1. トップページ
  2. See you next life

ふぐ屋さん

自分の中に溢れてる言葉を形にしたくて登録しました。 中学から始めた創作活動ももうすぐ25年。 昔の作品含め、皆様に読んでいただけると幸いです。

性別 女性
将来の夢 自分が自分らしく生きていけるようになりたい。
座右の銘 自分の限界は自分で決めない

投稿済みの作品

1

See you next life

13/12/29 コンテスト(テーマ):第四十六回 時空モノガタリ文学賞【 夢 】 コメント:1件 ふぐ屋 閲覧数:938

この作品を評価する

ふわふわ、ゆらゆら、何て・・・・・・実際はどんな感じかよく解らなくて
白でも黒でも赤でも青でもない空。
いや、そもそも【空】って何だっけ・・・あぁ、私を見下ろしてる、アレの事か――。


君は、何も語らない。


裸足で1歩近づく私に、首を横に振って、1歩遠ざかる。
どうしてそんなに悲しそうな顔をしてるんだろう。

『模擬の結果、そんなに悪かったの?』

いや、それは私か。
いくら推薦だからって、D判定はダメでしょ。
君は微動だにせず頭上に人差し指を突き立てた。
何でかな、私は首を縦に振って呟いた。

『うん・・・そう、雪。初雪なんだよ。』

私は両手を差し出し、手のひらを広げた。
すると小さな小さな白い結晶が舞い降りて、―――消えていく。
今年の初雪は去年より1週間ほど遅くて、ホワイトクリスマスにはならなかった。
彼と二人で過ごす初めてのクリスマス。
神様からの素敵なサプライズは、来年にお預けだねって、二人で笑ったっけ。


私が小さく微笑むと、君も微かに微笑んだように見えた。


『・・・・・・そういえば、君、宙返りできる?』


私の問いに、彼は首を左右に振った。

『そっか・・・。』


無言が支配する空間。
頭の中に浮かんだメロディは、もう歌詞が思い出せなくて鼻歌になってしまった。
すると、君は瞳を伏せて手拍子を始める。
あぁ、この感じ・・・。
音楽室から聞こえてくる吹奏楽部の演奏に合わせて、下手くそな歌を披露したっけ。
最初は大笑いしてた彼だけど、最後まで耳を傾けてくれた。
何でこんな事思い出すのかな。
そんなに昔の出来事ってわけじゃないのに、変なの。


『ねぇ、君も歌おうよ。』

私は右手を差し出し、彼に一歩近づいた。
彼は、また一歩遠ざかる。

と、その時だった――――――。


『あれ・・・・・・、彼って、誰だっけ。』


さっきから、私の記憶の中にいる【彼】
ずっと一緒にいて、私を一番近くで支えてくれてた人・・・・・・だと、思う。
でも、何で今はココにいないんだろう。
あれ、彼ってどんな顔だっけ、どんな声だっけ・・・・・・。


足元がぐらついた。
すると、君の瞳から一筋の涙がこぼれ落ちたのだ。

『どうして泣いてるの?』

問いかけても、君は私の瞳をまっすぐに見つめ何も語らない。
だけど、何でかな・・・・・・君が泣いてると、心が張り裂けそうになるくらいに辛いよ。
頭の中に直接響き渡るサイレンの音。
雑音に紛れて、無数の人の声が私を急かして、追い詰めていく。
体中に突き刺さる刺すような痛み、痛み、痛み。
呼吸が出来なくなりそうで私は喉元を抑え、その場に崩れ落ちた。

薄れゆく視界の中、目の前に広がるのは―――真っ赤な血の海。


イヤ、イヤ、イヤ。

私は、何処にも行かない―――っ!

『私はっ、君と一緒にいたい。・・・・・・だから。』


震える手を君に伸ばした時だった。
君が自らの左手の薬指に口づけをして、その手を私に向けて伸ばしたのだ。
そして、音は生み出さない、君の囁きが私を包み込む。

また、会えるよ。だから、笑顔でサヨナラしよう、だなんて・・・。

本当に、君は・・・・・・・・・最後まで嘘つきで、優しい人だね。
でも、その優しさが誰よりも大好きだった。
その優しさに誰よりも支えられたんだよ。
だから、君の嘘に付き合ってあげる、そうだね・・・・・・また、会えるね。

『サヨナラ・・・・・・っ』


私は震える声で、呟いた。
薄れゆく意識の中、君が――――、大好きな彼と重なった。






次に私の視界に映ったのは、やはり見慣れない景色。
だけど、君と出会った時とは違いとても現実的で夢も希望もないコンクリートの天井。
そして真っ赤に目を腫らした懐かしい母の笑顔だった。

私は事故にあったらしい。
彼と二人で図書館に向かう最中、居眠り運転のトラックに巻き込まれたんだとか。
意識不明の重体、まさに生死の境を彷徨っていたんだとさ。

「あのね・・・あーちゃん、・・・智久君なんだけど・・・。」
「大丈夫。私は大丈夫だから。」

歯切れが悪そうに言葉を選ぶ母に私は微笑んだ。
そして、見慣れない赤い痣が残る左手の薬指に優しく口付けて言った。

「・・・・・・また、会おうねって、約束したから。」


嘘つきの汚名返上したいんだったら、早く会いに来てね。
とりあえず、来世に期待して今世は1人逞しく生きてあげるからさ。





コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

13/12/29 朔良

ふぐ屋さん、こんばんは。
拝読いたしました。

彼岸と此岸の狭間で見た夢、悲しくて優しいさよなら…。哀しいお話ですが、とてもロマンティックですね。
夢の約束を支えに、主人公が強く生きていけるように祈ります。
素敵なお話、ありがとうございました。楽しめました^^

ログイン