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光石七さん

光石七(みついしなな)です。 子供の頃から空想(妄想?)が好きでした。 2013年から文章化を始めました。 自分では気付かないことも多いので、ダメ出しを頂けるとありがたいです。

性別 女性
将来の夢 可愛いおばあちゃん
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死者からのサプライズ

13/06/27 コンテスト(テーマ):第三十四回 時空モノガタリ文学賞【 探偵 】 コメント:17件 光石七 閲覧数:2357

時空モノガタリからの選評

最終選考

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 小堂探偵事務所に一人の女性が訪ねてきた。
「小堂君、久しぶり」
いきなり君付けで呼ばれ、小堂は当惑した。
「失礼ですが、どこかでお会いしましたか?」
カッコ悪いと思いながらも、小堂は聞き返さざるを得なかった。
「私です。Y高校で同じクラスだった、今川結衣です」
「えっ、今川さん?」
確かにそんな名前の女子が同級生にいたが、まるで印象が違う。
「わからなくて当然かも。昔は眼鏡かけて地味だったから……」
結衣がくすっと笑う。
「いや、気付かなくてごめん。すっかり見違えたよ。こんな美人を忘れるなんて、早くもボケたのかと焦った」
小堂は頭を掻いた。
「まだ二十代よ。小堂君は頭良かったけど、こういう仕事に就いたのね。――突然ごめんなさい。小堂君にお願いしたいことがあって……」
「僕に? 何の依頼?」
「……探偵って秘密厳守よね?」
「もちろん」
「これを見てほしいの」
結衣はバッグから白い封筒を取り出した。
「先月父が亡くなったの。遺品を整理してたらこれが出てきた。私宛てだったから、中身を読んだんだけど……」
小堂は封筒を受け取り、中から便箋を取り出した。

『結衣へ

 これをお前が読んでるということは、私はもうこの世にいないのだろう。
 できればお前の花嫁姿を見届けたかったが、叶わないかもしれない。
 万一のために書き残しておいたほうがいいだろうと思い、筆を執った。
 実はずっとお前に隠してきたことがある。
 この秘密はお前を驚かせ、傷つけるかもしれない。
 しかし、永遠に私一人の胸の内に秘めておくのは心苦しい。
 かといって、面と向かって話すのも躊躇われる。
 父一人子一人で何でも話してきた仲だが、これだけは言えなかった。
 だが、やはりお前には真実を伝えるべきだろう。

 お前に秘密にしていたこと、それは――私はたくさんの人を殺したということだ。
 普通の会社員の私が何故、と不思議に思うだろうが、ちゃんと証拠がある。
 その証拠を次の場所に隠してある。

  とんらとちに
  ちこなすちい
  きちのなこなかにみらなすち

 暗号にしたのは、みつけてほしい気持ちと見られるのが怖いという気持ちが入り混じっているからだ。
 お前が見たくないなら放っておいてもいい。
 みつけた場合もどうするかはお前の判断に任せる。
 勝手を言ってすまない。これで私の隠し事はなくなった。
 お前の幸せを心から祈っている』

 読み終えた小堂は結衣の顔を見た。
「昔からクイズやドッキリが大好きで、私の困った顔を見て喜んでたけど……。まさか最後にこんなとんでもない遺言を残してくれるなんて」
結衣はため息をついた。
「僕に暗号を解読してほしいってこと?」
「そう。読まなかったことにしようか、どうしようかってずいぶん悩んだけれど、気になって仕方なくて。でも、私には暗号の意味がわからなかった。内容が内容だけに友達や親戚には相談しづらいし、かといって見ず知らずの人にお願いするのもなんだか……。小堂君が探偵やってるって聞いて、あなたなら事情をわかって秘密も守ってくれるんじゃないかって思ったの」
小堂は結衣に一つ質問をした。
「証拠をみつけたら、今川さんはどうするつもり?」
「わからない……。みつけた時に考えるわ」
それもそうだろう。証拠を一緒に確認して必要ならアドバイスをしたほうがよさそうだ。小堂は結衣の依頼を引き受けた。
「じゃあ、さっそく君の家にお邪魔してもいいかな? 隠し場所を確かめたい」
「えっ、もうわかったの?」
二人は結衣の家に急いだ。


※※隠し場所は推理してみてください※※


 小堂が示した場所から出てきたのは、USBメモリだった。
「何のデータかしら……」
不安を抱きながら結衣がUSBメモリをパソコンに挿入した。『A』、『B』、『C』……と名付けられたワードの文書がいくつか入っている。とりあえず『A』を開いた。

『ある閑静な住宅街。町のリーダー的存在である馬場樺子は、ごみ収集所に黒いポリ袋が混ざっていることに気付いた。
「指定の袋以外出しちゃいけないのに」
文句を言いながらその袋を持ち上げようとしたが、かなり重い。
「え……?」
穴が開いていたのか、液体が垂れている。その色は赤い。
「何、これ……」
おそるおそるポリ袋の口を開く。
「きゃああぁぁっ!」
見えたのは人の腕、髪の毛……』

 このUSBメモリの意味を悟った小堂がにっこり笑う。
「ミステリー小説だね。多分、お父さんが書いたんだよ。確かに人をたくさん殺してる」
小堂の言葉を聞きながら結衣は涙ぐんでいた。
「もう……。休みの日も仕事してると思ったら……」
「小説書いてるって照れ臭くて言えなかったんだよ、きっと」
涙を拭きながら父の小説を読み続ける結衣に、小堂は優しく寄り添った。


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このストーリーに関するコメント

13/06/27 光石七

>凪沙薫さん
もったいないコメントありがとうございます。
当初書こうとしていた話からだいぶ変わってしまい、2000字の制限でさらに……
解読場面はおろか、伏線やヒントも見事に無くなり、このような形になりました(苦笑)
暗号はわかる人はすぐわかると思いますが、謎解き気分を少しでも味わっていただければうれしいです。

13/06/28 光石七

暗号を解くヒントです。


<同じ方法の暗号の例>
 ちに → 愛 

 かなんな → 梅雨

 もにみちしなのに → 水無月


携帯だとわかりづらいかもしれません。

13/06/28 しーぷ

謎解き大好きCPUです

Σ(゜Д゜)
いつの間にか、三石七さんの新しいのがある
面白かったですよ
きれいにまとめられていてスゴいです
CPUも、こういうふうにまとめられたらな…

そして謎解き
くそっ、ヒントが出る前に見つけたかった
携帯だとわかりづらいっていうか、わかんないと思いますよ
キーボードをそのままですね

13/06/28 しーぷ

謎解き大好きCPUです

Σ(゜Д゜)
いつの間にか、三石七さんの新しいのがある
面白かったですよ
きれいにまとめられていてスゴいです
CPUも、こういうふうにまとめられたらな…

そして謎解き
くそっ、ヒントが出る前に見つけたかった
携帯だとわかりづらいっていうか、わかんないと思いますよ
キーボードをそのままですね

13/06/28 しーぷ

すみません、なぜか2つ出てしまいました…
これだからスマフォは

13/06/29 光石七

>CPUさん
コメント&謎解きありがとうございます。
よかった、反応してくださる方がいた(苦笑)
お察しの通りの解読方法です。複雑な暗号は思いつかないし解けません(笑)
ヒントの出し方って難しいですね…… 今後こういうのは書かないと思いますが。
楽しんでいただけたのなら何よりです。

13/06/29 泡沫恋歌

光石七さま、拝読しました。

ストーリーが謎解きになってるのは素晴らしいですね。

私はこういう暗号とかトリックが苦手なので本格的な探偵小説が
書けないんですよ。

これは興味深い展開ですね。面白かったです!

13/06/30 光石七

>泡沫恋歌さん
読んで下さり、ありがとうございます。
本格的な推理物は書けませんが、それっぽく見せることはできたでしょうか(笑)
面白いと言っていただき、うれしいです。

13/06/30 草愛やし美

光石七さん、拝読しました。
情けないことに、下の方々のコメントを読んでも、さっぱり謎を解けません。こういうのが、苦手な私は、今回のテーマが発表された時、面食らってしまいました。
TVで見る漫画でも、名探偵コナンや金田一少年も、感心してホゥホゥと言いながら見ているだけです。謎解きしてしまうと、半減するので、お聞きすることも叶わず、いつの日か謎を解きたいなと思っています。
頑張ります(`0´)ノ オウ!

13/06/30 草愛やし美

( ̄0 ̄;アッ コメント書き終わった時点で、わかりました。自分の鈍さに苦笑してしまいました。お騒がせしました。一礼

13/07/02 光石七

一応暗号の答えと解説を……



暗号をひもt

 「しょさい
  あぶらえ
  がくぶちのうら」

となります。

13/07/02 光石七

一応暗号の答えと解説を……



暗号をひもt

 「しょさい
  あぶらえ
  がくぶちのうら」

となります。

13/07/02 光石七

あ、途中で投稿されてしまいました orz
続きの解説ですが…… まあ、解説というほどでもないのですが。

パソコンのキーボードがミソです。
ローマ字入力のつもりで打ったら、かな入力だった、的な。
暗号の通りキーボードのひらがなを押すと、次のようになります。

  syosai
aburae
gakubutinoura

ちなみに光石は、かな入力派の父の後にパソコンを使って、表示された文字列に驚いた経験が何度もあります(苦笑)

13/07/05 鹿児川 晴太朗

拝読いたしました。
これは素晴らしい推理小説だと思いました。
亡き父が大量殺人鬼かもしれない、という鮮烈な出だしで読者の興味を惹きつけた上で、結末を知れば微笑ましくもきちんと納得のできる温かい物語であり、そして推理小説にはつきものの謎解きもきちんと用意されているものの、それを解くことが出来なくても物語を楽しむことが出来る、と。これほどまでに読者にとって心地よい推理小説というものは、私は他に見たことがありません。重ねて言いますが本当に素晴らしいと思いました。
肝心の謎解きですが、すぐには解けなかったためにコメント欄のヒントを参照し、なんとか解くことができました。手助けがあったとはいえやはり謎が解ければ爽快な気持ちになりますね。物語と、謎解き、二通りの幸福を得ることができてほくほくします。

13/07/05 光石七

>鹿児川 晴太朗さん
あまりに過分なお言葉に、しばし放心状態でした(笑)
計算というよりは、字数制限でどこを削るか考えた結果なので……
こういう形式ってどうなんだろう、小説というよりクイズじゃないかな、などと多少不安ではありましたので、両面で楽しんでいただけたのは何よりの喜びです。
ありがとうございました!

13/07/12 そらの珊瑚

光石七さん、拝読しました。

きっとお父さんは天国でわくわくしながらことの成り行きを見守っていたでしょう。
えっまさか、お父さんが殺人? ぶっそうな予想が結末で引っくりがえって温かい気持ちになりました。

13/07/12 光石七

>そらの珊瑚さん
コメントありがとうございます。
よほど娘を困らせたり驚かせたりするのが好きなお父さんだったようで……(苦笑)
楽しんでいただけてよかったです。

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