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夏日 純希さん

名前は「なつのひ じゅんき」と読みます。誰かに届くなら、それはとても嬉しいことだから、何かを書こうと思います。 イメージ画像は豆 千代様に描いていただきました(私自身より数億倍、さわやかで、かっこよく仕上げていただきました。感謝感激) Twitter(https://twitter.com/NatsunohiJunki) 豆 千代様 HP:MAME CAGE(http://mamechiyo555.tumblr.com/?pagill )

性別 男性
将来の夢 みんなが好きなことをできる優しい世界を作ること。 でもまずは、自分の周りの人を幸せにすること。
座右の銘 良くも悪くも、世界は僕に興味がない。(人の目を気にし過ぎてるなってときに唱えると、一歩踏み出せる不思議な言葉)

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未来のタイムカプセル

14/08/05 コンテスト(テーマ):第六十二回コンテスト 【 未来 】 コメント:9件 夏日 純希 閲覧数:1041

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「明日はタイムカプセルを作りますからね」

僕はタイムカプセルなんてものを知らなかった。
僕は隣に座っていた辰巳君に尋ねた。ちなみに、彼は意地悪だ。
悪役のように笑う彼を見て、僕は聞くんじゃなかったと後悔をする。

「仕方ない。教えてやるよ。タイムカプセルって言うのはな、

“時間を圧縮してカプセル状にし、未来で、呪文により圧縮した時間を再度取り出せるようにするもの”

だよ」

そんなことも知らないのかと、辰巳君は鼻がひくひくさせながら僕を見下した。

「わかった。ありがとう!」

僕はそっぽを向いた。家に帰ったら、詳しい話を聞こうと思った。
小学生が知っていることくらい、うちの家族でも知っているに違いないんだから。

僕は家に帰る途中色々考えた。
最近、科学の発達はすごい。車だって空を飛んでいるし、タイムスリップだって国家規模でやれば可能だ。
時間圧縮だってもう常識なのだ。
僕はドアノブをいつもより少し強く握って、ドアを開けた。

一方、その頃家の中では、高校生にもなる兄、隆信が電話をしていた。
「ちょっと待ってよ。ミミちゃん。謝るから。だから、今回は許して、ねぇってば。ごめんって!」
ツーツーという電子音。電話は一方的に切られた。
隆信は三度目の浮気をした結果、彼女に振られたところである。
隆信にとってこういうことは、初めてではない。
むしろ、どういう風に対処すればいいか、人よりは分かっているつもりだった。
小学生の弟が、扉の向こうから声をかけてきた。

「お兄ちゃん、聞きたいことがあるんだけど?」

「そうか。なら、人生経験豊富なお兄ちゃんが、教えておいてやろう。
 何があっても、屁をこいて寝てればなんとかなるもんだ」

それは、兄が自身に向けて送った最大のエールであった。
弟は「わかったー」と言ってどこかへ消えた。
兄は一人、こんなときに出てこない屁を恨みながら、枕を涙で濡らした。

その夜、家長たる父親は家でビールを飲んで野球を見ていた。
ひいきにしているチームが勝っている。しかも、ノーアウト満塁で攻撃中だ。
父のテンションは高かった。
打者は4番。このところ、調子が悪かったが、今日は最初の打席でホームランを放っていた。

カキーーーーン!

打球は一直線でスタンドに向かうが、ぎりぎりのところでファールになってしまう。
勢いで立ち上がった父親は、ぬぅぅと唸った後、まるで自分が打つかのようにエアーでバットを構えた。

「今日の新居はバットがよく振れてますね」

テレビの実況が、父親のテンションを最大にまで高める。
そのとき、小学生の次男が何かを尋ねた。
父は完全に野球の世界にのめり込み、バッターズボックスに立っている気分だった。

「今日は、振れてるぜ。振れてーるっぜ!」

お尻をフリフリしながら、父はピッチャーがボールを投げるのを待った。
己の世界に没頭しているのを敏感に感じたのだろう。小学生の息子が廊下を走り去ったのがわかった。
ピッチャー投げた!バッター打った!

サードライナー!?ランナー飛び出している!

滅多にお目にかかれないトリプルプレイをくらい、父親は一人居間でずっこけて、ひくひくした。


次の日、僕は結局、時間圧縮のやり方がわからなかった。
誰かが先にやるのを見て、それの真似をするしかないと思っていた。
けれど、そういう時に限って、先生は僕を一番に指名する。

「じゃあ、田中君からね」

先生の前には、大きな箱が用意されていた。時間圧縮と関係があるのだろうか。
僕はやれるのだろうか?意地悪な辰巳君が早くしろと僕を急かした。
僕は、腹を決めた。
幸い、ガスは溜まっている。

“ぷぷぅぅぅ〜〜〜ぷぅっ”

僕は恥ずかしい思いをかみ殺しながら、ひとまず屁をして横になって目をつむった。

兄貴の言った通りに。

すぐに教室に笑いの渦が起こる。僕は自分の失敗を悟った。
真面目で頑張る子で通っている僕にとっては耐えがたい苦痛である。
先生は、びっくり箱でも見たかのような顔で僕を見た。

「た、田中君。気でも振れたの!?」

え?“キデモフレタ”ってどういう意味だろう。時間圧縮と関係があるのだろうか。
でも、フレルって聞いたことがある。そういえば父さんが教えてくれた、あれか!?
そうか、あれが時間圧縮の方法だったんだ。
僕はほくそ笑んだ。起死回生の思いで、お尻をフリフリしながら、

「振れてるぜ。振れてーるっぜ!」

と言った。教室は静寂に包まれ、僕は数秒間だけ時間圧縮に成功したのだと錯覚をした。

タイムカプセルは思い出の品をしまっておくものだ。
僕はこの意味を一生忘れないだろう。


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このストーリーに関するコメント

14/08/05 k.k.


科学が発達してる世界とのことだったので、タイムカプセルもそんな感じなのかと思ったら、当たり前のように思い出の品を入れて埋めるというw
騙された!って思いました!

14/08/05 夏日 純希

k.k.さん
騙されていただけるか、ちと心配でしたが(汗)
変わらないものだってあるんだぜ、というメッセージをアホな感じで表現してみました。
小学生くらいのとき、こういう家族に嘘言われて恥をかくというお話を聞いて爆笑したのを思い出して、懐かしくなったので、ちとパロってみました。
あの話は、今も変わらず小学生を笑わせてるんですかねぇ。
今回も読了いただきありがとうございました。

14/08/05 夏日 純希

すいません、一つ訂正です。

>辰巳君は鼻がひくひくさせながら僕を見下した。

→辰巳君は鼻をひくひくさせながら僕を見下した。

てにをが…。基本的なところを間違えてすいません…。

14/08/05 ミント

意外な話の展開でした。ほのぼのしてでも大笑いしました。

14/08/05 草愛やし美

夏日純希様、拝読しました。

タイムカプセルで……こんなに笑わせてもらっていいのでしょうか? 爆 でも、オチは時間圧縮でなく、ええっΣ( ̄。 ̄ノ)ノ!? 国家機密により、実体を隠されたのかと思っちゃいました。

彼のユニークな家族、いい味してますね。再登場して欲しいものですが、『キデモフレナイ』限り、出てこないかしら。(-_-)ウーム

14/08/06 夏日 純希

ミントさん

意外とというかただの馬鹿げた展開ですが、
少しでも笑っていただければ僕も嬉しいです。
誰かを少しの時間だけでも笑顔にできたなら、とてもうれしいです。
ありがとうございました。


草藍さん

いつも暖かいコメントありがとうございます。
皆様が壮大な未来の話を書いてらっしゃるので、
つい天邪鬼な方向にいってしまいました。
再登場?!草藍さんが望むならば、考えてみます^^;
まぁ、阿呆な話しか書けないことは間違いないですが…。

14/08/10 そらの珊瑚

夏日 純希さん、拝読しました。

素直でかわいい「僕」、なんか世の中をちゃらんぽらんと結構うまく渡っていけそうな兄、
ノリやすい父親から想像するときっとお母さんも楽しい人なんじゃないかなとつい想像してしまいました。
オチも面白く、ほのぼのとした読後感が残りました。

14/08/11 夏日 純希

そらの珊瑚

少しでも楽しい気分を味わっていただけたなら嬉しい限りです。
字数制限の関係で、お母さんは登場させられなかったのですが、
愉快な家族であることは間違いないかと。
コメントいただきありがとうございました。
コメント頂くたびに、また書こうかなと、思えます。

14/08/11 夏日 純希

そらの珊瑚さん
すいません、↑で敬称が抜けていました。
心の中ではもちろんつけていたのですが・・・。
どうもすいませんでした。

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