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こぐまじゅんこさん

詩を書いたり童話を書いたりしている主婦です。 みなさん、よろしくお願いします。 MyISBN−デザインエッグ社さんから、絵本「おしえて!ねこばあちゃん」を出版しました。 アマゾンでも取り扱っていますので、よかったら みてくださいね。 ブログ「こぐまのノート」も書いています。

性別 女性
将来の夢 自分の書いた童話を孫に読んで聞かせたいです。
座右の銘 しあわせはいつも自分の心がきめる

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チューリップの咲くころに

14/02/19 コンテスト(テーマ): 第二十六回 【 自由投稿スペース 】  コメント:2件 こぐまじゅんこ 閲覧数:2360

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 ぼくは、小学五年生。
 毎朝、近所の登校班で並んで学校に通っている。
 通学路には、ぼくたちの安全を見守ってくれている洋三じいさんが、毎朝、立っている。
「おはよう。気を付けて行けよ。」
 いつも声をかけてくれるのだ。
 洋三じいさんの大きな声を聞くと、ぼくは元気になれる。

 でも、今朝は、友達の様子がいつもと違う。けんたは、やたらつっかかってくる。
 ぼくは、適当にあしらっていたけど、近くにいた同じクラスの、ゆみちゃんをからかいだした。
 ゆみちゃんは、背が低くて、ちょっとぽっちゃりさんなのだ。
「ゆみは、ほんとにチビでデブだなぁ。うつるから、そばにくるな。」
なんて、からかっている。
 ぼくは、ゆみちゃんを助けたいと思ったけど、うまく言えないままでいた。

 ゆみちゃんは、、真っ赤な顔をしてうつむいて、歯をくいしばっている。
 そんな様子をみていた洋三じいさんは、言った。
「子どもが、やせほそっとっちゃぁみとれんぞ。ぽっちゃりぐらいが、かわいいんじゃ。いらんことを言わずに、はよう学校へ行け。」

 けれども、次の日から、ゆみちゃんは、学校に来なくなった。
 先生は、体調が悪くて来れないらしいとしか教えてくれない。
 ぼくは、昨日のけんたくんのせいじゃないかな、と思った。
 翌日もその翌日も、ゆみちゃんは学校に来なかった。
 ゆみちゃんの心は風邪をひいてしまったのだ。

 そして、ゆみちゃんが学校に来なくなって一週間がすぎた朝、洋三じいさんが朝の通学路にいなくなった。洋三じいさんも、寝込んでしまったのだろうか。
 ぼくは、心配でたまらなかった。

 ある日、学校の帰り道で、洋三じいさんをみかけた。ぼくは、急いでかけよっていくと、声をかけた。
「どこか体の具合が悪いんですか?この頃、朝、いないけど。」

「いや、そのちょっと腰が痛くてな。」
 洋三じいさんは、ごにょごにょ言って帰って行った。

 いつの間にか、十二月になっていた。
 洋三じいさんのいない朝から、一か月たった。
 ゆみちゃんが来ない学校は、終業式を迎えた。
 ぼくは、洋三じいさんのいない朝がものたりなくて、つまらない。
 でも、けんたくんも他のみんなも、もうすっかり慣れたみたいで、あいかわらず女の子をからかったりしている。
 ゆみちゃんのいない学校も、ふつうに授業をして、給食を食べてすぎていく。
 先生は、放課後、毎日ゆみちゃんの家に行っているみたいだけど・・・。
 それでも、みんなが、ゆみちゃんを忘れているみたいで、ぼくはなんだか心がざわつくんだ。クラスの仲間が、ひとり学校に来ないっていうのは、やっぱりいけない気がする。

 やがて、春が来た。
 今日、ぼくは、ゆみちゃんの家を探して、来てみたんだ。
 ゆみちゃんの家の庭には、赤や黄色のチューリップが、いっぱい咲いていた。それは、見事なチューリップ畑だった。
 ゆみちゃんの家のチャイムを勇気をだして鳴らすと、ゆみちゃんのお母さんがでてきた。
「あのう、六年生になったら、ゆみちゃんも学校に来てくださいって伝えてください。」
 ぼくは、ゆみちゃんのお母さんにそれだけ言うと背中を向けてかけだした。

 新学期が始まった。
 朝、通学路を歩いていくと、久しぶりに洋三じいさんがいた。
 そして、なんと、ゆみちゃんも。

 洋三じいさんは、ゆみちゃんが休んでいる間、ゆみちゃんの家の庭にチューリップの球根を植えて、毎朝、水やりに行ってたんだって。
 チューリップの花が咲くころには、ゆみちゃんの心の風邪も治るよって言いながら。

 ぼくは、ゆみちゃんの家の庭でみた、一面のチューリップを思い出した。

 洋三じいさんの愛情がいっぱいつまったチューリップが、ゆみちゃんの心を元気にしたんだなぁ・・・。

 ぼくは、洋三じいさんに大きな声で言った。
「行ってきまぁす!」


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このストーリーに関するコメント

14/02/19 泡沫恋歌

こぐまじゅんこ様、拝読しました。

ゆみちゃんの心の風邪がチューリップの花が咲く頃に治って良かったですね。
女の子は容姿のことでからかわれると、とても傷つきますから、けんた君にそのことをしっかりいい聞かせないといけませんね。

いつも、爽やかなお話ありがとうございます。

14/02/20 こぐまじゅんこ

泡沫恋歌さま。

コメントありがとうございます。
童話を書き始めて最初の頃の作品なので自信がなかったんですが、
爽やかなお話といっていただけて、うれしいです。

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