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ポテトチップスさん

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曇り空

13/06/17 コンテスト(テーマ):第三十四回 時空モノガタリ文学賞【 探偵 】 コメント:3件 ポテトチップス 閲覧数:1469

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 サンドイッチをほお張っていると電話が鳴った。国武正志はコーヒーを口に含み胃に流しいれ慌てて電話に出た。
 「はい、シャーロック探偵事務所です」
 『坂下です。すみません社長、尾行に失敗してしまいました』
 「また? これで何度目だよ」
 『すみません。ターゲットが喫茶店に入ったのでしばらく出てこないだろうと思って、コンビニのトイレに入ったんです。どうやらその間にターゲットは店を出たようです』
 国武はため息を吐き電話を切った。シャーロック探偵事務所は、社長である国武が2年前に起こした探偵事務所で、従業員の坂下修也と二人で依頼者の仕事を解決していた。
 現在、坂下に任せている案件は、50代女性依頼者からの旦那の不倫の有無を調査する仕事だった。坂下は少しおっちょこちょいなところがあり、国武は坂下に対して探偵という仕事は向いていないだろうと感じていた。
 夕方頃、事務所のドアがノックされ悩みがありそうな顔をした一人の女性が部屋に入って来た。
 「いらっしゃいませ」椅子から立ち上がりながら国武は女性に言った。
 「調査をお願いしたいのですが」
 国武は女性を応接ソファーに案内し、自分も女性の正面ソファーに腰を下ろした。
 「どのようなご依頼でしょうか?」
 「はい、実はこれを主人のスーツのポケットから見つけまして……」そう言って、1枚の用紙を国武に手渡した。折り畳まれているA4サイズの用紙を広げてみると、か細い筆跡で『立花さん、ごめん。君の命を奪ってしまって……俺も責任をとって君の後を追うよ』と書かれていた。
 「これは、どういう意味なんでしょうか?」
 「私にも分かりません。ただ、手紙のとおりに主人は先月、自殺しました」女性は目に涙を浮かべながら鼻をすすった。
 「私は、主人が立花さんという方に何をしたのかが知りたいのです。もしかしたら主人は人殺しをしてしまったのではないかと心配で、この手紙を見つけてから眠れない夜が続いているんです」
 翌日の朝、国武は不倫の調査をしている坂下に、気を引き締めてターゲットを尾行するように注意をした。坂下が部屋を出て行くと、自分はさっそく昨日の依頼者の仕事に着手した。
 まず最初に調べることは立花という男であった。生きているのかそれとも亡くなっているのかはこの段階では分からないが、依頼者の亡くなった旦那と何らかの関わりがあった男であることだけが、いまの数少ない手がかりの一つだった。
 国武はまず、依頼者の亡くなった旦那の会社に電話を掛け、立花という男が在籍しているか確かめたが、そのような男は今も過去も在籍していたことはないと言われた。次に、依頼者から教えてもらっていた旦那の友人の携帯電話にも電話を掛けたが、立花という男は知らないときっぱりと言われた。
 今回の依頼案件は、少し大変になるぞと国武は焦った。それから1週間後、事態は好ましく動き始めた。なぜなら、浮気調査を終えた坂下に図書館に行かせ、過去1年間の新聞記事から、立花という苗字の男の記事が書かれていないか調査してくるよう頼んでいた。すると、つい先ほど坂下から電話が掛かってきたのだ。
 「はい、シャーロック探偵事務所です」
 『社長、記事発見しました!』
 「どんな内容の記事だ?」
 『はい、東京都品川区に住む立花明泰39歳が、新鋼鉄興業に絡むインサイダー取引で5月13日に逮捕されています。さらに5月28日付けの新聞で立花明泰が留置所で自殺しています』
 そこからの調査の展開はあっという間にことが進んだ。まず依頼者の旦那と立花明泰は行き付けのスナックが同じで、どうやらそこで仲がよくなったらしかった。そして5月の初旬、スナックで立花明泰は依頼者の旦那に新鋼鉄興業の株が急上昇するから、今のうちに大量に買えば儲かると洩らしていたそうだ。そのことはスナックのママの話から裏づけを国武は取った。
 実際に新鋼鉄興業の株は急上昇し立花は莫大な金を手に入れた。そして依頼者の旦那が証券取引等監視委員会に通報したのだ。
 先ほど国武は、依頼者に調査が解決しましたのでお越しくださいと連絡を入れていた。きっと依頼者に旦那様は人を殺してはいませんと言ったところで、間接的に命を奪ってしまっている事実はくつがえされない事実だった。探偵事務所に調査を依頼する依頼者の余程は、調査結果を聞いて悲しんだり、泣いたり、怒りをあらわにすることが多い。
 国武は今回も言いづらい調査結果だなと鼻からため息を吐いた。隣で坂下がのん気にアイスを食べていた。

終わり


 


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このストーリーに関するコメント

13/06/17 かめかめ

なぜ探偵さんは立花さんを男性と断定したのですか?
遺言だけでは女性の可能性も見受けられますが。

13/06/20 光石七

拝読しました。
好ましい結果でないと、依頼者に伝えづらいですね。
私も最初、立花さんは女性かなと思っていました。

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