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ゆうか♪さん

埼玉在住で、気が向いたら小説や詩やエッセイなどを書いています。                                                                                          下手の横好きで未熟者ですが、読んで下さった方がほっとするようなものをメインに書いていきたいと思っています。                                                                                                 たまに気分が沈んでいる時は暗いものも書いたりして、読者の気分を落とす危険性も……汗                                                                                                        こちらでは短編しか投稿できないので、その他の長編などは、ノベリストに投稿しています。                                                http://novelist.jp/member.php?id29090

性別 女性
将来の夢 色んな想いを描きたい。そして、それを読んだ方が何かひとつでも心の糧になるものを得てもらえたら・・何よりの幸せです。ヽ∩_∩ノ
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告 白 (ひとり京都へ)

12/05/03 コンテスト(テーマ):第五回 時空モノガタリ文学賞【 京都 】 コメント:4件 ゆうか♪ 閲覧数:2127

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今を溯ること、既に30年以上も昔の事です。
私はまだ免許を取って2年位でしたが、軽自動車にルーフキャリアを着け、その上に自分の身の回りの物を詰めた衣装ケースを幾つも積んで、たったひとりで京都へ向かう日本海沿いの国道9号線を走っていました。
私にとっては初めての長距離の旅です。
朝早くに家を出て、京都の丹後半島にある伯母の家に着いたのは夕方でした。
その間、時々思い出したようにハンドルのそばに飾った拓明〔たくあき〕の写真に話しかけていました。泣きながら……。

当時の私には拓明という恋人がいて、彼とは結婚の約束をしていました。
ところが、彼が私より2歳年下だということ、中学しか出ていないこと、年老いた両親を持つ一人息子だということ等を理由に、私の父は私達の結婚に反対していました。

そんなある日のことです。
朝、見知らぬ人の突然の訪問を受けました。
玄関に出た私に、その人は言い辛そうに下を向いてこう言いました。
「拓明くんが、自殺しました」
私は一瞬何を言っているのだろうと思いました。
「どういうことですか?」
拓明とはその数日後にデートの約束をしていたし、その少し前には連絡も取り合っていましたから、いきなりそんなことを言われても俄かには信じられません。というより、私の脳みそはその言葉を受け付けようとしなかったのです。
「自殺って……で、彼の具合はどうなんですか?」
私の言葉に、相手はかなり戸惑っているようでした。
『自殺』=『死』だとは到底認められなかった私は、最初に「……自殺しました」という言葉を聞いた時点で、すでに脳みそはパニック状態になっていたのでしょう。
「ですから……自殺したんです。これから通夜と葬儀をあげますので、一緒に来てもらえますか?」
私の頭の中でその人の言葉がぐるぐる回り、ようやく私の脳みそが彼の『死』を理解したと同時に、私は自宅の玄関で、見知らぬ人の前でいきなり泣き叫んだのです。
まるで狂ったように……。

突然の激しい泣き声に、台所に居た父が玄関に飛んできました。
「どうした?!」
父は驚きと戸惑いで、オロオロと私と見知らぬ来客の顔を見比べていたようです。
「拓明が……拓明がぁーー!!」
私にはそれしか言葉が出ませんでした。
さすがに見かねた来客が、父に拓明が自殺したこと、これから通夜と葬儀をするので私に来て欲しいということを簡潔に説明したのです。
突然のことに驚きながらも事情を理解した父は、私に喪服代わりの黒い洋服を着させ、拓明の家に行くようにと促しました。

拓明の家に着いた時には、既に彼の遺体は棺桶の中に入れられており、彼のお母さんから最後の別れをするようにと言われました。
でも、別れるなんて出来ません。
「拓明! お願いだから帰ってきて!」
心の中でずっとそう叫んでいました。
私は、彼の霊魂がまだすぐそばに、部屋の中空にいると確信していました。
ですからそちらを見つめ、必死で祈っていたのです。
戻ってきて、戻ってきて……、行かないで、行かないで……と。
自宅を出る時からずっと泣き続けていた私は、かなりひどい顔をしていたことでしょう。
涙は拭いても拭いても途切れることなく、不思議なほどに流れ続けます。
しかし、どんなに願っても祈っても、私の望みが叶えられることはありませんでした。
一昼夜泣き明かした翌日、彼が火葬場でゆらゆらと煙になって空へ昇って行っても、それでも諦めることはできませんでした。

その後私が考えたことは一つだけ。
彼のそばに行きたい。どうしたら行けるの?
ようやく見つけた答えは、それは『私が死ぬこと』でした。

その夜、父が寝た後に、私は自室に水をたっぷり用意して、何本もの薬瓶をやっとの思いで空にして眠りました。
死ぬことへの躊躇いは一切ありませんでした。
彼に会うことだけを考えていましたから。

しかし残念ながら覚醒した時には、天国でも地獄でもなく、白い部屋の白いベッドの上に死に損ないの私がいたのでした。

私の異常に気付いた父により救急搬送された後、約一週間も眠り続けましたが、結局この世に引き戻されたのでした。
しかしまだ死への未練を断ち切れずにいた私は、次第に父を恨むようになりました。
私達の仲を反対し、私をこの世へ戻してしまった父を。
その想いが強くなり過ぎる前に、私は親元を離れて一人暮らしをしたいと父に相談しました。
すると父は、私の再度の自殺を心配し、私を伯母の元へ預けることを勝手に決めてしまったのです。
父の気持ちを汲んで、私は父の意に沿うように京都へとひとり旅立ったのです。
ハンドルのそばの拓明に話しかけながら……。


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このストーリーに関するコメント

12/05/05 かめかめ

これは…長い長い物語の序章ですね。
この先を長編として読めると嬉しいです

12/05/06 ゆうか♪

かめかめさん そのお言葉、とても嬉しいです。
この続きを一作ほど予定はしていますが、それでも2000字が限度なので、私の人生総てを描くことはできません。
いつか、他の場所で私の半生をお目にかけることもあるかも・・
その時はヨロシクぅ〜です。
コメントヾ(*´ー`*)ノ゛どうもありがとう♪ございました。

12/05/14 龍詠

初めてコメントします。
龍詠と申します。

シュミでは失礼いたしました。

京都のはこちらの続編とのことでしたので
こちらも読ませていただきました。

とても切なく苦しい愛ですね。
でもとても深く愛することができたことには感謝できると思います。
こんなに人を愛してみたいと思わせてくれる話だと思いました。

今後も作品を期待します。

12/05/16 ゆうか♪

龍詠さん ご丁寧なコメントありがとうございます。
私の暗いお話を前向きに捉えて下さって本当に嬉しいです。
今回の作品はノンフィクションですが、これからも色んなジャンルの創作をしたいと思っています。
龍詠さんの作品も楽しみにしてますね☆
どうぞ、これからも宜しくお願いいたします。m(_ _)m

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