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卓袱台向こうの決闘

12/06/08 コンテスト(テーマ):第七回【 結婚 】 コメント:1件 バコ 閲覧数:1544

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 十年前の白魚の、人差し指にはインド土産の三文ルビー、薬指には無垢のしろがね、中指には立て爪のダイヤモンドが燦然と輝いております。モース硬度は足して二十一・五、息子の年を越えました。きゃつめが家を出て数年、もはや盆暮れにも顔を見せませぬ。
 それも無理はなかろうと、わたくしめすらうなずいてしまうのは、女房の憤怒の形相と振りかぶられる拳を見れば理解できるというものでしょう。柱の傷はおととしの、つわものどもの夢の跡でございます。何せ世界最硬の拳でありますから、そこいらのカイザーナックルなど土下座して縋りつき許しを請う有様、皇帝の名も泣こうというものですが、それも致し方ございません。
 今宵のいさかいの端緒は何であったか、夕餉の折にしょうゆを取ってくれと身の丈に合わぬ願いを乞うたのが悪かったのか。もはや遠きに霞む記憶は、しかし決してわたくしめをオアシスの彼方へ連れ去ってはくれないのです。更年期、のひとことで済めばどれほどよろしいことか、もはや理由なぞ無意味、何もかもが手遅れとなった今や、三ヶ月分の給料が乗った左ストレートの重みと、若き日の己の浅慮をただただ噛み締める所存であります。


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このストーリーに関するコメント

12/06/11 かめかめ

け、決闘にすらなっていない…^^;

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