1. トップページ
  2. パンデミック

嘗五朗さん

私のつたない文は人を不快にさせるでしょう。すみません。土下座がしたい。今日この頃。

性別 男性
将来の夢
座右の銘 実るほど、頭を垂れる稲穂かな

投稿済みの作品

0

パンデミック

13/10/07 コンテスト(テーマ):第四十二回 時空モノガタリ文学賞【 都市伝説 】 コメント:2件 嘗五朗 閲覧数:1061

この作品を評価する

 ――巷である噂が広まっている。それは蜘蛛のように音も無く忍び寄り、蛇の様な慎重さで獲物をたちどころに捕らえ、また雲のように我々が何処にいようとも完全なまでに覆ってしまう。その名は……

 『都市伝説』

 なんじゃこりゃ。
「ねえ。純ちゃん。『都市伝説』だってよ」
 TVは滅多に点けない。点けるとこういう、よく分からないものがやっているから。でもこういった事柄は話題にはもってこいだ。だから僕の恋人、純ちゃんに聞いた。女子ならこう言うのに詳しいから。
「なあに? 口裂け女?」
 知らない御様子だった。純ちゃんは台所にいたから、このTVの事は見ていない。純ちゃんは台所から、ひょこっと顔を出した。純ちゃんの背はあまり高く無いからなぁ。台所からは、カレーかな。匂いが漂ってきていた。
「んー。ちょっと違うかな」
「じゃあ何よ?」
「都市伝説何だけど…えーと……名前が『都市伝説』なのかな……TVで見る限りは、だけど」
「何? 訳わかんない。どういうことよ」
「えーと、蝶の様に舞い、蜂の様に刺すんだよ」
「それは、モハメド・アリていう都市伝説よ」
「あはは…。それは都市伝説じゃないけどね。本当は、なんでも、音も無く忍び寄る生き物なんだって」
「へ……………………………………」
「ん? 純ちゃん? あれ? 純ちゃん?」
 あれ? 返事が無いぞ。何かあったのかな。でも物音一つしない。変だな。
 僕は重い腰を上げ、台所へと向かう。その間、全く物音も、人の気配すらも無かった。外の音も聞こえない。ここはマンションで、僕の部屋は三階で、その表通りは夜でも人や車が行きかう交差点だ。物音が聞こえないはずが無い。でも僕は外の確認よりも、物音のことなんかより純ちゃんの方が気になった。
「あれ? いない……」
 純ちゃんは台所にはいなかった。ならば、トイレかと思ったのだが、そうしたらトイレへと向かう、純ちゃんの足音が聞こえるはずだ。しかも、完成間近のカレーを残して何処へ向かうのだろう。純ちゃんは途中で物事を放っておく子ではない。おかしい。何処に消えたのだろうか。
「じゅーんちゃーん?」
 念のためトイレも見てきた。電気は付いておらず、誰もいない。携帯に電話しようと考えた僕は、居間に戻ってきた。机に置いた携帯を取り、純ちゃんの携帯番号を選び、電話を掛ける。でも響いてくるのは今まで聞いたことも無い、ザーザーという砂嵐のような音と時折、響いてくる重低音だった。僕は段々と気味が悪くなっていった。純ちゃんは本当に何処にいってしまったのか。

 ――被害者の話によると、近辺の人が一切いなくなり、物音ひとつしなくなるのだと言う。そうして困惑していると、消えた本人から電話がかかってくるのだ。

 僕の頭はおかしくなったのだろうか。居間に置いてあるこのTVから流れる番組。僕はこの番組が言う事を信じる気がしてきた。というか、簡単に言えば、嫌な予感がした。そんな事はあり得ないはずだが。
   ―――ブーブーブー、ブーブーブー
 予感は的中したのだった。僕の携帯は胸の中で、小刻みに振動している。着信が来た合図だ。僕はいつも着信音を切っている。画面を見ると、『大橋 純』と表示されていた。間違いなく純ちゃんだ。僕の背筋は凍りつき、そのまま床に、背から倒れてしまった。TVの言う事など信用したくはない。でも、この瞬間は信じそうになる。何故だろうか。心臓の鼓動は速くなる一方だ。でも、でも、本当に本人かもしれない。恐る恐る、僕は通話スイッチを押した。

「ど……どちらさま?」

「おいしかったです………。御馳走様」

 ――その電話に出てはいけません。あなたもたいらげられますよ。そう……目の前のあなたも。これは『都市伝説』。人から人へ伝染するんですよ。 


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

13/10/08 遥原永司

読ませて頂きました。

中盤からの展開はまさに”都市伝説”だなと思いました。本当にありそうな話です。なんかこのまま人に話したら結構広まっていくんじゃないかな?くらいのものに感じました。

しかし読み終えてから序盤のやり取りを思い返すと、最初のやり取りは何だったんだろう・・・ってなる部分もありました。中盤以降がしっかり不気味に”都市伝説”している分、もう少しそれを活かせるような始まり方だったら良かったのになと思いました。といっても、こういった話に正解なんて無いというか、ある意味何でも有りと言えば有りなので考えてしまうと難しいんですけども・・・。

言ってもこれはあくまでも創作物語ですので、いっそ何か都市伝説に発生条件なんかが設定されていましたら、物語としてもう少し納得できた気がします。例えば最初のテレビのやり取りで主人公がそれを知る、そして事が起こり、最後の最後で実は恋人がその条件を満たしてしまっていたことが分かるとかで。その条件に一工夫ないとこれは成立しないとは思いますが。難しいものですね・・・。

13/10/08 嘗五朗

>>くくるさん

ありがとうございます
確かにそうですね。読み返してみると最初は変えて良かったと思います。
始めて書いてみました。物語は難しいです。

ログイン