1. トップページ
  2. ひなたちゃんとおばあちゃん

こぐまじゅんこさん

詩を書いたり童話を書いたりしている主婦です。 みなさん、よろしくお願いします。 MyISBN−デザインエッグ社さんから、絵本「おしえて!ねこばあちゃん」を出版しました。 アマゾンでも取り扱っていますので、よかったら みてくださいね。 ブログ「こぐまのノート」も書いています。

性別 女性
将来の夢 自分の書いた童話を孫に読んで聞かせたいです。
座右の銘 しあわせはいつも自分の心がきめる

投稿済みの作品

3

ひなたちゃんとおばあちゃん

13/11/25 コンテスト(テーマ):第二十二回 【 自由投稿スペース 】 コメント:4件 こぐまじゅんこ 閲覧数:1219

この作品を評価する

 ひなたちゃんは二年生。
 お父さんと、お母さんと、弟のたいきくんと四人でくらしています。
 ひなたちゃんには、大すきなおばあちゃんがいます。

 おばあちゃんは、いっしょにくらしていたおじいちゃんが、きょねん、なくなってから
ひとりぼっちでくらしているのです。
 いつものように夕ごはんを食べたあとで、お父さんが、みんなを見回して言いました。
「おばあちゃんと、いっしょにくらそうと思っているんだけど、みんなはどうかな?」
 一番に答えたのは、お母さんです。
「それはいいわね。」
 ひなたちゃんと、たいきくんも大よろこびです。
 日曜日に家族みんなで、おばあちゃんの家に行くと、お父さんが、
「おばあちゃんが、ひとりでくらしているのは心配だから、うちでいっしょにくらそうよ。」
と言いました。お母さんも、
「ぜひ、いっしょにくらしましょう。」
と、おばあちゃんに声をかけます。
 おばあちゃんは、まよっています。
「ここは、おじいちゃんとの思い出がいっぱいあるからねぇ。」
 でも、たいきくんは、おばあちゃんのうでをひっぱって言います。
「おばあちゃんと、いっしょにおふろに入りたいよ。」
 ひなたちゃんも、もう一方のうでをひっぱります。
「おばあちゃんと、いっしょにごはんを食べたいなぁ。」
 おばあちゃんは、ずい分長い間考えていましたが、
「そうだねぇ。ひなたとたいきが、そんなに言ってくれるなら、いっしょにくらそうかな。よろしくたのむよ。」
と言ってくれました。

 今日は、おばあちゃんが、ひっこしてくる日です。
 ひなたちゃんは、朝から、わくわくしています。お父さんもお母さんも、ひっこしの手伝いをはりきっていましたが、おばあちゃんの荷物は、ほんの少ししかなくて、あっという間に終わってしまいました。
 おばあちゃんは、家に来て、ちょっとたってから、庭にお花を植えだしました。
 これまで、庭はあったけど、お父さんもお母さんも忙しくて、お花は植えていなかったのです。
 おばあちゃんは、まず、朝顔を植えました。
 毎朝毎朝、水やりをしていたので、しばらくすると芽がでました。おばあちゃんが、言います。
「ひなたちゃん、見てごらん。朝顔が顔を出したよ。」
 ひなたちゃんは、聞きました。
「何色の朝顔が咲く?」
 おばあちゃんは、笑います。
「それは、咲いてからのお楽しみ!」

 しばらくして、お日様がカンカン照りつけるようになりました。
 朝、学校に行くとき、おばあちゃんが、声をかけてくれました。
「ひなたちゃん、朝顔さいたよ。」
「えっ、ほんとう?何色だった?」
 ひなたちゃんが庭に行くと、ピンク色のかわいい朝顔が咲いていました。
 おばあちゃんは、
「朝顔は、つるを上へ上へのばして咲くんだよ。下は向かないで、いつも上を向いてるってなんだかいいと思わないかい。」
とほほえみました。
「ほんとうに上ばっかり?横にもいくんじゃないの?このつるの先を横向きにまきつけてみようっと。」
 ひなたちゃんは、ためしに一本のつるを、あみの横糸に、くるくるっとまきつけておきました。
 次の日、起きるとすぐに、ひなたちゃんは、庭の朝顔を見に行きました。
 横向きにまきつけていたつるは、おばあちゃんが言ってたとおり、やっぱり上へ上へとむかってのびていました。
「おばあちゃん、ほんとうだね。朝顔のつるって上へ上へのびるんだね。」
 ひなたちゃんは、朝ごはんを食べているおばあちゃんのところにいそいで行って声をかけました。
 おばあちゃんは、にっこり笑って言います。
「ふしぎだよね。」
 おばあちゃんの庭の花は、色とりどりに咲き続けました。

 でも、冬の終わりごろから、おばあちゃんは、かぜをひいて、庭に出ることが少なくなりました。かぜは、なかなかなおりません。昼間もふとんで寝ていることが多くなりました。
 庭の草取りは、お母さんがするようになったけれど、お花は、おばあちゃんが元気だったころより、ずい分少なくなりました。
 ひなたちゃんは、おばあちゃんに話しかけました。
「おばあちゃん、早く元気になってね。また朝顔を植えようよ。今度は私も、いっしょに植えるよ。」
 すると、おばあちゃんは、小さな声で答えました。
「うん、いっしょに朝顔を植えよう。約束するよ。」
 ひなたちゃんは、おばあちゃんと指きりをしました。

 ひなたちゃんが、三年生になって、梅雨の季節になった頃、おばあちゃんは、病院に入院しました。
 おばあちゃんのいない家は、しんとして、窓の外から聞こえてくる雨の音が、いっそうひなたちゃんの心をさみしくさせるのでした。
 梅雨が明けて、また、お日様が顔をのぞかせるようになってから、ひなたちゃんとたいきくんは、お母さんといっしょに、病院にお見舞いに行きました。
 おばあちゃんは、うれしそうに笑ってくれるのですが、なんだかしんどそうなのです。
 たいきくんが、お母さんに、小さな声で聞きます。
「おばあちゃん、死んじゃうの?」
「だいじょうぶよ。」
 お母さんは言うのですが、なんだかくらい顔をしています。ひなたちゃんは、心配になりました。

 そして、今日から夏休みという日に、おばあちゃんは、天国に行ってしまいました。
「おばあちゃん!」
 ひなたちゃんは、声をあげて泣きました。

 おばあちゃんがなくなって、ひなたちゃんは心にぽっかり穴が開いたみたいです。
 でも、今日はがんばって、苦手なさかあがりの練習をしようと、心に決めました。
 おばあちゃんは、いやなことや悲しいことがあっても、いつもだいじょうぶだよ、と言ってくれていたことを思い出したのです。
 鉄棒をにぎりしめて、えいっと空に向かって足をけりあげます。何度やっても、おしりがあがらず、足は前に伸びたまま地面におちます。
 十回目だったでしょうか。
 ひなたちゃんが、足をけりあげると、体がやっとのことで鉄棒にまきついて、ゆっくり一回転しました。さかあがりが初めてできたのです。
 ふと、後ろをみると、花壇の朝顔の花が、にっこり笑ってみていました。
 ひなたちゃんは、あの日、おばあちゃんが教えてくれた、(朝顔のつるは、上へ上へのびるんだよ。)という言葉を思い出しました。
 ひなたちゃんは、いつも明るく上を向いていたおばあちゃんが、そばでみていてくれたんだな、と思いました。
「おばあちゃん、おうえんしてくれて、ありがとう。」
 ひなたちゃんは、朝顔に向かって言いました。


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

13/12/01 泡沫恋歌

こぐまじゅんこさん、拝読しました。

良いお話ですね。
私は祖母と暮らしたことはないのですが、実家は四世代で住んでました。
ひいお祖母さんと兄夫婦と姪夫婦とひ孫たちが三人いました。
もう、ひいお祖母さんは亡くなりましたが、年寄りから、幼児までいて
楽しいそうでした。

そんなことを思い出して、シミジミと読ませて頂きました。
ありがとうございます。

13/12/01 こぐまじゅんこ

泡沫恋歌さま。

コメント、ありがとうございます。
私は、3世代同居ですので、なんとなくこんなお話を書いてみたいと思いました。

14/03/12 リードマン

拝読しました!
朝顔って誰もが一度は植えた事のある植物だと思うのですけど、確かに例外なく、上へと伸びていきますねぇ、とても前向きな作品だと思います。

14/03/13 こぐまじゅんこ

リードマンさま。

コメントありがとうございます。
この作品は、童話教室で推敲を重ねて作りました。
前向きって言ってもらえて、うれしいです。

ログイン