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三条杏樹さん

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秘密にして

14/10/04 コンテスト(テーマ):第六十七回 時空モノガタリ文学賞【 秘密 】  コメント:1件 三条杏樹 閲覧数:913

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好きなひとが黒髪がいい、と言ったから。君は明るかった髪色を暗くした。

「黒すぎて、青くなるのも嫌だったの」

光にあたると少し赤がかかるその髪を、梳くように撫でてあげた。
これも特権。

好きな彼の話をする君は頬が染まって愛らしい。可愛い、というと恥ずかしそうに俯くのが好きで、わざと言っていた。

彼が冷たい、と泣きそうな声で電話をしてきて、顔を見て話したいというから深夜の公園で慰めた。街灯に照らされる君が本当に好き、とは口が裂けても言えない。泣いてる顔が可愛いなんて、空気が読めないことは言わない。

ふざけてハグをしてくる君も、何気なく手をつないでくる君も、こっちの気も知らないで冗談で愛してる、なんて言ってくる君も全部好きなのに。


絶対、こっちを向いてくれない。


それがつらいのに、君から離れらない。
君が泣きべそをかきながら彼が好きだと相談してくるときだって、本当は泣きたいのはこっちの方だ。



「好きなひといないの?」

二人きりになると、時々そう聞いてきた。
いつも素直に好きなひとには好きと伝える君だから、この気持ちはわからないだろう。

「いないよ」

「ええ?もてるのに!」

腕を絡めて無邪気に笑う。少し背の低い君がぴょんぴょん跳ねながら、ロングスカートを揺らした。

「可愛いし、こないだ学科の先輩が連絡先聞きたいって言ってたよ」

「いいの」

「彼氏、欲しくないの?」

楽しいのに。


「・・・いいの」

どんなに男の人に好かれても、どうせ君は手に入らないから。


だから、この想いは秘密にして。


 


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このストーリーに関するコメント

18/03/01 斎藤緋七(さいとうひな)

はじめまして、新参者の菫と申します。とてもさわやかな文体で、すがすがしい読後感を感じた作品でした。私はコメントや評価をつけるのが始めてなのですが、何回でも読みたくなる作品です。素敵なものがたりをありがとうございました。

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