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草愛やし美さん

時空文学コンテスト開催100回、おめでとうございます。思えば、初めて私が、こちらに投稿したのは2012年5月のこと、もう4年近く経ったのですね。時空モノガタリさまが、創作の場を与えてくださったお陰で楽しい時間を過ごすことができました。感謝の気持ちでいっぱいです。 また、拙い私の作品を読んでくださった方々に感謝しております。 やし美というのは本名です、母がつけてくれた名前、生まれた時にラジオから流れていた、島崎藤村作詞の「椰子の実」にちなんで……大好きな名前です。ツイッター:草藍やし美、https://twitter.com/cocosouai 

性別 女性
将来の夢 いっぱい食べて飲んでも痩せているっての、いいだろうなあ〜〜
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拡散効果は凄かった

14/07/28 コンテスト(テーマ):第六十一回 時空モノガタリ文学賞【 夜に光る 】 コメント:8件 草愛やし美 閲覧数:1648

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「ど・ど・どうした研ちゃん、お前の手光ってる!」
「シー! 声がでかい」
「どうして……この間の蛍狩り?」
「う・うん、あの時、何かに呪われたのか、夜になったら光るんだ、どうしよう。将、俺、死んじまうのかな?」
「呪いって、研ちゃん……」
 夜の闇に鮮やかに碧く光る俺の手、蛍の光より、LEDライトのような碧色で綺麗に光っているのだけど、俺には大問題だ。蛍の呪い、あるいは、奇病? あるいは、罰が当たった……。どっちみちろくなことじゃない。どう考えても俺は、あの林道で何かに犯されてしまったのだ。
 ◇
「蛍ってすぐ死んじゃいます。だから捕まえたりしないでくださいね!」 案内係りの声が響き渡った。
「なあ、林に入れば誰も来ないぜ、蛍捕まえに行こうぜ」
「やめとけ、研ちゃん、駄目って言われただろ」
「バーカ、まともに聴くんか。俺ら、名探偵ケナン団は、なぜ蛍が光るかという、蛍の謎を捕獲して解き明かす」
 ケナンとは、田原研二、南紀将の名前と名字を合わせたもの。テレビ漫画にあやかって命名した名誉な物だ。小四の俺らは一番の仲良し同志。林に入ると、凄い数の蛍だ、中でひときわ碧く光る炎を掴んだ。とたんに手にビリっと電気が走り、驚いた俺は、慌てて手を引っ込めた。手は何もなっていないが怖くなって蛍を捕獲するのは諦めた。その夜、帰宅後、部屋の電気を消したら、手が光っていた。驚いた俺は、石鹸で何度も手を洗い、傷薬をつけたりもしたが、手は光ったままだ。どうしよう、何が体に起こったのか? 後悔したがもう遅い。悩んだ末、将に打ち明け家に泊まりに来てくれたのだ。
 ◇
「あんた、それどうしたの!」
 俺の部屋に突然、姉ちゃんが押し入ってきた。薄い壁一枚の安普請、会話が隣の部屋の姉ちゃんに筒抜けだった。
「どうもこうも、放っておいてくれ。俺は呪われて死ぬだけでえぇじゃんか。姉ちゃん、いっつも、うるさい弟いらないって好都合だろ、蛍を捕まえようとして呪われて死ぬんだよ」
「死ぬって、何で決めつけるのよ。ほんとにあんたって子は」
「けど、LEDみたいでちょっと格好いいだろう。闇に光る手、魔法使えるかも」
「馬鹿! ゲームじゃないんだよ。そんなこと言ってる場合じゃないでしょ」
「じゃ、どうすればいいんだよー、ヤバすぎて医者なんかいけないだろ」
 ふてくされた俺の手をジッと見ていた姉の顔が、突然輝いた。
「閃いたわ、拡散よ、それしかない。この光る手を動画に撮ってネットでUPして皆にに解決方法を聴くのよ。きっと何とかなるよ、ツイッターで拡散希望して貰えばすぐにいい知恵色々言ってくれるって、同じ経験者もいるかもしんないしさ」
 姉は意気揚々と自分の部屋からスマホを持ってくると、俺の手を撮影した。
 ◇
 拡散は凄まじかった。次々と伝言が入る。一般人はもちろんだが、自称霊能力者、自称SF研究者・自称医者。全て胡散臭いから、自称としか思えない。アクセス数が半端ない。姉はブログまで作った。『碧く光る手の謎は!』──日記形式なので、日々コメントが入る。姉が俄か霊能者となり呪い脱却の呪文を唱える。父が漢方薬を買ってくる。母は、お祓いを受けに神社へ俺を連れて行く。家族一体となって光る手の謎に立ち向かった。将はいつも俺に付き合ってくれた。ありがたい、これほど、みなが協力したことは今までなかった。だけど、何をしても治らず、俺の手は夜になると光った。TV局から、蛍人間として『奇妙キテレツ列伝』という番組に出ないかとオッファーメルが来たけど、見世物じゃないと父が怒った。俺は、別に良かったのに。
 ◇
 その夜、突然、塾帰りの俺と将の前に奇妙な金色の光線が降り注ぎ銀色の人型をした影が現れた。
「スミマヘン、オ騒ガワセシテモウテゴメンヤデ。ワテ、ホタルン探シテマシテン。コナイナトコニ、オッタンヤ。拡散見テ来タネン」
「何者? ホタルンって何だよ」
「ワテラ宇宙人ヤデェ、遠イ星カラ来テン。ホタルンハ、アンタラノ星ニオル蛍ミタイナモンデ。ワテラハ、ペットトシテ飼ッテマンネン返シテナ」
「ちょ、待てよ、もっと詳しく説明しろよ」
「ホタルン返シテモロタシ、モウ用ナイワ、オオキニ、サイナラ〜」
 銀色に光るUFOが飛び去るのを俺と将は、ポカンと眺めていた。我に返った俺は、手が光っていないのに気付き、将と抱き合い喜んだ。
「研ちゃん拡散成功良かったね」
「ありがとう将。拡散って凄い効果だな宇宙までって」
 
 ◇
 拡散効果は大成功で俺は救われたはず……だった。が、拡散は凄すぎた。次の夏、あちこちで夜になると体が光る奴が現れ出した。ホタルンが産卵し拡散していたのだ。大勢の人間が、夜道に懐中電灯が不要になり、数年後、この国から街灯がなくなった。更に、不眠症患者が続出することになろうとは。恐るべき拡散、今も確実に!


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このストーリーに関するコメント

14/07/29 たま

草蒼さま、拝読いました。

拡散希望って、知らなかったのでなるほどそういう意味かと思いました。ネットはあまり利用しません^^
主人公は小学4年の男の子ですが作品に馴染みません。これが女の子だったらもっと馴染むかも知れないと思います。4年生の男の子ってアホですから、意外と難しいのです。研ちゃんの一人称だと浮いてしまいます。三人称がいいと思いますが、語り手はだれにしましょう。
着地点はヒネリがあってよかったです。
ちょっと、辛口のコメントで失礼します。

14/07/29 たま

草藍さま、お名前を間違いました。ごめんなさい(汗) おまけに誤字もある・・・(大汗)

14/07/30 滝沢朱音

草藍さん、こんにちは٩(๑❛ᴗ❛๑)۶

夏休み、男の子の好奇心とちょっとした冒険。
ケナン探偵団、奇妙キテレツ列伝、ツイッターもしてる大阪弁の宇宙人(笑)
いろいろと笑ってしまいました。おもしろかったです。

この季節、夏祭りで光るオモチャ持ってる子どもさんを見かけるけど
中にはホタルンも紛れ込んでるのかもしれませんね☆

14/07/30 そらの珊瑚

草藍さん、拝読いました。

Twitterで拡散、なるほどお姉ちゃん、頭イイ!
ホタルンも拡散しちゃったんですね〜
そのうち地球全体が発光するかも。
面白かったです。

14/07/31 泡沫恋歌

草藍 様、拝読しました。

さすがにTwitterやFacebookで拡散したら、世界中に情報が流れて凄いことになりそうだ。
たしか、イギリスで自分の誕生日をFacebookで拡散したら知らない人がいっぱい来て
家をグチャグチャに壊されたというヒドイ話を聴いたことがある。

ネットの力は恐るべし!!

メッチャ面白かったです(`・ω・´)ハイ!

14/08/02 夏日 純希

夜に光る。確かに、光ってますね。
最初は混乱しつつも、TV曲からのオファーにまんざらでもない主人公の感じがいいですね。

夜に読書するときだけ、手が光ると便利なのになぁ。
おもしろい夜に光る話でした。

14/08/02 草愛やし美

>たま様、お読みいただき嬉しいです。コメントありがとうございます。

なるほど、登場人物の設定に違和感を持たれたのですね、コメントにハッとしました。
初め小5位かなあ、蛍狩りに親と行くならやはり小4までかなとか、迷いました。今の時代の子供さんは結構賢いので。
でも、男の子=虫捕獲という観念に囚われ過ぎていたと反省しました。女の子の設定、あるいは、他の登場人物なら、もっと馴染んだかなと……。拡散できる人物の登場が必要なので、年齢も離し、ネットにまだ毒されていない(苦笑)年齢とい考えからこの設定にしました。三人称は考えていませんでしたが、また違ったものになったかと目からうろこでした。今後の創作への励みになるコメントをありがとうございました。

>凪沙薫様、お読みいただき感謝です。コメントをありがとうございます。

ETのイメージ、ああ、そうですね。あれは、光る手が印象的でした。すっかり忘れていました。ツイッター、今や凄いかなあと思います。ネットは便利ですが、怖いことになるのも事実です。個人情報なども守られていない部分などあるようで問題はありますが、使い方次第かと思います。拡散もユーザーの良識によっては、人助けになっていることもあります。――たとえば、捨て犬や捨て猫の里親を呼び掛けたり見て、いいことだなと思っています。ホタルン作っちゃいました。苦笑

>滝沢朱音様、いつもお読みくださってコメント嬉しいです、ありがとうございます。

あの縁日の光物は凄いですよね、蛍光色で遠目でも、何かしらと思います。子供なら一度は持ってみたいはず。私、実は大人ですが、購入したことが(´・ノェ・)コッソリ あれって、冷蔵庫にいれておけば何度でも使えるって言われたんですが、その場だけであまり光らなかった痛い記憶があります。ホタルンなら、良かったのかしら?苦笑

>そらの珊瑚様、お読みいただきありがとうございます。

拡散って結構なパワーありますから、うまく利用すればと思います。何か困った時など、呟くのもありかと……、ホタルンは地球を明るくすればエコに繋がるかもですね。ああ、そこまで書けばよかったかしらとコメント読んで、今、オチをそう思いました。

>泡沫恋歌様、そうなんですか、そんな事件が……。

拡散というかツイッターは他人のことを覗き見する感覚が受けてヒットしたのだと思います。どこかの食堂やスーパーで人間冷蔵庫や、レールに入り込むといった、悪ふざけの酷いツイートはいけませんが、(罪になります)利用の仕方によっては役立っていることも多いと思います。コメントありがとうございました。

>夏日純希様、お読みいただき感謝しています。

夜に読書は確かに便利かもですね。夜道が明るいと犯罪も減るかもしれませんが、点けたり消したりできればと願望します。ホタルン欲しいような気もします楽しいコメントを、ありがとうございました。

14/08/06 鮎風 遊

夜になると光る人間。
見たような、ひょっとしていてるかも。

電気に換わればもう一つ良いけど。

はげ頭がテカテカと光るのと、ちょっとタイプが違うみたいですね。

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