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どるたけちゃんさん

ただ、文章を書くのが好きなだけ。 下手の横好きってやつですかね。

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時候喫茶

13/06/13 コンテスト(テーマ):第三十三回 時空モノガタリ文学賞【 迷う人 】 コメント:1件 どるたけちゃん 閲覧数:1201

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・・・


雪が降ってる。
もうそんな時期か・・・。

語るは一人の青年、
旅の途中で迷ったらしい。

それにしても手が冷たい。

暖をとりたいのだろう、周りをキョロキョロしている。

・・・!!

どうやら建物を見つけたらしい。
遠目から見てもかなりボロい建物だ。

看板にはコーヒーのマークと文字が書いてある

「時候喫茶店」

どうやら喫茶店のようだ。

青年はドアを開ける。
店内はとても薄暗く天井扇が回る毎に軋む音が響く。

キィィ バンッ。

ドアがまるで漫画のような音を出しながら閉まった。

青年が口を開く

「誰かいますかー?」
.
.
.

ガタッ ガタガタガタッ ガララ


5秒ほど待つと、声じゃない返答が返ってきた。
よく目を凝らすと、すこし小太りで50歳くらいのおじさんがカウンター席のようなところでこちらを見ている。

青年はおそるおそる問う

「あ、あの ここは喫茶店ですよね?」


「・・・」 コクッ

どうやらこの人間以外他に人はいない。店主のようだ。
とろんとした目の店主は何も喋らず、ただ青年を見つめたまま頷いた。
青年の顔は不気味そうな顔から苦笑いに変わった。

「その、えっと、メニューとかは・・・」

ガサッ ガサガサッ パンッ

店主はカウンターの机の上にメニューを投げた。
まるで愛想の「あ」の字もない。

青年は恐る恐るメニューに手を伸ばした。
かなり紙もボロボロになっており、表紙の「時候喫茶」という文字は掠れてほぼ読めなくなっている。
メニューを開くと同時に青年の目は点になった。

メニューの左上に手書きで コーヒー と書いてある以外は何も書いていない。

(・・・・・)

青年は気まずそうに手を上げた。

「コ・・・コーヒー・・・一つ・・・」

「・・・・・・・・」

店主は注文を聞いてから10秒ほど静止したのちにコーヒーを作りだした。

青年は頭を抱える。

はあ・・・変なところ入っちゃったな・・・、
なんかすごい不安だ、毒とか・・・ないよな・・・

青年は疑いながら頭をあげ、店主のコーヒーを作る作業をじっと見つめる。
その手つきはまるで数十年間も同じことをしているかのように
流れるような手つきだった。

店主のほうをじーっと見ていると急にこちらを見た。
目が合った。

お互い 10秒ほど見つめ合ったあと、青年は ハッ と我に返り目をそらした。

「あの」

店主が口を開いた。

「は・・・はひ!?」

青年はあまりの出来事に返事が裏返ってしまった。
青年はあまりの恥ずかしさに俯いた。

それを見た店主は今までしなかったような微笑を浮かべ青年に聞いた。

「私の顔に何かついていますか?」

青年は俯いたまま 答えた。

「い・・・いえ、あまりにも作る過程が見事だったのでつい・・・」

店主はすこし頭を下げつつ言う

「それはそれは。 有難うございます。」

ちょっとした会話が 青年と店主の間に交わされた。
青年はすこしだけ嬉しかった。

・・・・トン

カウンターのテーブルの上に湯気のたったコーヒーが置かれた。
隣にはミルクと砂糖、コーヒースプーンらしきものがある。

「あ・・・有難うございます。」

「・・・・・」

店主はまた、無口になった。

青年はそっと砂糖とミルクをとり、コーヒーの中にいれる。
そして、極力音を出さないようスプーンでかき混ぜた。

いただきます・・・

少年はコーヒーを口に含み、ゆっくりと飲み込んだ。

まるで、全身の疲れや寒気が消えてしまうような美味しさだった。
ちょうどいい苦さが気をハッとさせる。

「すごく美味しい・・・です!」

青年は思わず 口に出してしまった。

店主はただ、後片付けをしていた。
こちらを見ることもなく 無口で ただひたすらに。

青年はそんなこともお構いなく コーヒーを飲み干した。

「ごちそうさまでした・・・。
あの、えっと、お金は・・・」

こちらをじっと見ていた店主が口を開く

「・・・初回・・・・・・・・」

青年は聞き取れず、聞き直した。


「初回だから・・・別にいいですよ。
また・・・来て下さい。」

青年の顔からは笑みがこぼれた。

「ありがとうございました!
また、いつか来ます!」

青年は笑みを浮かべたまま、ドアを開けた。
もう、迷うことはないだろう。


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このストーリーに関するコメント

13/06/14 どるたけちゃん

>>凪沙薫 様
コメント有難うございます。
読んでくださって有難うございます。

本当は"変わる季節"と"変わらない不思議な喫茶店"というのが当初の考えだったのですが、テーマに合わせてすこし変えてみました。

そうですね・・・。改行については難しいと思いました。
私の中では、一応お話の区切りごとに改行してる つもり なのですが
なにせ文章力がないため、本当にちゃっちいものになってしまいました。(笑)

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