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yoshikiさん

面白い作品を知り、自分でも書いて見たくなって何年も経ちました。よろしくお願いします。 2010年 小説現代S&Sコーナーに初めて送った作品が掲載されました。作品名『幽霊の見える眼鏡』 とにかく面白いものが書いていけるといいなと思っています。 イラストはエアブラシと面相筆で昔描いたものです。

性別 男性
将来の夢 楽隠居
座右の銘 不可思議はつねに美しい、どのような不可思議も美しい、それどころか不可思議のほかに美しいものはない。アンドレブルトン

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一寸の狂怖笑(コメディ)

13/08/07 コンテスト(テーマ): 第十四回 【 自由投稿スペース 】  コメント:2件 yoshiki 閲覧数:1407

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 ●第一話「偽りの星」

  ――宇宙時代の話である。人類は縦横無尽に宇宙を飛び回っていた。
 あるとき見知らぬ惑星から救助信号が送られてきた。
 どう分析して聞いても、か弱い女の声で「たすけてーっ!!」と聞こえるのだ。
 慈悲深い人間の事であるから、その信号をキャッチすると、早速、助けに行こうということになった。
 かなり遠い星であったがやっとその星を見つけると、まるでスカイツリーのような高い塔のてっぺんから、その信号は発進されていた。
 すぐさま宇宙船が近づくととんでもない事がおこった。なんとその星に亀裂が入り、大きな裂け目が出来たのだ。
 そしてあれよ、あれよ、という間に宇宙船はその割れ目に吸い込まれてしまった。
 恐ろしく悲しい事件であったが、それ以来人類は決して未知の信号へは近づかなくなった。
 そして誰言うともなくその星は「アンコウ」と呼ばれ恐れられた……。


 ●第二話「警備員の恐怖」

 ――大きなビルの警備員の話である。
 いつものように彼が高層階を夜間巡回していると、目の前を人の影が横切った。
 いや横切ったのでなく、上から下へと落下していったのだ。心中、その警備員はえらい事になったと思いつつ、急いで下へ行ったが誰もいない。下のアスファルトの広場には誰の姿もないのだ。
 良かった。錯覚だと思い胸を撫で下ろした瞬間、彼めがけて人が降ってきた。


 ●第三話「聞くだけで話せる」

 ――友好的?な話である。
 あるとき宇宙人がついに地球にやってきた。人類が待ちに待った瞬間である。えらい騒ぎになり、プレミアム元年という暦まで出来上がった。
 彼らは友好的で知性的で親切な種族であった。文明も進んでいて人類に有益な知識を惜しげもなく供給してくれた。
 しかし、一つ困ったのは言葉が通じないのである。彼らは流暢に母星語「クールル」をしゃべるのだが、この言葉が難解で人類は閉口した。
 優秀な人間達が「クールル」をマスターすると、途端に英雄になったようにもてはやされた。
 そして親切な彼らは、聞くだけで「クールル」を話せるというCDをプレゼントしてくれた。もちろん無償である。注意事項はただ「勉強しないで下さい」だった。
 そのCDを使い若いゴルファーが「クールル」をマスターすると、我も我もということになり、やがて全世界の人々が「クールル」を話せるようになった。
 世界共通語は英語から「クールル」に変わったのだ。
 しかし、思っても見ないことが起こった。人間は元々しゃべっていた言葉を忘れてしまったのだ。

 あるとき宇宙首脳会議が開かれたとき、彼らはニコニコして人間にこう訊いた。
「ねえ、地球を我々にくれないかな?」
 人間はこれまた笑いながら
「どうぞ、どうぞ」
 と答えた。

 もう一つ大事な事項がある。CDには恐るべき洗脳波が仕組まれていたのである。


 ●第四話「テレビの怪」

 ――登山の好きな青年の話である。
 ある時、青年が大荒れの天候の為、深い山の中で見つけた洞窟に入ると、なんとそこに人間が住んでいた形跡があった。
 寝床があり、なぜかテレビがそこに置かれてあったのだ。

 灯をともし、しばらくそこに居るとテレビが話しかけてきた。
「やあ、こんにちは。僕テレビ君って言うんだ」
 青年は驚き、テレビの電源が入ったのかと思ったがそうではなく、テレビが人格をもって話しかけてきたのだ。
 怖くなって逃げようとしたが、テレビが少年のような声で
「怖がらないで、僕はさみしんだ。行かないで……」
 そう言うので暫らくテレビと会話する羽目になった。
 テレビは物知りで青年を飽きさせなかったし、世界各国のニュースをリアルタイムで映してくれた。

 それから随分と時間が経って、青年が帰らないので、救助隊がその洞窟を訪れると古びたテレビがあり、いきなり電源が入った。
 救助隊の眼は画面にくぎ付けになってしまった。なんとそこには青年が洞窟に入ってくる一部始終が克明に記憶されていたのだ。
 そして画面が切り替わると、青年はいつの間にかテレビの中にいて、時のたつのも忘れたようにテレビ君と熱心に語らっていた……。


 ●第五話「奇人発見!?」

 ――透明人間? の話である。

 僕が夜道を一人歩いていると、全裸でしかも赤いペンキを体中に塗りたくった人と出くわした。
 事故か何かだと思い
「ど、どうしたのですか?」
 と問うと
「いや、実は私は透明人間なんですけど、透明でいると時々車に撥ねられそうになるんですよ。なので目立つようにこうしているんです」
 その人が済まなそうに答えた。

 ――だったら服を着ればいいのになあ。

 っつうか透明じゃないし、僕は心の中が不思議でいっぱいになりながらそう思った。



 ●第六話「紐おやじ」

 ――変な親父の話である。
 青白い顔をした親父があるとき国立病院にやってきて頭痛を訴えた。
 さっそく医師が懸命に診察したがどうにも原因がわからない。しかたなく頭痛薬を与えたが親父の頭痛はより酷くなってその場に倒れてしまった。
 即入院という事になったのだが、暫らくして病室で親父が看護師に、頭が妙に痒いと訴えるので看護師が親父の頭を良く診るとなんと旋毛のあたりから、細い紐が一本飛び出しているのだ。
 なんとなくその紐を引くと、親父はうっとりして気持ちがいいというので、つい紐を引っ張った。
 するとその紐は面白いように引っ張れるので、看護師が我を忘れどんどん引っ張ると、ついに病室に大きな紐の山が出来て、親父の姿は消え失せていたと言う。  
               
                 れれっ――?


                     これでおしまい。


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このストーリーに関するコメント

13/08/09 泡沫恋歌

yoshikiさん、拝読しました。

第三話「聞くだけで話せる」
って、そういう英語の教材がありましたよね。
いつもホンマかいなと思ってましたが、
たぶん、自分は英語が話せるという
洗脳をされてたんですね。納得。

第六話「紐おやじ」
シュールだけど、地味に面白いです。

13/08/09 yoshiki

泡沫恋歌さん。コメントありがとうございました。

三話 あっ、この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。念のため(*^。^*)

六話 紐おやじ、今看護師さんが懸命に紐を編んでおやじを再現しようとしています(*^_^*)

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