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gokuiさん

いい年して小説家を目指しているおっさんです。 様々なジャンルの小説を書いていますが、どのジャンルでも自分らしさが出せるように頑張っています。 皆様、よろしくお願いします。

性別 男性
将来の夢 もちろん、職業作家です。将来を語れる程若くはありませんけどね。
座右の銘 無理はしない! 石橋はたたいて渡るものです。たたきすぎて壊してしまっては元も子もありませんけどね。

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白髪頭とミーチャと子猫

14/02/20 コンテスト(テーマ):第五十回 【 三角関係 】 ターザン山本賞 コメント:6件 gokui 閲覧数:1277

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 妻に先立たれた寂しさを埋めるように、私は子犬を飼い始めた。雌のラブラ
ドールレトリバーだ。今年成人式を迎えた孫が、もう歳なんだから大型犬はや
めておけと提案してくれたが、私はペットショップでじっと見つめられ、ミー
チャに一目惚れしてしまったようだった。孫の声にはこたえず、ただ白髪頭を
かきむしるだけで、結果として私はその意見を無視してしまった。今まで犬を
飼っていたことはない。無知というのは恐ろしいもので、大型犬を飼うことを
甘く見ていたのだ。
 最初はよかった。まだ子犬のミーチャは散歩に連れ出しても、年老いた私の
力で何とかなったのだ。今ではどちらが散歩をさせてもらっているのか怪し
い。
 いつものようにミーチャに散歩させられていると、突然ミーチャは立ち止ま
り、姿勢を低くしてうなりだした。必死でリールを握りしめて息を切らしなが
らミーチャの視線の先を見ると、道ばたの電信柱の脇でモソモソと動いている
段ボール箱が目に入った。うなるだけですっかり動かなくなったミーチャの隙
を突いて、電信柱にリールを縛り付け、恐る恐るその段ボール箱を開けてみ
た。そこには、つぶらな瞳があった。「ニャー」と一声鳴いてじっと私を見つ
めるつぶらな瞳。無意識のうちにその段ボールを抱えていた。若い頃は気づか
なかったが、私は動物に見つめられると駄目らしい。
 帰り道、ミーチャは暇があればうなり声を上げた。それに反応するように段
ボール箱から顔を出してミーチャをにらみつける子猫。私はなるべく二匹の目
が合わないように努めた。

 家に帰ってミーチャのためにドッグフードを皿に盛った。問題は子猫の方
だ。キャットフードがないので、子猫のためにもう一皿ドッグフードを盛る。
それを見たミーチャは、自分のドッグフードがあるにもかかわらず、すかさず
その子猫のために盛ったドッグフードの皿を横取りする。慌てて飛び退いた子
猫は「フニャー」と毛を逆立たせると、さっきまでミーチャが食べていたドッ
グフードの皿に口をつけた。
 ドッグフードには少し口をつけただけで、両者にらみ合い。うなり声を上げ
るミーチャに「フー」と対抗する子猫。
「二人ともやめなさい」
 あきれて仁王立ちの私の声に反応するように裾にしがみついてくる子猫。そ
れを見たミーチャは前足を私の胸について後ろ足立つと、私の顔をペロペロ舐
めだした。
「こらっ、よせ。もう、どうすればいいんだい?」
 すっかり困り果てた私をよそに、子猫がミーチャの後ろ足に体当たりする。
後ろ足立ちだったミーチャはバランスを崩して大きな体を床にたたきつけた。
逃げる子猫に追いかけるミーチャ。瞬く間に家の中はどの部屋もめちゃくちゃ
だった。
 どうやらミーチャも本気で子猫を取って食おうという風ではないので、いさ
めるのもあきらめて私はもう好きなように追いかけっこをさせていたが、いつ
の間にか家には静けさが戻っていた。
「あの二人はどこへ行ったんだ?」
 家中探し回って私の万年床の布団で二人を発見した。ミーチャがまるで子猫
を守るように二人そろって眠りについていた。
「やれやれ、私にはおまえたちどちらかをとる事なんてできないんだから、こ
れからは今のように仲良く頼むよ」
 白髪頭をかきながら、今まで以上に苦労が増える毎日を思い浮かべ、楽しく
なる私なのであった。


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このストーリーに関するコメント

14/02/24 泡沫恋歌

gokui様、拝読しました。

まあ、何んと微笑ましい三角関係でしょうか。
ワンコとにゃんこ、どっちも可愛いくて、どちらか一匹なんて選べませんよね?

楽しいお話ありがとうございました。

14/02/24 gokui

 泡沫恋歌 さん

 コメントありがとうございます。二匹とも可愛く描けていましたでしょうか。私は動物を飼ったことがないので、このような状況はツッコミどころ満載なんでしょうけど、可愛ければ良いですよね。

14/02/24 四島トイ

拝読しました!
新参者の参入のようにも、2匹と1人であるようにも、全てが独立しているようにも感じられる作品でした。他のキャラクターでも活かせそうな筋立てが良かったです。

少し気になった点は、孫の言葉に白髪頭をかきむしるという表現であるとか、ドッグフードの取り合い描写で唐突に体言止めが用いられる点であるとか、仁王立ちの私という表現といった箇所でした。また、結末が些か疑問でした。動物の話ではありますが、もっと小説らしい心の機微のようなものが織り込まれてもよかったのではないかと思いました。

拙い感想になってしまいましたが御容赦ください。

14/02/24 gokui

 四島トイ さん

 コメントありがとうございます。
 かきむしるという表現や、仁王立ちという表現は私の読み直し不足ですね。確かに場面にあった表現ではないです。体言止めはアクセントになって緊迫感が出るかと思ったんですけど、変ですかね。
 結末もあっさりしすぎで考慮が足りなかったようです。まだ字数制限まで余裕がありますし、もうちょっとなんとか出来たはずですね。

 とにかく読み直し不足でした。一匹、二匹じゃなく、一人、二人という表現で統一したはずが二匹になっているとこもありましたし、読み直しをサボった結果です。反省しなきゃなりませんね。
 非常に参考になりました。今後ともよろしくお願いします。

14/02/25 そらの珊瑚

gokuiさん、拝読しました。

ミーチャと子猫、けんかしながらもきっと兄弟みたいに育っていくのでしょうね。
奥さんをなくされた寂しさが、にぎやかな生活で少しでも癒されてよかったなあと思いました。

14/02/25 gokui

 そらの珊瑚 さん

 コメントありがとうございます。
 特にストーリーにはこだわらずに、ほのぼのできればいいなあという浅い考えで仕上げてしまいましたが、ほのぼのできましたか? きっと、ミーチャと子猫は兄弟のように育っていきますよ。やんちゃな兄弟のようにね。

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