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咲さん

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雨のち晴れ

12/05/01 コンテスト(テーマ):第四回 時空モノガタリ文学賞【 傘 】 コメント:1件  閲覧数:1814

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しとしと、しとしと。
雨の日が続くと憂鬱になる。

街には色とりどりの花が咲き乱れ、せわしなく動いている。
見下ろすにはいいと思う。
けれど見上げるのは。

「お待たせ―。帰ろ」
「うん」

1階に下り、傘を開いて外へ出る。

「止まないかなー」

そう言って見上げても見えるのは灰色の空と絶え間なく落ちてくる雨。
人ごみの中に入ると、そんな空さえ見ることが難しくなる。

周りを見れば、こんなに人がいるのに皆うつむいているように感じて。
楽しい話も雨音にかき消されて。

「はぁ」

気が付けば、ため息を漏らす。




ふと、光が当たった気がして立ち止まる。

見上げると灰色の空から一筋の光。
街を歩く人々がひとり、また一人と傘を閉じる。

ほどなくして雨は完全に止み、私も傘を閉じた。

周りを気にしてみれば皆前を向いていて。
他愛のないおしゃべりが聞こえてくる。

「電車、乗り遅れるよっ!」
「わっ。待って!」

慌てて私は走り出す。

手にはまだ水が滴る傘を持って。


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