都然草さん

勢いで書き上げるので稚拙さが目立つかもしれませんが、お読みいただけると幸いです。

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14/02/02 コンテスト(テーマ):第二回OC【 馬 】  コメント:5件 都然草 閲覧数:1246

時空モノガタリからの選評

少々陳腐でありがちな恋愛の風景の冒頭が(たぶんそれはあえて作為的に狙った上でのことだと思いますが)一夜明けるとトンデモナイことに!
そして「僕」は彼女が馬になってしまったということを一ミリも疑わないという、普通ではありえないだろうという展開の面白さ。
カフカの「変身」は自分が虫になってしまう暗い不条理な話でしたが、これは明るい不条理な話ではないかと思いました。
もし愛する人が馬になってしまったら、あなたは同じ気持ちで愛することが出来ますか? 
すぐさま、はいと答えられる人はそうはいないでしょう。だって馬ですよ……。
それを実行した「僕」の純愛に感動さえ覚えてしまいました。

そらの珊瑚

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「狂おしいほどに、君を愛してる。何人も僕らの仲を引き裂くことはできない…。」
僕は彼女を間近に引き寄せ、キスをして抱きしめる。
ああ、柔らかい。あまり力を入れると壊れてしまいそうで、僕はこの手を緩める。
素晴らしい夜だ。こんな夜が続くのなら、もう朝なんていらない。彼女の白く細い脚に僕の足を絡め、そのまま眠りへ落ちていった…。

そして、
朝起きると、
彼女は馬になっていた。

僕のアパートの部屋の床という大地に、逞しい四本の脚ですっくと立ち、栗色の毛を朝陽に煌めかせ僕のことを見据えている。
もちろん最初は何が起きているのかわからなかった。
朝起きると、彼女は姿を消し代わりに馬がいた、のだと思った。
しかし、それは間違いで彼女は馬に「なった」のだ。
玄関には彼女の靴が綺麗に揃えてあるし、ベットの上にはビリビリに破けた彼女の服がしっかりある。念のために言っておくが、これは昨晩の素晴らしい一連の出来事の中で僕が破いたのものではなくて、恐らくは彼女が馬へと変態する過程で破けたのものだと考えられる。
しかし、そんな「モノ」よりも確かな証拠がある。

この馬の、瞳だ。

この瞳は確かに彼女のものなのだ。僕にはわかる。

さて、僕はこれからどうしたものか。この「彼女」をどうすればいいのか、また「彼女」に何をすればいいのか。
とりあえず以前飼っていた犬のブラシを押入れから引っ張り出し、毛並みを整えた。
自然と涙がこぼれてくる。ああ、この毛にも彼女の面影を感じる。彼女の髪の毛より幾分硬いが、それでもこの何ともいえぬ馨しい香りは彼女以外の生命体に出せるものではない。気づくと僕は彼女の毛並みに鼻を押し当て、声を上げて号泣していた。こころなしか彼女の目も、潤んでいる、ように見えなくもない。

ひとしきり涙を流した後、僕は決心をした。彼女のために土地を買おう。
僕はなにも、彼女の容姿のみを愛していたわけではない。内面も、いやまて、内面ももはやわからなくなったが、そうではない。そんなことは問題ではないのだ。


調べてみると、飼育許可申請などの公的な手続きが必要だったので、役所へ向かおうと僕は服を着替え、アパートを出ようとドアに手をかけようとした。
と、同時にドアが開き、
その向こうには、
僕のサンダルを履いた

彼女がすっくと立っていた。




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このストーリーに関するコメント

14/02/04 そらの珊瑚

都然草さん、拝読しました。投稿ありがとうございます。

読み終わったあと「なぜ馬が?」「なぜ馬が?」と頭の中をリフレインしました。
そこをあえて明かさないところもまた掌編ならではの面白さかなあ、と。
とにかくこのラストは想像しえない面白さでした。
いい人ですね、僕。早とちりにもほどがありますが(笑い)

14/02/04 そらの珊瑚

あっ、書き忘れてしまいました。
服がびりびりに破れて…のくだりはキューティーハニーの変身場面を思い出して
わかる!と納得してしまいました。
すみません、なんかくだらないことで、何度も。失礼しました。

14/02/04 都然草

そらの珊瑚さん
ありがとうございます!コメント頂けて本当に嬉しいです。
主人公が目覚めたら何かになる、というストーリーは結構よく聞くのであえて彼女が馬になるような話にしようと思って書きました。

姿形ならまだしも、中身すらわからなくなった女を愛した男は結局何を愛してたのでしょうかね。。
変身のときにビリビリに破れる感じ、わかっていただけて幸いです!笑

14/02/06 クナリ

なんとも風変わりで、でもとても強靭で気高い愛、そして前向きに現実の中で生きようとする主人公に感銘を受けていたところで、ラストでしてやられました。
「この瞳は確かに彼女のものなのだ。僕にはわかる。」はどうしたあああ!!
とおもわず突っ込まされてしまいました…。
不条理なる掌編、面白かったです。

14/02/06 都然草

クナリさん、コメントありがとうございます。
そしてナイスなツッコミです!まさに僕が求めてたものです!笑(偉そうにいってすみません。)
もっと書き込んでこの結末を派手に演出したかったなぁと悔やんでたんですけど、気に入って下さったようなのでとても嬉しいです。

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