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クナリさん

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将来の夢 絵本作家
座右の銘 明日の自分がきっとがんばる。

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漫才「スライダー」

13/12/15 コンテスト(テーマ):第二十二回 【 自由投稿スペース 】 コメント:12件 クナリ 閲覧数:1287

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「野球の醍醐味ってね、結局はピッチャーとバッターの対決なんですよね」
「まあ、一番のメインですよね」
「だからいろんなテクニックもルールも、一番白熱するのはそこなんですよね」
「まあ、フライ処理とかよりはルール細かくなります」
「で、最近になっても新しい変化球ができよるんです。ツーシーム、カットボール……もう、右とか左とか、曲がる方向ですら分類できないわけですよ。手元でちょっと曲がる、みたいなね。どういう球なんか、あんまりちゃんと説明できないような」
「ですからバッターもちゃんと打てませんね。あれ打つの難しいんでしょうな、最近の強い投手は、そういうの多いです」
「ただねえ、……えらい不自然な変化球があると思うんですよ」
「不自然てどういうこと? 魔球ですか?」
「ほいじゃ、今から変化球言っていきます。これおかしい、ていうのがあったらストップしてください」
「はいはい」
「いきますよ。カーブ。……シンカー。……シュート」
「うんうん」
「チェンジアップ。……フォーク。……スライダー」
「いいですね」
「スプリッドフィンガードファストボール」
「ん、……いや、長いけどいいでしょ」
「サークルチェンジ。……パームボール。……ドロップ」
「古いなあ。よう出ますな」
「カットボール。……ナックル。……落ちる、スライダー」
「ん、今なんか」
「おーちーる、スライダー」
「二回ゆうてもうてるやん」
「誰か俺に納得いくよう説明してくれ。落ちるスライダーって何やねん!」
「待て待て、君の言う不自然て、ネーミングの話か。落ちるならスライドしてないやないか、くらいのことか」
「スライダーってどんな球や。ゆうてみい」
「投手の利き手側と逆に曲がる変化球、かな」
「そんなら落ちてたらもう、スライダーちゃうねん。落ちてんねん。違う名前を、何でつけへんねん。曲がるフォークとか、よれるカーブとかは言えへんのに、なんでスライダーは『オチルスライダー』やねん。その修飾語は何やねん」
「修飾語て」
「でな、野球通のおやじにそんなんいうとな、決まってこうや。『落ちるやつも、握りはスライダーの握りやから。腕の振り方とか、手首の切り方で方向変えてんねん』。せやからそしたら、投げ方違うやんけ! 違う変化球やん、投げ方変えてんねやったら!」
「もうええやん、落ちるいうのはドロップがもうあるんやし」
「パームとチェンジアップは分けとるやんけ。どっちも遅くて落ちる球、やろ。ちゃんと明確に分かるならいいんですよ。でも、解説もたまにあいまいにやりよるんです。『今のはフォークでしょうか。いや、落ちるスライダーでしょうかねー。変化球を落としました』。それならもう、どっちでもええやん! 語るに落ちてるやん、どっちでも変わらんて!」
「でもそしたら、『落ちるカーブ』とかもおかしくなりますよ。落ちないカーブがあるんか、て話ですよ。それには何で触れへんねん」
「……」
「きょとんとするな。手え口に当てて、『いっけない』ちゃうねん!」
「まだあるんですよ、野球の納得いかん話」
「まあ、聞きましょう」
「左利きのこと、サウスポー言うやん。あれ、何でか知ってるか」
「ああ、聞いたことある気いする」
「ゆうてみい」
「何で威嚇されてんねん。……確か、アメリカのどっかの球場で、左利きのピッチャーがマウンドで構えたら南向きになったから、とかやろ」
「……」
「意外にちゃんとゆえたから、びっくりしてるやろ」
「アホか。俺は途方に暮れてたんや」
「何でやねん。当たりやないか」
「お前も、そこらの奴と同じやな。せつないわ。ブルータスの気分やわ」
「ブルータスは言われた方ですわ」
「お前がしたのは、サウスの説明や。俺が訊いたのは、サウスポーや。南がサウスなのはええわ、ポーはぜんたいどこいったんや。この話になると、人間みんな不実になんねん。誰も俺の質問にまともに答えてくれへんねん!」
「野球関係ないやん! もう、ググれや。君、グーグル相方にせえ!」
「いや、そんな真似は死んでもできん」
「君そんな、死んでもなんて……うれしいこと言うてくれるやん」
「俺アイフォンやから、ヤフー使わなあかん」
「どないじゃ! もうソフトバンク以外でもアイフォン出とるわ!」
「6sやて。最新やで」
「掴まされてる! もうええわ!」

「どうもありがとうございましたー」




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このストーリーに関するコメント

13/12/15 クナリ

出来心です。
どうもすみません。

13/12/16 草愛やし美

クナリさん、拝読したでぇ。

うちなあ、野球よぅ知らんねん。そやけど、サウスポーは知ってるでぇ、あれは、アメリカンな投手のやつ、南向いてポーとしとったんやろ、きっとえらい、綺麗な新地あたりのおねえちゃんでも、おったんかいなあ。──ちゅうこと、ちゃうかなあ。
クナリはんの出来心すごいやんか。漫才やろう、そのうえ、大阪弁やでぇ。
そらもう、びっくりしてこっちはてんやわんや失点バットゥや〜
(; ̄ー ̄)...ン? 七転八倒書いたはずやねんけど、おかしいなあ。いややなあ、つかまされてもうてるわ。
そんなこんなでうち、野球よぅわからんのに、しまいまで読んでしもうたがな。こないな下手なコメントしたらあかんわ。おあとよろしゅうたのんますわ。
ハイナ(。´ФДФ) さいなら〜〜。

13/12/16 クナリ

OHIMEさん>
「デッドボールはバッターがよけようとして当たってしまった場合にデッドボールになるんであって、バッターが意図的に(よけずに)あたった場合はただのボールになる」というルールを聞き、”微動だにしないでボールを受けてデッドボール扱いにならずキレる清原氏”を題材にしようかと思いましたが、不肖クナリ、スライダーにしておきました!
デキのよしあしは置いておいてッ、これでも一生懸命書いたので、そういっていただけてうれしいです。

草藍さん>
うちは父親が大阪は羽曳野、母親が東京は月島なので、父の実家ではホルモン焼き焼き、母の実家ではもんじゃじゅうじゅう、鉄板に囲まれた下町暮らし、気づけば中途半端な大阪弁がたまに出てしまうしょうもないやつに育ちました。
口語で書いた作品ですが、なるべくしゃべり口調になるように気をつけたつもりです。
それにしても、年中面白いことばかり考え続ける芸人さんはスゴイ!
ちょうど漫才の日本一を決めるテレビ番組を昨日見たので、改めてそう思いました。

13/12/16 朔良

クナリさん、こんばんは^^
拝読いたしました。

出来心でこの出来とは! さすがクナリさん。
野球ネタがよくわからないのが残念なのですが、ブルータス以降でめちゃくちゃ笑いました。楽しかったです。
お好み焼き地方に、十数年住んでいたのでべったべたな大阪弁が心地よく懐かしかったです。

みなさんみたいな気の利いたコメントが出来なくてすみません^^;
楽しませていただきました、ありがとうございます。

13/12/19 クナリ

朔良さん>
漫才とかショートコントの台本書くのって、憧れなんですよね。
野球に関しては、わかる人はわかる、くらいの話を題材にしてしまいました。
そして自分の中でこれうまくいったかなと思ったくだりはブルータスのところなので、そこを褒めていただけてうれしいです。
お好み焼き地方に住まわれていたのですかッ。
クナリはもっぱらお好みよりホルモン焼くことのほうが多く、ぜんーーーーーーーーーーぜん噛み切れないきゃつらにいつも苦汁を飲まされていましたッ。
何をおっしゃるんですか、気ききまくりのコメントですよ!



13/12/20 泡沫恋歌

クナリ様、拝読しました。

これは野球の知識が深くないと、最後までついていけませんね。
ふたりの掛け合い漫才のようなやり取りを楽しませて頂きました。

クナリさんが、関西弁でギャグを書くとは・・・(  ̄д ̄;)ノ エー!?
なんと! ストライクゾーンが広い!!

13/12/20 クナリ

泡沫恋歌さん>
野球に詳しい方の間では、あるあるネタなのかも知れませぬ。
実は細々と続けて生きたいと思っています。このえせ漫才。
自分の中で漫才って、どうも掛け合いっぽいというか、ダウンタウンの
フリートークみたいな感じなんですよね。
漫才界(?)ではそのほうが異端なのかもしれませんが。
いろいろ面白がる性格のせいで、ストライクゾーンは意外に広いようです自分。

14/01/18 そらの珊瑚

クナリさん、拝読しました。

クナリさんが漫才の台本とは!
いつもの作風とはまた別の顔で、いろんな引き出しをお持ちなのですね。
野球のことはほとんど知らないので正直「おちるスライダー」というものの面白さがわかったどうか…たぶんわかってないと思います。
消える魔球だったらノレたのですが(笑い)
ご報告までですが、私が一番ウケたのは
「ポーはぜんたいどこいったんや。この話になると、人間みんな不実になんねん」でございます。

14/01/18 クナリ

そらの珊瑚さん>
読み手を選ぶ時点で、漫才としてはもうひとつでありますね(^^;)。
いずれ、もっと一般性のあるものを書いてリベンジしてみたいです。
漫才師の方々はすごいよ、毎回面白い人たちは特にすごいよ…と思います。



14/03/21 リードマン

拝読しました!
まさかの漫才ネタ! 楽しませていただきました、ありがとうございます

14/03/22 クナリ

リードマンさん>
まあ、たまにはこんなのもということで(^^;)。
楽しんでいただければ、何よりです!

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