1. トップページ
  2. ジンセーゲーム

ナツさん

昼ドラ系も、ほっこり系も、大好きです。 拙い文章ですが、読んでいただければありがたき幸せ… ぜひ、ご賞味ください・Д・ノ

性別 女性
将来の夢
座右の銘

投稿済みの作品

0

ジンセーゲーム

13/12/23 コンテスト(テーマ): 第二十三回 【 自由投稿スペース 】  コメント:0件 ナツ 閲覧数:1023

この作品を評価する

    ある朝目覚めたら足が消えかかっていた。寝ぼけてるのかと思い目をこする。足は元に戻っていた。

 「びっくりしたでしょ?」
後ろから突然声が聞こえた。そいつの声はいたずらした後の子供のようだった。
  「でもね〜、もう少ししたら全部ああなっちゃうんだよね〜」そこには見た事ない生き物がいた。羽が生えてて飛んでいる。ぱっと見天使のようだがイメージするのと少し違った。
  「天使みたいだなって思ったでしょ?実はそうなんだよね〜人間って勝手にイメージ作っちゃうから困っちゃうよ」ギクッ
  「もうすぐああなるってどう言う事なんだ?」そいつに聞いた。
  「僕がきたってことは死が近いってことじゃん、まあ、すぐじゃないけどね〜」「じゃあ君は伝えるためにきたってこと?」
「それだけじゃないよ」そいつの顔が急に険しくなった。

   「あんたが死ぬべき人間か、死ぬとしたら死ぬ前に何をしたら良いか、死んだ後どの道に進むか…そんなことを決める役目もあるんだ〜」
口調はさっきのまんまだが、目が笑っていない。天使というかまるで悪魔のようだ。
  「で、俺は死ぬべき人間なのか?」
  「まだわかんないよ…さあ、ゲームを始めようかな?君の人生に決めるゲーム…まさに人生ゲームだね。」
    子供のように笑っていたが、裏には別の顔がありそうだった。

    パチンと指を鳴らすとどこか知らないところにいた。浮島のようなそこの周りは水で覆われていて、島と言えるかどうかの人一人分の土の上に立っていた。足はこれから起きることへの恐怖で震えが止まらなかった。
  「そう言えば言ってなかったね…僕の名前はムムだよ。」
   そいつ…ムムは人の人生をまるでゲームのように、いや、これはゲームだったのか。そんなことを考えていると足元の水から無数の手が出てきた。気味悪いにも程がある。それを見てムムは言った。
   「一人だけ助けてみて。君が本当に大切な人が出て来る。それがゲームの成功か失敗かの判断になるから。君は誰を助けるんだろうね。」笑いを堪えてる様子が伺えた。こんなこと早く終わらせたい、その一心で一つ手を引っ張った。
   その上がってきたやつの顔を見て思わず手を離しそうになった。自分の顔だったのだ。目は閉じてて濡れてて死んでるようだった。
  「わかった?君が一番大切なのは他の誰でもなく君自身なんだよ。薄々気づいてたんだよね?人の事を考えられない自分が恋人のどうしようもないやつだって。」
けなされているのになぜか何も言い返せなかった。その通りだったからだ。
  「今の結果からはあまり印象は良くないよね〜、君は巻き返せるのかなぁ〜」
悪い方の死に一歩近づいたってわけか…
  「開き直らないで欲しいけどさ、あんまり落ち込まないでね。僕がきたってことはさ、完璧にいい人間じゃないって前提できてるから、みんな始めはそんなもんだよ。」

   すべて見透かされてる。こいつの前ではきっと嘘はつけない。死にたくないわけじゃないけど死なないでいれるならその方がいい。自分が悪人だとは多分ほとんどの人が思ってはないと思うけど、だからこそこいつらが教えてくるのだろう。それが俺の元にそいつが来た一番の理由だと思った。
   どれだけ歩いたのかわからない。足も疲れを通り越した。足場の悪い道をこんなにも歩いたことはない。
  「どこ行くんだよ!」
  「どこだと思う?ってか黙ってついてきてよね〜」
その瞬間のムムの顔は今でも覚えてる。見下したようなその顔には生気を感じさせず、口角は上がっていたが目は笑っていなかった。
   「さあ、着いたよ」
   そこは自分が昔住んでいた家だった。空き家になっていてボロボロだったが、昔のまんまだった。空き家になっている訳を実は知っていた。ここに住んでいたのは小学校の低学年くらいまでだったと記憶しているが、その時に両親が殺された。自分は友達の家に行っていて無事だったが、帰っていた時に見た家の様子は時々夢に出てくるほどだ。
   そのあと自分は親戚の家を転々とした。どこに行っても邪魔者扱いされてまだ子供だったから本当に辛かった。
  「あの時から来たことないよね?なんで?」
天使のくせにズケズケと聞いてきやがる。
  「それは辛いからに決まってるだろ。」
  「それって自分のせいでもあるって思ってるから?」
どうしてそんなことまで…驚きを隠せなかった。
   実はその頃つるんでいた友達がいわゆる不良だった。犬や猫をいじめて楽しんでいた。始めのうちは注意したり先生にチクったりしていたが目をつけられていじめられたので一緒になっていたずらをしていた。それはいたずらと言うほど、可愛いものじゃなかった。
   その時にいじめていた犬は飼い犬だった。普段は野良犬なんかをおもちゃにしていたが飽きたらしく、繋がれたままの飼い犬をおもちゃにしていた。しかし、その飼い主に見つかってしまった。その時にいじめて犬はもともと弱かったらしくいじめが原因で死んでしまったらしい。自分は運動音痴だったから逃げ足も遅かった。そして顔をみられてその復讐に俺を殺そうとしにきたらしい。しかし、俺がいなかったから帰ろうとした時に親に注意され、カッとなって殺したと話していた。
   つまり両親が殺されたのは自分のせいなのだ。

 「何でも知ってるんだからね?まあ、ドア開けてみてよ。」
   促されるまま、俺はドアを開けて中に入ろうとした。しかし、いざドアノブを掴んでみると手が震えて回せなかった。後ろではムムが急かしてくる。開けたいのは山々だ。こんなこと早く終わらせたい。
   それでも頑張って開けてみると、ぼろ家のはずなのにあの時のまんまだった。それどころか生活臭がする。怖かったけれど、上がってみると台所のあたりで音がする。包丁で何かを切っていてまな板にあたってトントンとリズムのいい音がしていた。しかし、ここは誰もいる訳がない。ますます怖くなった。すると、
  「おかえり。今日はカレーよ。手洗ってらっしゃい。」
明らか母の声だった。見てみるとやはり、母だった。動揺を隠せなかった。しかし、なぜか恐怖はなかった。振り向いてみると今までいたムムの姿がない。
 「何してるの?早くしなさい。」夢でもいい。この時間を少しでもいいから過ごしたかった。

   いつになったらこの幸せな過去の期限が来るのか、そんなことは全然わからなかったけど知らなくていいことだと感じた。なぜか。
2日3日と過ぎていき、一週間が経った。もうこの奇妙な出来事に飲み込まれていて小学生の頃から今まで、ずっと過ごしてきたように思われた。
  しかし、そんな幸せがずっと続くわけがない。何しろ自分はもうすぐ死ぬかもしれない身なのに。
 「わかってるじゃん!もう終わりだよ。」
パチンと指を鳴らすと俺はボロ家の中にいた。これがこの家の本当の姿なのだ。
 
「どうだった?この一週間は。楽しかったでしょ?でもね〜この幸せは自分でないものにしたんだよ?次はどう思うかな〜w」
    こいつ、天使のくせにwなんて使ってやがる。はぁー次は何なんだ?またムムがパチンと指を鳴らした。
   いきなり頭の中に昔の家が写った。それは衝撃的だった。

   それはおそらく、両親があの飼い主に殺された日。あいつが家の前にいる。刃物を持って。その目は殺意に満ちていた。
それはそうだ、自分の大切な犬をガキどもに殺されたんだから。でも、あの時はまさか殺しに来るなんて夢にも思わなかった。
  そいつがインターホンを押すと父が出てきた。
「息子さんいますか?」
「あの、どちら様ですか?」
「居るかって聞いてんだよ!」
刃物を父に向けた。
「け、警察呼びますよ」
「うるせ〜!早くあいつを出せ!」
父の腹にナイフを刺した。
父はふらふらになりながら、家に戻り母に逃げるよう言った。でももう遅かった。母が父に駆け寄ったときもう後ろにあいつがいたのだから。

   目の前であの日の情景が映され、正気でいられなかった。あまりに生々しかったからだ。こんなもの見せられて気分が悪くならないやつなんていない、そのくらい強烈だった。
  「本当にラッキーだったよね〜、あの場にいなくて。誰のせいか知らないけど〜」
  「何をさせたい?こんなことしてどうなるんだよ!!」
 「表向きはね、対象者の運命を決める役目なんだけど。でもね、この仕事って子供の遊びでもあるんだよね。笑えるでしょ?だからさ〜もうちょい付き合ってよね」
   遊び?今までこんな思いさせといて。殴りたくなったけど、遊びと言ってもこいつが運命を決めるのには変わらないからそんなこと出来ない。
 「なんてね、冗談だよ冗談。まあ頑張って!」

  いくつの試練を超えてきたのだろう。最後の試練で自分の心情が変化してきたことに気づいた。これがムムの目的か…
それはこのゲームを始め出した頃の自分を見せられるものだった。今よりもツンツンしていて何処かのネジが外れてるみたいで自分なのに気味悪かった。感情がむき出しで今の自分からは想像できないほどだった。あの時、自分が恋人なんだって言われたときはわからなかったけど、今ならわかる気がする。

  いよいよ結果が出る日。俺の人生がここで決まる。もう、すぐ足元まで境界線が来てる。不思議と気持ちが穏やかになったこの一ヶ月ほどの間に死への恐怖は消え、また生きることへの希望ができた。矛盾していてうまく表せないけど、そんな気分だった。

   生と死をわかった時、どちらへの恐怖も消えて楽になれた気がした。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
「…ん。ここは?」
「病院ですよ。頑張りましたね。」
目の前には白衣を来た男性が立っていた。彼が言うに俺は事故にあって生死の境を彷徨っていたらしい。
数日後、退院祝いに病室で友達と写真を撮った。
ベットに座った俺の腹の上を見て何かいると言った友達がいた。けれど俺は怖くなかった。
だってそれはムムだったから。
「ありがとう、頑張って生きるから…」
俺は心の中でつぶやいた。




    
    


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

ログイン