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光石七さん

光石七(みついしなな)です。 子供の頃から空想(妄想?)が好きでした。 2013年から文章化を始めました。 自分では気付かないことも多いので、ダメ出しを頂けるとありがたいです。

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根古野町の空の下

13/12/19 コンテスト(テーマ):第一回OC 【 猫とアオゾラ 】  コメント:12件 光石七 閲覧数:1415

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小さな穏やかな町、根古野町。この町の平和を守るため、人知れず戦う者たちがいる――。

草が生い茂る空き地でのデッドヒート。
「ブラック、そっちだ!」
「OK、肉球フラッシュ!」
「チュ、チュチュウゥ……」
「ホワイト、とどめを!」
「いくぜ! デス・ニャン・ファング!」
――人間の目には二匹の猫がネズミを捕まえているとしか映らないだろう。ネズミに黒猫が飛びかかって前足で押さえつけ、白猫が犬歯で首根っこを噛んだ。そう思うはずだ。だが、ここには重大な事実が隠れている。ネズミは悪の秘密結社『ダークラッツ』の一員であり、二匹の猫は正義の戦士『肉球戦隊ぬこレンジャー』なのだ。
「チュ……この恨み……我が同志……が……」
ネズミは捨て台詞を残して息絶え、霧となって消えた。二匹が頷き合う。
「カッコいい! 白玉さん、墨丸さん、さすが!」
僕は思わず叫んだ。
「その名前で呼ぶんじゃねえ、クソガキ!」
怒鳴る白玉さ……いや、ぬこホワイト。
「また来たのか、茶太郎」
呆れたように言うぬこブラック。
「お願いです、今日こそぬこレンジャーに入れてください!」
「ダメだ、遊びじゃねえぞ」
「子供は邪魔しないこと」
二匹ともつれない。
「だって、ダークラッツって何百匹もいるんでしょ? 二匹だけじゃ……」
「俺たちがそんなに軟だと?」
……白玉さんの睨みは半端ない。
「ホワイト、顔が怖すぎ。茶太郎、俺たちは二匹で大丈夫だ。ご主人も心配してるだろうし、帰ったら?」
墨丸さんは紳士的に諭してくる。
「墨丸さんも飼い猫じゃ……」
「うちは放任主義だからいいんだよ」
二匹が歩き始める。慌てて僕も後を追った。

 今日も玉砕か。どうしたら仲間にしてくれるだろう? 白玉さんも墨丸さんも僕を子供扱いするけど、毎日動くおもちゃと戦ってるし、イメージトレーニングも欠かさない。必殺技だって考えたのに……。
「茶太郎、お帰り」
家の前で迎えてくれたのはまひるちゃん。僕の飼い主で、彼氏いない歴二十ウン年。……ん? まひるちゃん、その頭は?
「可愛いでしょ? ニッキーマウスだよ」
ニッキ……?
「ネズミの遊園地なんかってずっと避けてたけど、すごく楽しかった。この耳もいいよね」
――大変だ、まひるちゃんがネズミに!? まさか、ダークラッツの仕業?
「ちゃ、茶太郎、ちょっと……」
僕は必死にまひるちゃんの頭からネズミ耳を外そうとした。

「――てめえの勘違いだ、ガキ」
塀の上から白……ホワイトが冷やかに言う。
「あれはセズニーランドって所の商品だな。二十ウン年も行ったことがなかったとは、茶太郎のご主人も稀有な人間だ」
墨丸さんはまひるちゃんを褒めてるんだろうか……?
「すげー必死だったな。ガキが一丁前の動きしやがって」
「ご主人に傷まで付けてね」
二匹は僕がまひるちゃんに飛びかかるところを見てたそうだ。
「……ダークラッツの陰謀じゃないかって、体が勝手に……」
「んなわけねえだろ。これだから世間知らずのガキは……」
ホワイトがやれやれとため息を吐いた。
「だって、まひるちゃんがダークラッツの餌食になったら……」
「ご主人が大事なんだね」
墨丸さんがクスリと笑った。
「ホワイト、いいんじゃない?」
「ああ、合格だ」
「……へ?」
白玉さんは何を言ってる?
「ぬこレンジャーに入れてやる」
「え……ええっ! ホントに!?」
「本当だよ。これからよろしく」
墨丸さんの笑顔に実感が湧いてくる。
「だけど、どうして?」
「ぬこレンジャーは憧れだけじゃ務まらない。大切なものを守りたいという強い思いが必要だ。守るために戦うんだから。茶太郎はご主人を守ろうと必死だったろう? その思いがあれば大丈夫」
墨丸さん……。涙が出そうになる。
「てめえは茶トラだから、“ぬこブラウン”な」
白玉さん……。必殺技は“ニャンチ・クラッシュ”でお願いします。
「じゃ、共に戦おう!」
「頼むぜ、ブラウン」
僕、ぬこレンジャーになれたんだ。ダークラッツと戦うんだ。
「あの、ダークラッツって何が目的なんですか? し……ホワイトとブラックは何を守りたいんですか?」
僕は二匹に聞いた。
「奴らの目的は、数を増やしてこの町を“寝隅町”に改名することだ。俺は根古野町の名前を守るために戦ってる。ネズミに名前を渡せねえだろ」
「だから、ぬこレンジャーが時々打撃を与えてるんだ」
……あれ?
「時々って……撲滅しないんですか?」
「俺たちも縄張りの見回りだの昼寝だので忙しいし、気が向いた時で十分だから」
「俺なんか縄張り広すぎて、時間かかってかなわねえ」
……この二匹、真面目にぬこレンジャーやる気あるの?
「いい天気だな。こんな日はのんびり寝てえ」
「同感」
二匹が伸びをした。……僕、ついていっていいんでしょうか? 青空に問いかけたくなった。


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このストーリーに関するコメント

13/12/19 光石七

おふざけのような話ですみません m(_ _)m
ゆる〜いコメディもどきだと、笑って流してくだされば幸いです……

13/12/20 草愛やし美

光石七さん、猫好きにしか描けない世界でしょうね。

思わず、「出たーー『ぬこさま』『肉球』だあ」って叫んでしまいました。

ダークラッツ、実在しそうな悪の秘密結社名ですね。猫界で活躍するぬこレンジャーさんに、これからも頑張って欲しいです。これって、連載できるお話ですよね、素晴らしい!! ニャンダフル。楽しませていただき、ありがとうございました。

13/12/20 光石七

>OHIMEさん
この話はほとんどOHIMEさんのおかげでできたものです。
私のバカバカしい思いつきに反応してくださり、「気紛れにネズミと悪を穿つ感じですか?」と返してくださったから……。
気に入ってくださり、うれしいです。
ありがとうございます。

>草藍さん
“ニャンダフル”、最上級の褒め言葉です(笑)
ありがとうございます。
連載は……気が向いた時に、ということで(苦笑)
楽しんでいただけてよかったです。

13/12/23 猫兵器

光石七様

拝読致しました。
良い意味でバカバカしく、脱力するお話でした。
猫の気まぐれで適当なこの感じ、分かります。
こんな愉快な奴らがいる根古野町、行ってみたいなぁ。

13/12/23 光石七

>猫兵器さん
こんな話ではコンテストオーナー様に失礼ではないかと少々危惧しておりましたが、大丈夫でしたでしょうか……?
人間が気付かないだけで、ぬこレンジャーはあちこちの町で活躍しているかもしれません。
温かいコメント、ありがとうございます。

13/12/24 猫兵器

光石七様

二度目のコメントを失礼いたします。

>こんな話ではコンテストオーナー様に失礼ではないかと少々危惧しておりましたが、大丈夫でしたでしょうか……?

まさか、とんでもない。
面倒くさいお題にご投稿いただけたことを、心より感謝しておりましたところです。
ユニークで可愛らしい、素敵な作品をありがとうございました。

13/12/24 光石七

>猫兵器さん
再び温かいコメント、ありがとうございます。
“でしたでしょうか”って、日本語変ですね(苦笑)
猫好きなので、猫のお話がたくさん読めるテーマはうれしいです。

13/12/29 光石七

>メイ王星さん
コメントありがとうございます。
『肉球戦隊ぬこレンジャー』という言葉が数か月前に浮かんでいたのですが、今回のテーマで妄想が膨らんだ次第です(苦笑)
綿密な構想とか深いメッセージとか抜きで、楽しんで書かせていただきました。
和んでいただければ幸いです。

14/03/22 リードマン

拝読しました!
やっぱり猫って可愛い!! ほんわかほっこりしました。

14/03/23 光石七

>リードマンさん
コメントありがとうございます。
ほっこりしていただけてよかったです。

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