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ポテトチップスさん

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お大事にどうぞ

14/01/27 コンテスト(テーマ):第五十回 【 三角関係 】 ターザン山本賞 コメント:0件 ポテトチップス 閲覧数:1119

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「お大事にどうぞ」
国谷和夫は女性の後ろ姿に声をかけてやった後、カルテを看護師に渡して次の患者を呼ぶボタンを押した。
しばらくして悩みありげな顔をした、ロングの髪を金髪に染めた女性が診察室に入って来た。
椅子に腰を下ろした女性に「どうされました?」声をかけた。
「三角関係で悩んでいます。この診療科ではこう言った悩みも扱っているんでしょうか?」
「ええ、扱ってますよ。私は柿沼総合病院 恋愛科 主治医の国谷和夫と申します。この診療科は先月から日本全国に先駆けて、国の実験モデルとして始まった新しい診療科です。三角関係の悩みで通院される方も大勢いますから、安心してください」
国谷は女性患者の三角関係の悩みを細かく聞きながら、それをカルテに記入した。女性患者はこの関係を早く断ち切りたいが、いざ男性に別れを伝えようとすると、どうしても相手の女に負けた気がして別れを言えないのだと話した。
「だいぶ、ハートが痛んでいるようですね。トローチプスと言うお薬を1週間分お出ししますので、とりあえずそれで様子を見ましょう」
女性患者は終始暗い表情のまま診察室を出て行った。
午前中の外来の患者をすべて診察した後、午後は重度の恋愛症を患っている患者の手術を2件執り行った。
その日の夜、国谷は行きつけのバーでカクテルを一人飲んでいると、店の入り口近くのテーブルに、3人の男女が一見楽しそうに談笑していた。しかし、2人の女性は明らかに男性を奪い合っている目を、時々垣間見せた。国谷は男女から目をそらし、なぜこんなに男が大勢いるのに、わざわざ一人の男を奪い合わなくてはいけないのかと、2人の女性の世間の狭さにうんざりした。
翌日、朝から患者の診察をこなしていると、思わぬ患者がやって来た。昨晩、バーの入口近くのテーブルに座っていた3人の男女のうちの男性だ。
「どうされました?」
「2人の女性にアプローチを受けているのですが、恋愛に興味が湧かないんです」
「それで、どうされたいんですか?」
「やっぱり今のままでは駄目なのかなって思ってて、恋愛に興味を持ちたいんです」
「それでは本日の午後に、恋愛に興味が持てるように手術をしますか?」
「恋愛に興味が持てるのであれば、お願いします」
午後の時間に再度、病院に来てもらうことを男性患者に約束して、次の患者を診察室に呼ぶためボタンを押した。
新しい患者が診察室に入ってくると、国谷はあれ?と思った。
患者のカルテを見ながら「昨日、トローチプスを1週間分お出しした患者さんですよね?」
「はい……。実は昨晩、トローチプスを全部いっきに飲んでしまいました」
「なぜ、そんなことしたんですか?」
「三角関係の辛さから早く解放されたくて、いっきに飲んでしまいました」
「辛さから解放されましたか?」
「いえ……、飲んだ後に嘔吐してしまいました。先生、病院のホームページを観たら、ハートの移植手術をやっていると記載されていたのですが、私に恋愛傷の無いハートを移植してもらえませんか?」
国谷は腕組みをして悩んだが、女性患者にあまりに懇願されるので、手術することを許可した。
女性患者はなるべく早く手術をしたいと言ったので、今日の午後に緊急にやることにした。
手術台の上で横たわっている患者の胸に、特殊な機械からレーザーを当て、ハートの移植手術を執り行った。
2時間の手術が終わり、その日のうちに女性患者は自宅に帰っていった。
5日後の水曜日は、強い風にのって粉雪が舞っていた。この日も朝から忙しく診察をこなしていると、5日前にハートを移植した女性患者が術後経過の診察にやって来た。
「随分と容姿が変わりましたね」
手術前はロングの髪を金髪に染めていたのが特徴的な女性患者だったが、今は黒髪のショートカットになっていた。
「先生、手術の後に恋人にあっさりと別れを告げることができました。それに人から性格が男の子っぽくなったと言われるんです。なんだか恋愛にも興味を感じないんです」笑いながら女性は言った。
国谷は女性のカルテを見たあと「あなたに移植したハートの以前の持ち主は、恋愛に興味が湧かない男性患者のハートです」
「私、これからはずっと恋愛に興味が湧かないんですか?」
「また恋愛をしたくなったら、別の人のハートを移植すれば大丈夫です。その頃にはいろんなハートが保存されているでしょうから」
「ちなみに、私の以前のハートも誰かに移植されるんですか?」
「もちろんそうです。三角関係の激しい愛情と嫉妬に興味がある人に移植されます」
女性患者はいろんな人がいるんですねと言って、お辞儀をして診察室を出て行った。

おわり


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