1. トップページ
  2. 好敵手

Tomo-xさん

性別 男性
将来の夢
座右の銘 Enjoy Everything

投稿済みの作品

0

好敵手

13/09/06 コンテスト(テーマ):第三十八回 時空モノガタリ文学賞【 ライバル 】 コメント:0件 Tomo-x 閲覧数:879

この作品を評価する

 多くの書籍や物語において、ライバルとは重要な存在であると言われている。実力が拮抗し、お互いがお互いを尊敬し合うライバルという関係は、人々の能力を飛躍的に向上させる。例えば、野球選手王貞治に対しての長嶋茂雄、武田信玄に対する上杉謙信などは有名なライバル関係と言えるだろう。
 私にとってのライバルは、他でもない私であった。
 私は常に私に挑戦し、勝利し、時に敗北を経験してきた。自身の成長が実感できることが、何よりも好きだった。勉学において、スポーツにおいて、そのほか日常の些細なことにおいて、私は私に挑んできた。過去の自分が大きなものになればなるほど、それを超えたと実感したとき、えも言われぬ充実を感じた。
「精神的に向上心のないやつは馬鹿だ」は、私の座右の銘であり、人生における格言になっている。
 私は、私に対して誰よりも厳しかった。一切の妥協を許さず、日々自身を律してきた。学生時代、友人はそんな私を見て「お前はまるで閻魔大王のように厳しい人間だ」と私を評した。
 それゆえに、私には特に目立った才能というものはなかったが、多くのものごとにおいて大成を果たすことができた。自分を律し続けた結果、多くの能力を手に入れることができ、今の会社に入社してからは、スポード昇格とまでは言えないが、着実に自身の地位を上げていった。
 そんな私だが、最近、てんで私に勝てなくなった。
 これは初めての体験だった。
 過去、行くども自身を越えられず立ち止まったことはあったが、まったく勝てない、越えられないというのは初めてのことであった。会社の成績だけではない、運動も、勉学も、趣味においても、だ。
 はてはて私は困り果てた。自身を超えるため、多くのことを行った。たくさんの学術書を読み。トレーニングジムへ行き。食事や睡眠の改善、果ては神社でお祈りまで思いつく限りを行った。しかし、過去の私は以前より一層大きくなり私に立ちはだかった。
 どうにもこうにも、にっちもさっちも行かなかった。ストレスが溜まってしょうがない、精神的にも私は成長したつもりであったが、不甲斐ない自身に対し子供のように腹が立ってしょうがない。ここまでくるともはや噴飯ものであった。
 打つ手のなくなった私は、遺憾ではあるが友人にこのことを相談してみた。
 曰く、「お前ももう歳だろう」
 呆然としてしまった。まったくといって自覚がなかった。そうだ私はもう歳であったのだ。こんな歳になるまで、自身が歳であることに気づかないなどおかしな話だ。
 原因がわかり、私は溌刺とした。自分がもう、世間一般で言うところの老人であることは残念だったが、私は新たな目標を手に入れたのだ。
 この「老い」に打ち勝ったとき、私はどれほどの喜びを手に入れることができるのだろうか。


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

ログイン
アドセンス