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弥栄 譽さん

最近、改名しました。 のんびりと、作品は投稿しております。 しかし、中々に小説を書くのに難航していたり……

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将来の夢 「文学フリマ」への参加は叶いました、万歳。 目下、夢となったのは何かしらの賞に応募する作品を書き上げることです。
座右の銘 鋼の自制心

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横暴な彼女

13/12/01 コンテスト(テーマ):第四十四回 時空モノガタリ文学賞【 復讐 】 コメント:3件 弥栄 譽 閲覧数:1054

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物心ついた頃にはいつも、彼女が僕の前にいました。彼女はまるで人の都合を考えない、おてんば娘で、その実害に一番あったのが僕と言うわけでして。

僕は彼女にトラウマを植え付けられることもしばしばあって、中でも印象的な事例を皆さんに紹介しようと思います。

幼稚園の時分、団子と称された土のかたまりを僕に無理やり食べさせました。結果、僕は激しい腹痛とともに入院することになりました(彼女の手前、自分で泥水をすすったことにしたけど)。

小学校の時分、泳げない僕に特訓だといって、彼女は無理やり僕を川で泳がせました。結果、僕は溺死するところでした(ずぶぬれで家に帰ってからの言い訳が大変だったけど彼女の手前、自分の不注意で落ちたことに)。

中学校の時分、唐突にキャンプをやると言い出した彼女に連れられ山に登ることにまりました。僕と彼女だけです。遭難しかけました。奇跡的に山に降りた時には僕は完全な風邪で、歩くのもやっとになっていた(即日入院だったけど彼女の手前、僕の判断ミスということに)。

いかにきょーふう、と冗談で済ますには過ぎることも多々ありました。だけど、どうしてか僕は彼女を恨むことはできなかったんです。そう、何だかんだで彼女といると楽しかったんです。

そんな僕も今は受験に忙しい高校生。いい加減に彼女との関係も終わりを告げる時がきました。

どうして終わりになるのかというと簡単なことです。僕と彼女じゃあ頭のできが違いすぎるのです(高校までは何とか努力しましたけど)。彼女の狙っているところに、僕の成績じゃあとても届かないんです。

というわけで僕はそのような旨、彼女に告げました。こういうのははっきりさせておかないといけないかと思いまして、誰もいない図書室で。そしたら彼女、いきなりクワッと目を見開いて、手元にあった英語の辞書(彼女はアナログ派)を僕にぶつけて去っていってしまった。

まあ、それだけなら僕も許容の範囲なんです。そう、彼女の横暴は今に始まったことじゃないですし……

問題はその後に起きたことでして。その日を境に彼女、僕のことを避けるようになったんです。

そりゃあ確かに、僕も悪かったと思います。TPOを考えるべきでした。彼女は昔から「もうついていけないよ」みたいに言うと激烈に怒るんです。単純に、そういう話が嫌いなのかな、と思っていたのです。

しかしですよ?

いつも二三日もするところっと忘れて、僕をまた引きずり回す(それこそ市中引廻し並)のに、今回に至ってまったくその素振りがないんです。

まずい、と僕は思いました。ええ、直感です。ですから何とか彼女に謝ろうと僕は動きました。

しかし、結果はあえなく惨敗でした。彼女はそれこそ、レーダーでも積んでいるのではないかという精度で僕を事前に察知しては逃げるのです。もちろん僕は、彼女が僕を避けているのがわかるわけでして、それはもう色々と嫌な気分になりました。

おかしなものです。元々、僕が悪いからと謝るつもりでしたが、そんな気持ちもどこかに吹っ飛んでしまったのです。

僕だって悪かったと思っているのに、どうしてこんなに避けるのか!

僕だって人間です、あまりに理不尽なことには憤りを覚えるのです。

さて、そうこうして僕は彼女に謝るために、ストーカーになっていました。しかし、結果としてこれが駄目でした。

あの日はそう、彼女が誰かに呼び出されたようでして。レーダーの精度も落ちていたのでしょう楽について行くことができました(犯罪でしょうか)。

もっとも、追跡したがために僕の未熟な心は、粉々に砕ける羽目になりました。

彼女はなんと、隣のクラスのイケメンに呼び出されていたのです。

呼び出しの理由は言わずもがな、告白でしょう。イケメンは彼女に愛を告げたに違いありません。彼女をろくに知りもしないイケメンが! ですよ!

僕は呆然と、そして遠巻きに見ている他なかったのです……

さて、あの出来事から数日、僕は腹を据えました。

悔しかったというのもあります。悲しかったというのもあります。だけど、だから彼女の幸せを破壊してやろうと僕は思いました。どうせ、あのイケメンへの返事はOKでしょうし(悔しいけど、僕よりよっぽど魅力的だ)。

今まで僕が彼女をどれほど思っていたのか。その思いをぶつけてやるのです。かなり重っ苦しい心情ですよ(それこそ積年の恨みのように!)。

これからあのイケメンと上手くやっていくだろう前に、僕の暗澹たる思いを知らせ、彼女を苦しめてやるのです。

そうすればもう、彼女と僕の関係も終わりになるでしょう。

でも、これでいいのでしょう。僕と彼女も、いつまでも腐れ縁でいるわけにいかないのですから。ああ、冬の風が心に染みる……

そんな、僕の心を温めるのは、悲しくもあつい復讐の炎。


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このストーリーに関するコメント

13/12/13 弥栄 譽

凪沙薫さん、コメントありがとうございます。
やはり、復讐をテーマにしては押しが弱かったみたいです。まだまだ私、精進が足りませんね。
コメントは謹んで、今後の参考にさせて頂きます。

14/03/12 リードマン

拝読しました!
この後一体どうなるのか、続きが気になる終わり方だと思います。

14/03/14 弥栄 譽

リードマンさん、コメントありがとうございます。
今後の展開、果たして彼と彼女はどうなったのか。
あなた様がご想像され、お楽しみになされれば、これに勝る喜びはございません。

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