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ゆめさん

肩こりがあります。

性別 女性
将来の夢 私を思い出す人がみんな笑顔になるような人間になること
座右の銘 笑顔が一番!

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いつもの定位置に向かった

13/09/22 コンテスト(テーマ):第三十九回 時空モノガタリ文学賞【 待つ人 】 コメント:1件 ゆめ 閲覧数:1283

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少し小腹がすいたので、ふらりと外へ出た。どこへ行こう。何を食べよう。特に何も考えずに外へ出た。
昨日から外がにぎやかだなぁと思っていたが、どうやら近くの神社でお祭りをやっているみたいだ。珍しく時計も持たずに外へ出た私は、今が何時だかわからないがとにかくおなかが減っていたので、マスクを付けたままパジャマの用な服装で神社の中に入っていった。
いつもは朝の4時半に目覚めたときにたまに挨拶にくる神社。人は二人、三人いるかいないかの神社。予想以上の人達、活気に溢れた人々の笑顔に満ちていたが、私はマスクの下であくびをしていた。
おなかがすいたなぁ。いわゆる屋台にはベビーカステラ、唐揚げ、りんご飴などが輝きながらそこにいたが、私はたくさんの活気に満ちた人々をかきわけ、いつも朝早くにここへ来たときに座る私の定位置に向かってただただ歩いていった。

これから神輿を担ぎに行く小さな子供達、そして子供達を見守る大人達の活気の中、私の分不相応な格好で歩くのはどうなのかと少し感じたりもしたが、まぁおなかがすいていたのでとりあえずいつもの定位置にたどり着いた。
屋台のりんご飴達を横目に通り過ぎ、おなかがすいていたけれどひたすら自分の定位置にたどり着いた訳というのも、その場所のすぐ隣に小さなお店があるので、そこで腹ごしらえをしようとどこか心の奥で考えていたのだなぁとそのときに自分で気付いた。
いつもと違う活気に満ちたこの神社、早朝には閉まっているこの小さなお店に、私はとても興味をもっていた。だが、改めて夕方に来ようなんて思ったこともなかった。

おなかがすいていたから外に出たら、気づいたら気になっていたお店の中にいた。

私は神社には初詣の時にも来ることはあまりないし、早朝にくることしかない。
お店の中にメニューらしきものがあるのかもわからなかったが、可愛らしいTシャツ姿で迎えてくれたおばちゃんに声をかけた。
「とにかくおなかがすいてるのですが、何がありますか?」
「パスタもあるし、ポテトサラダもあるよ!」
神社にパスタがあるのか。そう思いながらパスタを一つお願いした。
「おでんもあるよ」と微笑むおばちゃんに、「ではおでんもお願いします」と伝えた。
ナポリタンとおでんをもらい、小銭を渡して店の外へ出ていつもの定位置に座った。
手を合わせ、まず厚揚げを食べてみた。
あぁ、おなかが減っていたんだなぁ。と、食べ物を口にした途端に改めて感じながら、出汁がしみこんだ厚揚げをゆっくり味わい、活気に満ちた人々の笑顔を眺めていた。
マスクは少しだけ下げているが、心にマスクをしているんだ私は。
そんな風に特に思ってもいないことを考えながら、ただ、笑顔を眺めていた。

おでんにウィンナーが入っているのかぁ。お店のおばちゃんは「あたしはウィンナー嫌いだけど、家族が好きなもんでねぇ、ねえちゃん、いるかい?」と言っていたのを思い出しながら、おでんを全てお腹へ入れた。
パスタを神社で食べたのは初めてのことだった。もちろんおでんもだが、私はどうやら自分の中だけの考えしかもっていない小さな人間らしい。
誰かが作ってくれたパスタを味わい、知らない誰かの笑顔をみていた。

おなかがすいたと思わなくなったので、お店へ戻り器を返し、「美味しかったですご馳走様でした」と感謝の気持ちを伝え、喉が乾いたので水をくださいとお願いをした。
「酒ばっかのんでるやつと思われるよー」と、笑いながら水道から出た水をガラスのコップに入れて私にくれた。
水を飲んでいると、小さな女の子二人が小さなりんご飴をかじりながらおばちゃんの側へやってきた。「大きくなったなぁ!」そんな話をしていたので、私は子供に「ねえちゃんにそのりんご飴ちょうだい」と話しかけた。
子供は「貧乏なん?」といったまま、リンゴ飴をもって外へ出た。
おばちゃんが笑いながら洗い物をしていたので、私も外へ出た。

「おみくじ引いたの?」子供二人に問うと、引いてないとのこと。
神社はおみくじを引くところという私の世界でのルールに従う為に、子供たちに手品を見せながらおみくじを引きにいく目的で少し歩いた。

凶、大吉、末吉

誰がどのおみくじか。何故大吉を羨ましいと私は思ったのか。
そんな事を考えていると一人の女の子が手にしていたりんご飴のりんごが竹串から外れて土の上に落ちた。
私はそれを拾い、「ありがとう」といって口へほうばった。

そのまま子供たちの後に続き、初めに通った屋台の方へ歩いていった。ベビーカステラ、唐揚げ、リンゴ飴達は相変わらずどっしりそこへいた。

子供たちにまたねと声をかけ、神社を後にした。

私の右手には末吉のおみくじと竹串、口の中にはりんごの種が入っている。

さて、誰もいない家に帰るか。

そう思っている私の心は、おなかより満ちていた。


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このストーリーに関するコメント

13/09/29 ゆめ

はじめまして!コメントありがとうございます!
はい、何か衝動的にこの日会った私の出来事を書いてみたのですが、
楽しかったので、これからちょこちょこ投稿してみたいと思っています!
コメント本当に嬉しいです!
こちらこそ、よろしくお願いします!^^

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