yoshikiさん

面白い作品を知り、自分でも書いて見たくなって何年も経ちました。よろしくお願いします。 2010年 小説現代S&Sコーナーに初めて送った作品が掲載されました。作品名『幽霊の見える眼鏡』 とにかく面白いものが書いていけるといいなと思っています。 イラストはエアブラシと面相筆で昔描いたものです。

性別 男性
将来の夢 楽隠居
座右の銘 不可思議はつねに美しい、どのような不可思議も美しい、それどころか不可思議のほかに美しいものはない。アンドレブルトン

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途上

14/06/03 コンテスト(テーマ):第五十九回 時空モノガタリ文学賞【 ON THE ROAD 】 コメント:0件 yoshiki 閲覧数:912

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 道の前方にあなたを何かが待ち受けています。はるか前方に何かがいてあなたを見つめています。決して好意的な視線ではありません。よく見るとそれは鬼のような恐ろしい顔をしています。目つきが鋭く、大きな口もとに牙がのぞいています。全身が青緑の毒々しい色彩で、爬虫類を思わせます。それはモンスターです。体長二メーターは優に超えます。あなたとそのモンスターは一対一で対峙して、まんじりともしません。あたりは熱風の吹く広大な荒野です
 ――なぜあなたはこんな事態に陥ったのでしょうか?
 あなたは若く優秀な方で体力、知力に恵まれた人間です。男女の差はこの話にはあまり関係ありません。あなたの夢は宇宙飛行士でした。そしてあなたは苦労の末、ついに様々な難関を突破しその念願を叶えました。そうです、輝かしい栄光を手に入れたのです。  そして人類の夢を担ったあなたは宇宙探査の為に宇宙船に乗り込みました。そして冒険の旅に複数のクルーと共に出発したのです。重大な任務です。
 最初は順調な旅が幾日も続きましたが、まさかの事態がおこりました。プレアデス星団を通過する最中、いきなりあなたは船ごと宇宙人に拉致されてしまったのです。
 勿論、あなたはそれなりの覚悟をなさってこの任務に志願されたのですから、さほど慌てたり取り乱したりはしませんでした。あなたたちは立派でした。
 気がつくとあなたは広い荒野にいました。そこにあなたは一人で立っていたのです。他のクルーたちの姿はありません。 そして空から宇宙人の声が響いてきたのです。そうです、冒頭の部分はまさにこの場面です。そして声は続きます。
「地球人よ。よくぞここまで来てくれた。その功績は認める。ところで君と今、対峙しているのはプレア人だ。文明の進み具合、体格、性格、知力、本能、その他、両者は実に似通っている。だからどちらが優秀な生命であるか判断がつきかねるのだ。したがってここで優劣をつけて欲しい。ここで決闘をしてもらって生き残った者を我が宇宙連邦のメンバーとして正式に認める。尚、戦いを拒否したものは弱者という烙印を押し、永遠に宇宙から抹殺する。一切の質問は勝負がついてから受け付ける。今はただ戦うのだ」
 あなたの心臓は早鐘を打ち鳴らし、逃げ出したい心境に陥りました。こんな理不尽な話なんてありましょうか。しかし逃げられません。頭の良いあなたは今の言葉をプレア人もプレア人語で聞いていたのだろうと察しましたから、穏やかではありません。
 先に手を出してきたのは鬼みたいなプレア人です。そしてすぐに格闘になりました。プレア人は怪力です。力では歯が立ちません。両者に与えられた武器は小ぶりのナイフのみでした。何度もナイフがあなたの体を掠めましたが、あなたはしぶとく戦いました。そして悪戦苦闘の末、柔術の心得のあるあなたはついにプレア人を関節技に決め、その場に這わせたのです。
 もはやあなたの勝利は決まったも同然でした。すると宇宙人の声がしました。
「さあ、とどめを刺しなさい人間よ。あなたはプレア人に勝ったのです」
 しかしあなたはそこで躊躇します。もちろんあなたは宇宙人を殺す為に宇宙の旅に出たわけではありません。むしろその反対です。宇宙の知的生命に出会ったなら出来うる限り、友好的に振る舞うと言うのが、地球宇宙開発本部の指令でもあります。
 あなたの手は震えています。そして興奮気味にこう叫んだのです。
「あなたが何者であるかはわからないが、もしかしたら本当に宇宙連邦のメンバーなのかもしれないが、こんな酷い殺し合いをさせて負けた方を宇宙から追放すると言うのですか! あまりに理不尽な、独断的で傲慢な話ではありませんか! 私には到底納得のできるものではありません。どうか私のこの問いに答えてほしい!!」
「地球人よ。質問は勝負がついてから受け付けると言ったように、あなたがとどめを刺さない限り勝負はまだついていないのです」
 それが声の主の答えでした。同じ言葉が何度か繰り返されました。しかしあなたからとどめを刺そうとする意志は消えていました。そしてきっぱりとあなたはこう言ったのです。
「地球人は、いや、少なくてもこの私は正当な理由も明かされないまま、この宇宙の生命体を殺すなんてことは絶対に出来ません!」
 するとどうでしょう。苦しそうな顔をして蹲っていたプレア人の表情が見る間に柔和なものに変化していったのです。そしてバサッと言う音がして周りの荒野が消え失せたのです。なんと荒野はスクリーンでした。そして周りには大勢の柔和な表情のプレア人がいて、嬉しそうに拍手を送っています。そして代表者がこういうのでした。
「失礼ながらあなたを試させてもらいました。そして私達はあなた方を心から歓迎します。平和の使いとして、わがプレア星に!」

       end


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