂城で実際やってるんじゃないかな。
桃太郎の桃切包丁、落としたいです。

翠玉がとりあえずもらえたから良しとしないとね。

14/11/05 草愛やし美

>滝沢朱音さん、いつもお読みいただき嬉しいです。コメント意欲いただいております、ありがとうございます。

時代物というより、ぶっ飛んでまたまたSFになってしまいました。こういう時代交差が起こってしまったというか、過去からやってきた者が現代でこういう商売をやっているとすれば面白いのではと考え書いてみました。朱音姫さま、ぜひ、ご一緒して出掛けましょうぞ、苦笑

>ドーナツさん、自分ではタイムスリップしたのでなく、過去の次元がこちらへやって来ているという設定のつもりなのですが、無理があるようでした。書く技量が足らず、うまく設定しきれていなかったと反省しています。
コメント勉強になりました、これからも精進できればと願っています。ありがとうございました。

>そらの珊瑚さん、いつもお読みくださってありがとうございます。

里見八犬伝は、面白い作品でした。初めは、豊臣の復興を願う商いにしたかったのですが、売却すべき家宝が思いつかず、(; ̄ー ̄川 アセアセ 民話復興の設定に替えました。まだまだ勉強が足らないと反省しています。コメント励みに頑張りたいです、ありがとうございました。

>泡沫恋歌さん、そこを疑問に思われたのですか、なるほど、そこには全く触れていませんでした、SFなので、転送したとかかってに思い込んで書いてましたが、説明部分が足らなかったと反省しています。物事の起承転結がきちんと書けるように気を付けたいです。コメント参考になりました、ありがとうございました。

>夏日純希さん、いつもお読みいただき嬉しいです。飽きないと商いの掛け言葉のコメントでしょうか、苦笑 夏日さんの素晴らしいコメント感心しています。思いつきだけで書いていますので、無理を通してしまった感があります。これからも勉強して少しでも楽しい作品が書ければと願っています。コメントありがとうございました。

>シンオカコウさん、お読みいただきコメント嬉しいです、ありがとうございます。
煙にまくのでごまかしています。大汗 何とかテーマに沿って書ければと頑張っています。これからも勉強して、書いていきたいと思っています。コメント意欲いただきました、ありがとうございました。

>kotonohaさん、お忙しいなかをご来訪感謝しています。
一合、一升、一斗、ありましたね、昔は我が家は大衆食堂をやっていましたので、お米はお釜で一升炊いていました。今はカップで計っていますが、他にはどうしても1合と言ってしまいます。苦笑
今年は豊作だったようですね、秋になると豊作願う私です、新米まだ食べていませんが、美味しいですよね。コメントありがとうございました。

>鮎風游さん、コメントありがとうございます。

「商いどっとこい、良かったです」、この言葉だけで書きだした話です。大汗、ここを褒めていただき大変嬉しいです。
今、丁度大阪城でイベントが始まってます、冬・夏の陣より400年も経っていれば、何か起こっても不思議はない城になっていそうな気がします。今度、密会に一緒に行きましょう、そして、桃切包丁、ぜひ落としに行きましょう。( ̄0 ̄;アッでも、密会に一緒って怪しすぎる言葉かもですね。Σ( ̄Д ̄;)ヤバッイかも。苦笑

ログイン