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石蕗亮さん

占師。および魔術師。 WEB幽にて怪談投稿してました。 弟子育成の経験や実体験を基にした不思議な話を中心に書いていきたいです。 沢山の方に読んで頂き、反論含めコメント頂けると幸いです。

性別 男性
将来の夢 作家、起業
座右の銘 人は言葉に置き換えれるものしか理解できない。置き換えた言葉でしか理解できない。

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多夫多妻 序章 と モノガタリ其の1

14/01/23 コンテスト(テーマ): 第二十四回 【 自由投稿スペース 】  コメント:7件 石蕗亮 閲覧数:1357

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 20XX年、少子化の進む日本である日こんなニュースが流れた。
「本日、内閣総理大臣は少子化対策として、多夫多妻を認める重婚を法律で認めることを発表いたしました。」

 昼時に速報として流れたニュースに、それを見ていた国民は皆目を奪われていた。
「それでは国会記者会館より中継です。」
興奮気味のレポーターの声に続いて、映像は時の内閣総理大臣を映した。
 「本日、少子化および高齢化への対策といたしまして重婚を認める法律を施行することを決定いたしました。一部他国に見られるような一夫多妻制ではなく、多夫一妻をも含む多夫多妻制度であります。この制度を以って、国民の皆様にもっと自由な恋愛思想の基、人口増加に貢献して頂き、明るい日本の将来を築いていってほしいと思います。」
内閣総理大臣は自信に溢れた表情でこう発表した。
「詳しい説明や手続きについてはこの後の官房長官から発表される内容を確認してほしい。」
そう言うと内閣総理大臣は颯爽と踵をかえし、記者団に手を掲げ壇上を後にした。
記者団は只々カメラのフラッシュを焚くばかりであった。

 直後、ワイドショーはその話題しか取り上げなくなっていた。
「結婚という神聖な儀式を何だと思っているんだ!」
という否定的な意見から
「恋愛の見解の幅が広がることでストーカーや性犯罪が減るのではないか。」
という前向きな意見まで、様々な立場の人たちが激論を交えていた。
そんな中「速報です!」と映像が割り込まれた。
 「たった今から内閣官房長官による重婚制度の説明が始まります!」
レポーターの女性は興奮しながら中継をしていた。
 
 「えー、本日制定されました重婚の法制度につきまして説明いたします。」
官房長官がそう言うとカメラのフラッシュが無数に瞬いたがすぐに収まった。
 「重婚制度につきまして、重婚の人数につきましては制限を設けません。何人と婚姻関係を結んで頂いてもかまいません。
また、少子化対策としても法制度ではありますが、必ずしも子供をもうけなければいけないというようなことはありません。そのような強制のあるものではなく、あくまで子供をもうけるための恋愛の契機となれば良いと考えております。
次に遺産についてですが、第一伴侶へは財産の1/2を。またその中からさらに1/2が第一伴侶の子の配分となります。
つまり遺産が1000万円だった場合、第一伴侶は250万円、その子が1人ならば子の相続は250万円、子が2人ならば1人当たり125万円ということになります。
次に第二伴侶以降は残り1/2を均等割りするものとします。
例えば第3伴侶までいた場合、第2、第3伴侶はそれぞれ125万円づつとなり、それらに子がいた場合は第一伴侶同様にその1/2が子の相続となります。
但し、遺言があった場合はそちらが優先されるのは現行のままであります。
他、伴侶の序列ですが原則結婚した順ではありますが、人の想いに優劣をつけるというのは不可能であり、且つ、個人の価値感に因るもので法で定めるべきことではありませんので当人同士の了承のもと、各地域行政へ届出を頂ければ変更も可能であります。
更に細かい規定や手続きについては各行政機関から発行されている説明やHPなどを参照しご確認ください。
今回の画期的な法施行により、少子化が改善され明るい日本の将来が訪れることを期待しています。」
そう言うと再びカメラのフラッシュが無数に瞬いた。
あまりにも長く瞬くため映像は光のみの真っ白い状態と化していた。

 続いて記者からの質問となった。
「性の乱れによる犯罪増加のおそれはないんですか。」
 「私はむしろ逆に減るのではないかと思います。今までよりも恋愛の在り方や考え方の幅が広がるわけですから、今までよりも恋愛状態へのある意味抑圧が減り、犯罪へのエスカレートが減り、その結果、ストーカーや性的暴力といった犯罪は減ると考えています。」
「未成年に対する影響はいかがですか。」
 「未成年に対する法制度は今まで通りです。責任能力、および経済能力が伴う年齢になるまでは婚姻の不可および性的雑誌や映像の閲覧も不可というのは現行通り変わりありません。」
「重婚による性病拡大のおそれについてはどうお考えですか。」
 「そこは今まで通り、当人たちの健康管理の問題です。しかし、可能性として増えることは想定しています。ですが、それは医療費が増え国の収入が増えるだけであり、先にも言ったようにあくまで健康管理とは個人の問題であり各自で管理していただくしかないと思います。
だからといって医療を疎かにするわけではありません。万が一を考慮しエイズ対策や感染病への設備投資はすでに閣議決定されており、今年度の予算にも追加で組み込まれております。予算といいましても税金を新たに使用するのではなく、先ほどにも言ったように医療費が増えればそれを国が再び医療の現場へフィードバックさせることで国民負担をかけない在り方で考えております。」
「重婚によるモラルハザードのおそれはありませんか?今までのように1人の伴侶を大切にする、ということがなくなってしまうのではないでしょうか。」
 「重婚しなければいけないという法律ではありません。1人を大切にするということは人として立派であり大事なことだと思います。
あくまで今回の重婚制度は恋愛の可能性を広げることで、愛し合う男女の下に愛される子供が増え、結果として日本国民の人口増加につながれば幸いというものであります。
もし、重大犯罪等が頻発するようであれば、見直しや改正、廃止もあって然るべきなのは他の法制度と同じであります。
重婚をする・しないはあくまで個人の自由であり、強制するものではありません。また、過去から連綿と受け継がれている婚姻制度やその精神性を蔑ろにするものでもありません。先人たちの遺志を尊重しつつ、先にも言ったように可能性拡大のひとつと認識していただきたい。」


 その翌年、20〜30代を中心に日本の在り方は大きく変化し始めていった。

・ベビーブーム到来!
・家族のために働く若者急増!
・ベビー用品の品切れ続く!価格の高騰!
・生活向上のための労働賃金値上げのスト勃発!収入の倍増!!
・生活場所確保のため不動産売上げの激増!!
・子供と遊べるアトラクションや施設の急増!それに伴う建設業界の売上げ激増!!

毎日のように時代の変化を告げる見出しが新聞やワイドショーを飾った。
それに伴い同時進行で国が出産や医療設備への保証を充足させたり、保育所や幼児預かり所の増設などを国費で賄ったことが大きなはずみとなった。
国がお金をかけても半年もすれば元が還り利潤が生まれる。
利用する人が増え続けるからだ。
そのため国もどんどん先行き投資として施設の充足や生活の保証にお金を投資していった。
芸能人の重婚などがメディアでお取り上げられたのも強い影響となり、それから2〜3年で重婚は一般的なものとして普及していった。
50代以上の年代からは批判もあり
「うちの娘が2番目や3番目なら結婚させない!」というアンケート結果も多かった。
しかしそれも時流としてドラマなどに取り入れられ

「おとうさん!娘さんを僕にください!」
「君は初婚かね?」
「いえ、すでに1人妻がおります。」
「ふざけるなっ!そんな奴にうちの大切な一人娘を嫁にやれるか!!」
「そんな!おとうさん、私たち真剣に愛し合っているの!!許して!!」

そんなシーンも多く目にするようになった。


それから10年後、新しい法律が施行されることになった。

 結婚相手の制限、である。

 重婚は法律で認められているが、必ずしも同じ家庭内で生活しているとは限らずその多くは近隣に家や部屋を持っていた。また、離れた土地に家族を持つ重婚者も少なくはなく、異父異母の兄弟姉妹がお互いの親が同一であることを知らずに生活しているケースが多かった。
このままでは近親婚の発生が危ぶまれるとして、政府は重婚制度発足後に生まれた子供たちに両親を証明するIDの発行と、それに伴う親子のDNA検査を義務付けた。

 その後の2〜3年はDNA検査によって判明した血縁関係の無い親子のニュースと、それに伴う遺産相続詐欺のニュースが後を絶たなかった。
しかし、そんな中でもモラルハザードだと騒がれなかったのは真剣に愛し合っていた人たちが多かったからなのだろう。



  「ストーカーと呼ばれるよりは犬と呼ばれても貴女の傍に」

 ある男が惚れたのはもうこれ以上重婚はしないという女性だった。
何度か求婚したが友達以上にはなれないと断られ続けた。
男は顔は十人並。性格は良く言えば優しいがどちらかといえば芯が無いようなタイプだった。
彼女の2人の旦那はそれぞれが会社を経営し人格者であった。
しかし彼女はお金で人を決めるような性格ではなく、彼女もまた人格者であり、人を愛すということに強く責任を持つ人であった。
それ故の拒絶であった。
彼に非があるわけではなく、彼女の生き方としての問題であった。
しかし、それを受け入れがたかった男は次第にストーカー行為をするようになってしまった。
何度か自制もしたが、彼女への想いは絶ちがたく気がつけば彼女の姿を追うようになっていた。
そんなある日のこと、男は彼女の2人の旦那に取り押さえられることとなってしまった。
彼女も生活の端々に男の存在を知ってはいたが気にはしていなかった。
しかし旦那たちは違った。
いつか犯罪に走るのではないかと心配し、ついに取り押さえることになった。
 男は涙ながらに訴えた。
「私は大した学もなく器用でもない。人と比べて突出して何かができるわけではないが、それでも彼女を好きだという気持ち、彼女と特別な繋がりが欲しいという気持ちは、自分の本心は裏切られない。しかし、彼女にも彼女の家族にも迷惑はかけたくない。辛い、辛いのだ。」と。
 それから数日後、男は彼女と旦那たちに呼び出された。
彼らは男の人と也を鑑みて相談し合った結果、ある提案を男に持ちかけた。
「彼女の愛に対する考え方や在り方を尊重したい。しかし、君が犯罪を犯すような悪い男にも思えない。彼女を第一に優先した妥協案だが、結婚は認める。但し性交は一切禁止。また、下男として家事全般に従事すること。」
以上をのめるのであれば家族として共に生活することを認めるとういうものであった。
 男は喜んで提案を受け入れ、更にもしもの時の相続はいらないと自分から付け加え彼女の第3伴侶となった。
 男は家事をする傍らで2人の旦那の仕事も少しづつ手伝うようになっていった。
2人の旦那が思うよりも男は器用に家事や仕事を手伝い、次第に家族の信頼も厚くなっていった。
2人の旦那は以前よりも仕事が進むようになり事業をどんどん拡大させていった。
10年後には家族で大きな屋敷を購入し、男はそこで執事長として働くようになった。
2人の旦那の信頼も厚く、子供たちには優しく、時には厳しく、長く屋敷に仕えていった。
 やがて、長く長く時が進み先に第1伴侶の旦那が逝ってしまった。
「あとは任せた。安心して逝ける。」
それが男への別れの言葉であった。
それから数年後、第2伴侶の旦那も先立った。
「お前は私たちの家族であり、私たちの子供のれっきとした父親である。今更かもしれないが、お前は私たちとの約束を本当に守ってくれた。しかし、いつしか私はそんな約束はもういらないと思っていた。
本当に今更かもしれないが、お前のことは本当に信頼している。あとは何にも縛られず自由に生きてほしい。私もあいつと同じで、あとはお前に任せて、安心して逝けるよ。」
そう残して逝った。

 ある日の夕暮れ、テラスで女に紅茶を出すと「貴方も一緒に。」と勧められた。
男は女の向かいに座ると紅茶を一口含み「さみしくなりましたね。」と呟いた。
女は「まだ貴方が居てくれるじゃない。私の最期もちゃんと看取ってくれるのでしょう。」と微笑んだ。
「結局、私が一番長く貴女とお付き合いさせていただきましたね。」と微笑み返すと、女はカップを置いて席を立ち男の横へとやってきた。

 そして「ありがとう。」と言うと初めて男とキスをした。


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このストーリーに関するコメント

14/01/23 石蕗亮

今回は5000文字オーバーの長い文章となりました。
最後までお付き合い頂けたら幸いですm(_ _)m

14/01/25 白虎

拝読しました。
長い作品でしたが読むのは一気でした。
世界観の設定から作品へ入り込んでいくところは読んでいて違和感なく面白かったです。
次回作も楽しみにしてます。

14/01/26 メラ

あれ、長かったの?と、コメントを見るまで気づきませんでした。すらすら読んでしまいました。設定への導入がSFっぽく、痛快なノリもあり、きっと作者の文章力でしょう。面白かったです。

14/01/26 石蕗亮

白虎さん
いつもありがとうございます。
世界観のところだけで3000字くらいいってました。
もっと本文の中身を厚くしていきたいと思います。
次回もぜひお付き合いよろしくお願いします。

14/01/26 石蕗亮

メラ様
読んで頂き、お褒めのコメントも頂きありがとうございます。
これからもお付き合い頂けたら幸いです。
楽しんで頂ける作品をこれからも作っていきたいと思います。
今回は私の普段のジャンルである、夢や魔術ではなく、仮想未来で書いてみました。
半ば私小説気味になりますが、次回もお付き合い頂けたら嬉しく思います。

14/01/30 スモーキー

拝読いたしました。
本当に近い将来起きそうな話で面白かったです。
実際に今すでに起こっているような感覚で作品世界に入り一気に読んでしまいました。これで5000文字とは思えませんでした。

15/01/08 石蕗亮

スモーキーさん
この作品は別ストーリーも設定しているので次回作もお付き合い頂ければ幸いです。

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