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鮎風 遊さん

この世で最も面白い物語を見つけ出したい。 そのために、ひとり脳内で化学反応を起こし、投稿させてもらってます。 テーマに沿った個別物語の他に、いくつかのシリーズものをコツコツと書き続けさせてもらってます。 その主なシリーズものを紹介させてもらいます。  ☆❤☆❤☆ 新シリーズ 『ツイスミ不動産』 __ 2017.07.16よりスタートさせてもらいました。 カサリンとクワガタ野郎があなたが求める終の棲家を紹介いたします。  ☆❤☆❤☆ 『刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)』 __ 2017.05.21 ただ今、27話 __ 1話完結の2000文字推理小説です。この少ない文字数の中で、百目鬼刑事と部下の芹凛(せりりん)がいかに事件を解決していくか、その醍醐味を味わって頂ければ、光栄です。 これからも引き続き難しい事件に挑戦して参りますので、よろしくお願いします。  ☆❤☆❤☆ 『漢字一文字の旅』 __2017.04.04 ただ今、連載41__ 漢字にまつわるエッセイです。  ☆❤☆❤☆  『歴詩』 __歴史上の人物になりかわって、その波瀾万丈の生き様の思いを詩に綴らせてもらってます。 本作品については、フォト音(on)小説という形で、you tubeにもUPさせてもらってます。 詳細はこちらHPです。  ☆❤☆❤☆  http://ayukazeyuu.net/index.html  ☆❤☆❤☆                         よろしくお願いします。              

性別 男性
将来の夢 この世で最も面白い物語を見つけ出したい。
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太陽のせい ── 刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)

14/03/22 コンテスト(テーマ):第五十三回 時空モノガタリ文学賞【 太陽のせい 】 コメント:10件 鮎風 遊 閲覧数:2345

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 女流ミステリー作家・胡蝶乱舞が新幹線こだま号で絞殺された。このニュースで世間は大騒ぎとなっている。
 胡蝶は、例えば執筆しようとする殺人事件、それは現実に可能か、また論理性があるかを徹底的に検証すると言われている。そのせいか根強い人気がある。
 反面、胡蝶が抱えるストレスは大きく、今回気晴らしにと、京都駅午後2時05分発のこだま662号に乗り、熱海温泉へと一人向かった。
 新幹線は遅れなく、午後3時07分には時間通り三河安城駅を過ぎた。しかし、次の豊橋駅への途中、洗面室で絶命している胡蝶が発見された。
 走行するこだま内で人気作家が絞め殺された。即刻捜査本部は立ち上げられ、初動捜査の結果、胡蝶は名古屋駅から安城駅の間で殺害された。そして犯人は安城駅で降車し、消息を断ったと判明した。しかし、季節外れのため乗客は少なく、車内並びにプラットホームでの目撃者はいない。だが一方で、胡蝶は一枚のメモを書き残していた、『太陽のせい』と。

 胡蝶は今をときめく流行作家、捜査にも力が入り、事件は一気に解決するとみられていた。しかし、すでに一週間、犯人像は掴めず難航している。そこへ応援要請を受けた百目鬼 学(どうめき がく)が加わった。そしてまず着目したのが――太陽のせい。
 女流作家はいまわの際で何を訴えたかったのだろうか? 部下の芹凛(せりりん)こと芹川凛子刑事も同様に首を傾げる。
 その芹凛に、百目鬼はぶっきら棒に「意見は?」と。こんな訊き方をする時は答えが見付からず、脳が煮えたぎってる状態だと芹凛は知っている。ここは差し水で、「カミュの異邦人で、人を射殺した男の動機は太陽のせい。この横滑りで、自分が殺されるのは不条理なことと言いたかったのでは」と。
 百目鬼は知ってる、芹凛が文学少女だったことを。だからその感性を信じ、そのような解釈もあるかと思ったが、「あのオバサンはもっと物欲的だよ」と眉間に皺を寄せる。
 確かに、胡蝶乱舞は胡散臭い。芹凛の脳も、他の太陽のせいは何なの? と沸騰、そして遂に閃く。
「それ、キラキラネームよ」
 百目鬼は腕組みし、「なるほど、太陽は『ひかる』とかの当て字ってことか。もう一度身辺を洗い直そう」と。後はぎゅっと拳を握り締めるのだった。

 それから五日後、二人の必死の捜査により明らかになってきた。つまり胡蝶には文才があった。だがアイデアは乏しい。そのため背後に、推理ネタを売る通称ヒカル(太陽)という男がいた。
 さらに胡蝶のライバル作家・姫野にもヒカルはネタを売っていた。すなわち二人の女流作家はヒカルのネタを取り合っていたのだ。そして、この買い取りの縺れで、胡蝶は葬り去られたと推察される。
 しかし、ここで難問が。胡蝶が殺害された日、姫野とヒカルは東京駅からこだま657号に乗り、京都へと向かっていた。犯行時には、安城駅に対し東京よりの浜松駅付近を快走するこだま内にいたのだ。
 西へのこだまに乗車する者が、果たして擦れ違う、東へと向かうこだまの乗客を殺めることは可能だろうか?
 それでもここはベテラン刑事の勘、百目鬼は姫野とヒカルが怪しいと睨んだ。しかし、二人のアリバイが崩せない。頭を抱えるしかなかった。
「なぜ、わざわざ二人はこだまに乗ったの? やっぱり魂胆があったのよ」
 ここは女刑事の意地、芹凛が時刻表を持ってきた。二人は一心不乱にページを繰った。結果、推理は確信へと変わって行った。
「まず、お嬢の思う所を聞かせてくれ」
 部下に花を持たせた百目鬼に、芹凛は目を輝かせ…とうとうと。
 姫野とヒカルは東京駅でこだま657号に乗り込むが、ヒカルだけ新横浜駅で後続ののぞみ229号に乗り移る。そして名古屋駅で、胡蝶が乗車している、すなわち西からやって来たこだま662号に乗り換え、東へと折り返す。そして安城駅までの間、胡蝶を号車間に呼び出し、絞殺。
 その後、ヒカルは安城駅で降車し、そこへ東から入って来る元のこだま657号に再び乗車し、姫野が待つ席へと戻る。後は何事もなかったように京都駅へと到着。こうして、ヒカルは姫野と共にずっとこだま657号に乗車していたというアリバイを偽装した。

 パチパチと手を叩く百目鬼に、芹凛は動機がまだわからないわと自信がない。そこで上司の百目鬼は己の推理を披露。
「この筋書きはヒカルのネタそのもの。胡蝶は値切ると同時に、可能かどうかの試行を提案した。一方姫野は、高額買い取りすること、またライバルをこのネタ通りに殺せたら、ヒカルの一生を保証すると約束した」
 これに芹凛は「胡蝶が殺されたのは、太陽のせい、そう、ヒカルのせいだったのね」と納得し、頬を緩ませる。そんな部下に百目鬼は目をギラリと光らせ、釘を刺すのだった。
「仮説は今のところ事実ではない。さっ芹凛、これからそれを証明するぞ」


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このストーリーに関するコメント

14/03/22 鮎風 遊

みな様へ
まことに申し訳ありません。
一文字の脱字があり、一旦削除させてもらいました。

それまでに多くの方に閲覧頂き、ありがとうございました。
また、泡沫恋歌さまと笹峰霧子さまに下記にコメントをいただきました。
不備な文で申し訳ございませんでした。
謝罪申し上げます。


14/03/22 泡沫恋歌

鮎風さん、拝読しました。

これは西村京太郎みたいな、本格的、鉄道時刻表のアリバイですね。
少ない文字数でよくここまで入ったと感心しきりです。
それと、胡蝶乱舞というPNのアイデアが素敵だぁ〜♪

百目鬼刑事のシリーズ面白いです!
ミステリー好きには堪りません。ありがとうございます。


14/03/22 笹峰霧子

推理小説大好きでよく観ています。

最初、テーマの「太陽のせい」と推理小説がどう結び付くのかと興味津々で読み始めました。
ヒカルという名前と太陽を結びつけるアイディアはすごいな。

キャラクターのユニークな名前も面白いですね。

14/03/23 泡沫恋歌

鮎風 遊 様、了解しました。

私もよく後で誤字や脱字見つかりますが、ままよ!
でいってます( 〃´艸`)

14/03/25 草愛やし美

鮎風遊様、拝読しました。

乗っていますねぇ、ますます、快調に。今度はこだまですか。凄い推理を2千文字で、そのために時刻表をお買い上げになったのでしょうか? 今時は検索かしら、うーん、きっとそうなのでしょうね。
今回、本格的ミステリーになってきましたね。是非、今後は長編を、仕上げてください。かの西村京太郎ばりの推理作家さんが見えてきていますよ。頑張ってください。
面白かったです、ありがとうございました。

14/03/25 鮎風 遊

泡沫恋歌さん

コメントありがとうございます。
胡蝶乱舞、気に入ってます。
また他のPNも探してみます。

また、この時刻表、現在実際に走ってますので、
殺人はダメですが、下りから上りに、そして下りに戻れますよ。

よろしく。

14/03/25 鮎風 遊

笹峰霧子さん

コメントありがとうございます。

私もミステリー番組、よく観ます。
しかし、最近のものは少し複雑過ぎの感があるかなと思ってます。
もっとシンプルなものが良いかなと、このシリーズ続けさせてもらいます。
よろしく。

14/03/25 鮎風 遊

草藍さん

コメントありがとうございます。

はい、毎日どう殺すかの日々です。
今回は新幹線に乗らせてもらいました。
次は???
文学少女だった芹凛に相談してみます。

よろしく。

14/03/25 朔良

鮎風 遊さん、こんにちは!
拝読いたしました!

このシリーズ毎回楽しみに読ませていただいています。
今回はダイイングメッセージ+時刻表ミステリですか!
2000字でここまでかけるのがすごすぎます!
太陽のせい…私も一番最初に異邦人を思い出しました^^

14/03/27 鮎風 遊

朔良さん

コメントありがとうございます。

太陽のせい、それはやっぱ異邦人かな。
これを破りたかったものですから。
まだまだ頑張ってみますので、よろしく。

14/04/04 そらの珊瑚

鮎風さん、拝読しました。

毎回2千字で事件が解決されるのをすごいなあと思います。
二時間サスペンスでもいいくらいの面白さでした!

14/04/05 鮎風 遊

そらの珊瑚さん

コメントありがとうございました。

正直、2000字の刑事もの、くるしいですね。
得てして、業務報告書になってしまいそうで。

だけど、本シリーズ、続けさせてもらいますので、よろしく。

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