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みやさん

写真と物語の融合、写真物語家を夢見ています。 マイペースで更新中。Twitter➪@miya_ayim

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知らんぷりの海

14/07/01 コンテスト(テーマ):第六十回 時空モノガタリ文学賞【 涙 】 コメント:2件 みや 閲覧数:766

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「お姉ちゃん、背比べしよう」
「いいけど、私に勝つなんて百万年早いよ」

二人は笑いながら海を見つめている。毎年家族四人で訪れていたこの海を。

「お姉ちゃん、本当にお父さんの所に行くの?私、お姉ちゃんとずっと一緒にいたい。お母さんと私とお姉ちゃんの三人がいい」
「私がお母さんの所に行ったらお父さん一人になるじゃない。どうしようもない頼りないお父さんだけど、一人は可哀想じゃない?」
「だけど…」

二人は黙り込んだ。もうこの海に家族四人で訪れる事は出来ない…小さな心が押しつぶされそうになっているのに、海は知らんぷりで穏やかな波のメロディを奏でるだけ。

「私には使命があるからね」
「使命って何?」
「お母さんとお父さんを繋げる事。私がお父さんについて行ったら、お母さんとお父さんをまた会わせる事が出来るかもしれないじゃない?二人がまた仲良くなれるかもしれない」
「本当に?」
「うん、私頑張るからあんたも頑張るのよ。私がいなくても朝ちゃんと起きて、ニンジンも残さず食べるんだよ。宿題もちゃんとやって、泣いてお母さんを困らせたらダメだよ」
「…頑張ってみる…」

「よーし、お母さんの所まで競争!」
「お姉ちゃん、待ってよ!」

涙を見せたくなくて二人は思い切り駆け出した。二人の涙の雫がキラキラと波打ち際に零れ落ちても海は知らんぷりで優しい波のメロディを奏でながら、二人の涙を優しくそっと海に帰すだけ。

またね、きっとまた。


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このストーリーに関するコメント

14/07/02 タック

拝読しました。

二人に流れる空気が微笑ましく、砂浜の風景や海の香りを素直に想像することができました。
二人、そして家族に幸せが訪れればいいな、と思います。素敵な作品ありがとうございました。

14/07/03 みや

タックさん、コメントありがとうございます☺︎

私は写真ありきの物語をいつも作っています。写真を見て物語を更にリアルに感じてもらえるように…なので風景描写が無いのにも関わらず、海の写真によって雰囲気を素直に感じてもらえたのかな…と嬉しく思います。
物語だけでその世界観を伝えれない私の技量の無さも否めませんが、写真と物語を一緒に感じてもらえてとても嬉しいです。

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