リードマンさん

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13/12/04 コンテスト(テーマ):第四十六回 時空モノガタリ文学賞【 夢 】 コメント:0件 リードマン 閲覧数:1115

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預言者は、笑みとともに語った
彼女は、笑みとともに応えた
「楽しくて楽しくて仕方がない」
年老いた占い師は驚愕する
「・・・」
「・・・」
オレはただ、眺めているのみ
彼女の瞳が、こちらを捉えたような気がした
戦慄するオレ、脂汗が、流れ落ちる
見えているのか、感じているのか、ただ、彼女は笑っている
ただただ熱い、地獄のような鍛冶場の中で、一心に刀を打ちながら、彼女は笑う
それは、見るものを恐怖させるほど
オレは、ふと目を閉じた

夢見る度に、オレは、彼女達に恋をする

オレはいつも一人だが、その姿はいつも違っている
彼女はいつも違っているが、その全てが美しい
オレは確かに居るはずなのに、時には生きてさえいないこともある
彼女はいつも破天荒
行き着く先はきっと同じ、だというのに、決まったものは何一つとしてなく、けれど全身全霊の恋をする
あんなにも違う彼女、それでも、オレは彼女が欲しくて堪らない
叶うなら、せめて幸福な夢を
ああ、キミはいつでも美しい
全ての彼女が好きだ
子供な彼女、幼馴染な彼女、常識的な彼女、努力家な彼女、眼鏡な彼女、今はもう、遠い
彼女な彼女、暴れる彼女、征服する彼女、支配する彼女、殺す彼女、服従する彼女、犯される彼女、悦び悦び悦ぶ彼女、あまりにも女でありながら、どこまでも少女なキミ
その愛は深く、ただ深い
どこまでも男なオレは、喰らい尽くすように、導くように、ともに悦ぶ
夜空にはいつも月
オレは、月をこそ愛している
彼女はいつだって気紛れに訪れる
時に涙し、笑い、いつだって輝く
辛そうな彼女、離れていく彼女、乱れる彼女、蕩けてしまいそうな夜を残し、悲しそうな顔をする
鮮やかな色彩と、躍動感溢れる姿形、ただただ美しく、原始の魅力に満ちている
確かに共有した幸せ、それでも、彼女はいつでも、悲しそうな顔をする、だから抱く
強く強く、壊してしまいそうなほど、強く
そうして彼女は涙を流す
気づけばオレも泣いていた
ああ、キミはいつでもイトオシイ
コトバハ、イラナイ

全てがオレで、全てが彼女だ

この世は愛で満ちている
駅前は地獄絵図、いくつも転がっている死体
血まみれの甲冑に身を包む彼女
彼女が殺した
彼女が殺す
沢山の人々が、彼女へと立ち向かう
彼女に近付いたオレ
二人の舞台
「なぜ、こんな事をする?」
彼女の左眼に、傘の先を突き付けながら、オレは訊ねる
潰されそうな眼は真っ直ぐにオレを見た
「わからない? 全ては貴方の為なのに」
そこにはもう、オレ達しかいなかった
死体の山に囲まれながら、裸になって愛し合う
「またね」
そう言って、彼女は家へと帰っていった
オレも笑って手を振った

そこは町外れの遊園地
唐突に、歌姫は現れた
「貴方と一緒がいい」
「・・・光栄だけど、仕事はいいの?」
初めての出会いの筈だった
オレが大好きな彼女の歌を、彼女は一言だって歌わなかった
零れてくるのは、日常の愚痴ばかり、けれどその言葉の一つ一つが、どんな歌よりもオレを楽しませてくれた
充足した時間、しかしふと思い出す
この街に、遊園地なんてモノはない
二人、歩き出す
オレは今日も、彼女の歌を聴いている
出会ったことすらない、キミの歌を

ずっと会いたかったキミがいた
「会えて嬉しいぞ」
刀を持ったキミが言う
まずいカレーを二人で食べた
二人並んで街を歩いた
思い出の公園
立ち入ることは決してない
迎えに来た彼女とともに、サムライは去っていく
オレはこれから、死なねばならない
子供を抱いて、彼女は泣く
母親似だなと、オレは笑った

また、いつかの夢を見る

そこは、赤に包まれた闇だった
向こうには、雪景色の駐車場
貴方はだあれ?
いつのまにやら、苦しみの中
「死ぬのが怖いのか?」
YES
「消えてしまうのが怖いのか?」
YES
「終わらない事は、怖くはないのか?」
「・・・」
「オマエはオレで、オレはオマエ、オレのことが、怖いのか?」
NO
ボロボロの寝室、布団の中で眼を覚ます
両親は眠ったまま、自分だけが起きている
幼いオレは、わが身を抱いた
静かと言うには、音がなかった
耳鳴りだけしか、オレにはなかった

沢山の不幸をオレは見る
無限の幸福をオレは夢見る

中学校の教室で、ピアノの上手な彼女が語る
小学校の教室で、悪友みたいな彼女達が笑う
野郎達とも笑ってた
今になってオレは知る
嘘みたいに幸せだ
この再会に喜びを
彼らの人生に幸あれ

どうか、この世の中の平穏が、一時でも長く、続きますように


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