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ナポレオンさん

まだまだ未熟者ですがコメントもらえると嬉しいです。 忙しくてなかなか投稿できませんでしたが半年ぶりに復活してみました。 しかし、皆さんレベルが高いです^_^;

性別 男性
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六つ目の難題

14/08/25 コンテスト(テーマ):第六十三回 時空モノガタリ文学賞【 告白 】 コメント:7件 ナポレオン 閲覧数:1086

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この晩も私は、つややかな木材で出来た縁側に腰を降ろし、澄んだ空に輝く月のもと、物思いに耽っておりました。月の光がはっきりと影を作る夜の庭、周囲に響く虫の聲、澄み渡る秋の風。常にこの国は美しい自然で満たされております。そして、そんなこの国の美しさに触れるにつれ、私の悲しみは枯れることを知らぬ泉のように心に溢れ、流れてゆくのでした。

しばらくしてふと、物音に目をやると、垣根の隙間から男の子が顔を出しております。よく見ると、私が小さい頃によく遊んでいただいた近くの農家の子供の様でした。月の光に照らされたそのあどけないかんばせは唇をつぐみ、幼いながらに何かを決心しているようでした。やがて垣根から飛び出した少年は周りに誰もいないことを確認してこっそりと私の方へと近づいてきました。
「ねぇお姉ちゃん」
「どうしました?」
彼はしばらくもじもじと下を向いておりましたが、急に私の方に向き直ると大きな声でこう言いました。
「僕、お姉ちゃんと結婚する!」
「まぁ!」
少年は期待と不安が入り混じった様子ですがる様に私の顔を覗き込んでおりました。そんな無邪気な少年を見て、私もこの時ばかりは日ごろの憂鬱な気持ちを忘れてしまいそうになりました。けれど、悲しいことに私はもうこの国の人間とは暮らしていけないのです。
「ごめんなさい。それはできません」
そう言うと案の定、少年は顔をくしゃくしゃにして泣き出してしまいました。
「ええ!結婚してくれないの!?」
「申し訳ございません。ああ、男の子が泣いてはいけませんよ」
少年は泣き止みません。家の者に気付かれたらどうしたものかとこれには私も心配になりました。しかし、しばらくすると少年は突然何かを思い出したかのように笑顔になり、私に言いました。
「じゃあせめてあれだしてよ。えーっと。むりなんだい!!なんでも持ってきてあげるから結婚して!」
驚いたことに私の噂はこんな小さい子供にまで伝わっているようでした。
「じゃあ、あなたが大きくなった時に私のところまで来れたら結婚して差し上げましょう」
「わかった!絶対に会いに行くからそれまで誰とも結婚しちゃだめだよ!!」

その少年の純真な姿に、自然と私は涙をこぼしておりました。ああ、幼き子よ。いつまでも私は待ちましょう。私の国ではあなたが大人になる時間などほんの刹那の出来事なのです。





あれから僕にとっては途方もない月日が流れました。それでも僕は、ひと時として君のことを思わなかったことはありません。もしかしたら、君は僕のことを忘れているかもしれませんが、僕は今から君から貰った難題を解いてもう一度君に告白するつもりです。
本当はもっと早く君のところ行くつもりだったんだけど、どうやら僕たちが君の国に追いつくには膨大な時間が必要だったみたいです。君が帰り際にこっそりくれた薬ももうすぐ底をついてしまいそうで、何とか間に合って本当にほっとしています。でもまぁこれで少しは大人になったって認めてもらえるんじゃないかなと思っています。
時間といえば、時代はこの国をとても便利にしてくれた反面、君の好きだった美しい景色を跡形もなく奪い去ってしまいました。月の光でさえ、あのころに比べたらずいぶんと霞んでしまっています。今なら、君がこの国に来て、自然の美しさに感動していた時の気持ちもよくわかります。それでも、僕は君と再び出会わせてくれるであろうこの時代にとても感謝しています。
では、そろそろ反重力エンジンの充填が完了したようなので、出発しようと思います。初めてのフライトなのでとても緊張しますが、きっと神様がまた僕たちを引合してくれると信じています。
1200年前に僕らが出会ったあの日のように。





20xx年、九月。中秋の名月の頃。日本の近畿地方にて夜間に不審な飛行体を見たという情報が多数寄せられた。中には携帯電で飛行体を写真に収めた者まで現れ、輝く銀の飛行体が大きな満月を目指して飛んでゆく神秘的な写真は多くの人にUFOの存在を信じさせた。そして写真の真偽は分からないものの、これを機に日本ではささやかなUFOブームが起こり、中にはUFO関連のグッズで町おこしをしようとする町まで現れたのであった。
ちなみに、この事件を扱ったあまり人気のないオカルト番組の中で、あるコメンテーターがこんなことを言っている。
十五夜の日に月を目指して飛んでいくなんて、まるでかぐや姫のお話ですね、と。


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このストーリーに関するコメント

14/08/25 suggino

なんてロマンチックな!すてきでした。
1200年もの歳月が経っているということは、彼女が月に帰る際にくれたのは不老不死の薬かなにかだったのでしょうか。
彼女のパート部分を読んだかぎり、彼とは歳が離れているように感じたので、彼女の呼び名は君より「あなた」とかのほうがしっくりくるんではないかなと思いました。
面白かったです。

14/08/26 そらの珊瑚

ナポレオンさん、拝読しました。

少年が「むりなんだい」といったところで、もしかしたらこのお話は……と思いました。
燕のこやすがいとか、ひねずみのかわごろもとか、結局お話のなかでは誰も難題を達成した方はいなかったと記憶してます。
時空をも超えたとっても素敵なラブストーリーでした!

14/08/26 草愛やし美

ナポレオン様、拝読しました。

壮大な、気の遠くなるほどの恒久的ともいえるような愛を貫いたお作、とっても素敵でした。
あの伝説がこんな告白のもと、科学の力も動員して叶えられるなんて……読後が良くて、とてもわくわくしますね。面白かったです。

14/08/27 夏日 純希

竹取物語の成立が800年前後なところからして、
1200年後が20XX年になるわけで、
つまり、かぐや姫を追いかけたってことでOKですか?
…違っても勝手にロマンチックにそう思わせていただきますが(^^)
いいですね、年数に隠された意味とか。奥が深いです。
ってか、合ってても察するのギリギリですよー。
気づかなかったらどうしてくれるんですか(笑)
このロマンを素通りしていたら…、残念すぎるじゃないですか!

14/08/31 ナポレオン

suggino様
コメントありがとうございます。
た、たしかにあなたの方がしっくりくる気がします!!二人の性格など、結構紆余曲折した結果こんな口調に落ち着いたのですがこれにはちょっと後悔です。

そらの珊瑚様
原作にはなかった6つ目の難題が実はあったというお話です。ただ原作だと月に帰るときに姫は記憶を失うらしいので少年の時空を超えた愛がどうなるのかは分かりません(-_-;)

14/08/31 ナポレオン

草藍様
コメントありがとうございます。
科学の力を総動員しすぎたためつい思わず反重力エンジンなどと言うオーバーテクノロジーを登場させてしまいました(笑)。面白いと言っていただけてありがとうございます。

夏日純希様
コメントありがとうございます。お初にお目にかかります。
こういう恋愛ものはほとんど書くことがないのでロマンチックとか言われると恥ずかしいです(笑)。
かぐや姫ちょっとわかりづらかったですか。自分的にはむしろ序盤からそれっぽい描写を出しすぎたと思ていたのですが……。読者側の意見を聞くと非常に勉強になりますね、ありがとうございました。

14/09/01 泡沫恋歌

ナポレオン 様、拝読しました。

十五夜の月に逢いに行くなんてロマンティック!

二人の愛は時空を超えて結ばれることでしょう。

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