1. トップページ
  2. 名探偵の宝探し

しーぷさん

性別 男性
将来の夢
座右の銘 疲れない程度にがんばる

投稿済みの作品

4

名探偵の宝探し

13/06/18 コンテスト(テーマ):第三十四回 時空モノガタリ文学賞【 探偵 】 コメント:7件 しーぷ 閲覧数:1676

この作品を評価する

「お前らには、この島に行って宝探しをしてもらいたい」
 私たちの正面。The社長というような風貌の男が地図に指を突き立てながらそう言った。その男の名は、猿山。背は低いが、横に広い。歳は、今年で54なのだそうだ。
 社長の正面に立つのは、私と、その他二名の男。三人とも探偵としての実績をかなりあげている。
「宝とは?」
 私の右隣にたつ男が言った。以下A、もう1人をBとしよう。
「この会社の最大のライバルは知ってるか?」
「ええ、まあ。犬養さんのとこの会社ですよね」
「そうだ、犬養とは幼馴染みでな、昔っから何かにつけて争ったよ。徒競走、テスト、それから好きな子の奪い合い。……そいつが昨日送ってきたんだ。手紙とこの地図を」
 社長は机の上に無造作に置かれた地図と茶封筒を顎で示した。
 そして、頭を抱えたなら。
「あれが世間に出回れば、この会社は終わりだ」
 私は封筒の中を覗き、中に入っていた1枚の紙を引き抜き一瞥した。
「なるほど」
 そこに書かれていたのは、社長への脅迫文。要約すると、一緒に送った地図の島に行き、宝探しをする。その宝は、猿山社長が絶対に世間の目に触れられたくない物。島では、数々の謎が待っている。探すのに誰を雇ってもいい。宝は箱に入っているが、開けずに持って帰ったり、処分しようとしても中に入っているものを世間にばらまく。制限時間は1日。今から数えると15時間ほど。こんなとこだろうか。
「頼む」
「ご依頼、承りました」


 島は謎だらけ。なぞなぞや暗号。それらでいっぱいだった。
 そして、私たちは「最後の問」と書かれた文書、それに鍵付きの宝箱をやっとの思いで手に入れた。鍵はパスワードで開くようになっている。もちろん、最後の問の答えがそのパスワードということだろう。
「なあ、早く読んでくれよ」
 Bが、文書を持つ私を急かした。
「えっと……猿山へ。最後の問。間合い×布÷韻÷灰×半径÷ノア=?……って書いてある」
「は?」
「何だよそれ、わけわかんね」
「この“?”に入る言葉を求めろってことじゃないの? そんで、それがパスワードになると」
「なるほど……」
 Aが顎に指をあてながら考えはじめた。
「かけるとか、割るとかがあるんだから数式ってこと?」
「まあ、そうだろうな……。でも、そこ以外は全部漢字……」
 そう言いながら、Aは懐から取り出した手帳に自分で言ったことを書きこんだ。
「×半径とかあるから公式っぽくね?」
「真面目に考えろよ」
「考えてるって。でもさ、めちゃむずじゃん」
 Bが、右手で頭をくしゃくしゃと掻いた。
「……」
 AとBは、最初こそ意見を出し合い答えに近づこうとしていたが、数分考えた後ついには黙りこんでしまった。
 私は思わずため息をついた。こんな簡単な問題も解けないなんて、と。
「あんたたち、ほんとにわからないの?」
「そういうお前はわかったっていうのかよ」
「もちろん。貸しなさい」
 私は、書き込みをしていた手帳を奪いペンを走らせた。
「答えは、“まぬけ”よ」
「は? ……どうして、そんな答えが出てくるんだ。それに、そもそもその答えは合ってるのか?」
「そんなの、入力してみればわかることでしょ」
 私は、足元にある箱に視線を向けながら言った。重厚感のような高級感のようなものが漂う箱。
「えっと……ま……ぬ……け、っと」
 箱に取り付けられたタッチパネルを操作して、私は文字をうちこんだ。
 すると、ガチャリと大きな音が鳴った。私は、後ろから覗き込むように見ていた2人に向けてドヤ顔をかましてから、重い蓋をゆっくりと押し上げる。
 中には、茶色い封筒が1つ。
「まだ続くとか言わないよな」
 Bがうんざりだという顔をした。
「ううん。これで終わりみたい」
 封筒の中には、数枚の写真。そこに写っていたのは小学生くらいの男の子。あまり顔が変わっていないのですぐに分かった。
「猿山社長だな……」
 Aが呆れた声をもらす。
 写真の中の猿山社長は、なんとも恥ずかしい格好で、なんとも恥ずかしいポーズをとっている。
 その写真に呆れていると、携帯が鳴った。
「どうだ?見つかったか?」
「ええ、ちょうど今」
「そうかそうか、よくやった。それを持ってすぐに帰ってきてくれ」
「ああ……はい」
「そうだ、謎を解くのが得意ってことは、謎をつくることもできるかな?“犬養のバカ”が答えになるような暗号を作ってはくれまいか。それで、あいつの恥ずかしい写真を隠してやるんだ」
 それを聞いた私は、思わず叫んでしまった。
「お前ら、いい年して何やってんだよ!」


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

13/06/19 鹿児川 晴太朗

拝読いたしました。
実際に読者が推理を楽しめるスタイルの小説でしたので、頭を捻って解の行程を探す楽しみがありました。謎を全てひらがなに直して、×の数字と÷の数字を分子と分母にわけて計算すると、確かに「まぬけ」が残りました。
最後まで読んで、社長同士の実にくだらない争いに主人公と同様の突っ込みを心の中でしてしまいました。とても面白かったです。

13/06/19 しーぷ

鹿児川 晴太朗さんへ
コメントありがとうございます
……ってか、謎解くの早すぎっすよ
ふっふっふっ。いつ、答えを書き込んでやろうか
とか思いながら投稿して、朝起きたらもう答えられてる……
スゴイです
結構、つくるのに苦労しました
半径は必ず使いたかったし
最後にもう一度だけ。感想、ありがとうございました
……くそう、さすがU0347RAの人だ。簡単だったかな……

13/06/20 光石七

よく暗号を思いつきましたね。
なんとか自分で解こうとしましたが、リタイアしてしまいました……
本当に、いい年して社長同士何をしてるんでしょう(笑)
楽しかったです。

13/06/20 yoshiki

読ませていただきました。
コメント欄で答えを見てしまいましたが、面白いと思いました。
暗号は探偵小説につきもので、ポーの黄金虫にはじまり、乱歩さんに多大な影響を与えました(二銭銅貨など)暗号を取り入れたこと自体が素晴らしいと思いますョ。

13/06/20 しーぷ

光石七さんへ
暗号はですね、裏でちまちま書いてるやつに使おうと考えているものを、少しだけ簡単にしまして、今作に盛り込みました
数学の勉強をしていた時に、なんとなく思いついたんですよ、これが
楽しんでいただけたようでなによりです
コメントありがとうございました

yoshikiさんへ
コメントありがとうございます
CPUは、暗号とか大好きなやつなんで、使ってみました
また面白いと言っていただけるような作品を目指して頑張ります

13/07/11 汐月夜空

暗号があると、探偵のお話って感じがして素敵ですね。
難易度も解きやすいくらいでちょうどいいと思います。最近の推理物は難しすぎて『そんなの解けないよ』っていうのも多いので笑
それにしても社長たちの憎めないやり取りが良かったです。こんな風なやり取りが出来る相手の居る人生を過ごしたいなあと思いました。

13/07/14 しーぷ

汐月夜空さんへ
ちょうどよかったですか、難易度
すぐに解かれてしまったので、簡単すぎたかなぁとか思ってたんですが
良かったです

たしかに、こんな相手がいるのっていいですよね
そんな出会いは一生の宝になりそうです

コメントありがとうございました^^

ログイン