1. トップページ
  2. 一通の不幸の手紙

光石七さん

光石七(みついしなな)です。 子供の頃から空想(妄想?)が好きでした。 2013年から文章化を始めました。 自分では気付かないことも多いので、ダメ出しを頂けるとありがたいです。

性別 女性
将来の夢 可愛いおばあちゃん
座右の銘

投稿済みの作品

5

一通の不幸の手紙

13/04/11 コンテスト(テーマ):第二十九回 時空モノガタリ文学賞【 手紙 】 コメント:8件 光石七 閲覧数:2066

時空モノガタリからの選評

最終選考

この作品を評価する

 やっくんに一通の手紙が届きました。やっくんはあまり手紙をもらったことがないので、とても喜びました。ところが、封を開けてみると、便箋にはこんなことが書いてありました。

『これは、不幸の手紙です。
 この手紙を3人に送らないと、私に災いが訪れるそうですので、申し訳ありませんがあなたに送らせていただきました。
 3日以内に、同じ文面で3人に同様の手紙をお送り下さい。
 そうしなければ、あなたには、想像を絶する不幸が訪れることになります。
 昭和61年3月に、この手紙を止めた茨城県の小崎ルミさんが、原因不明の死を遂げました。
 他にも同様の不幸は、多々生じています。
 私はあなたに、彼女と同じような不幸を体験してほしくありません。
 ですから、ぜひとも、この手紙を止めないでいただきたいとおもいます。
 最後になりますが、あなたに不幸が訪れないことを、心より、お祈り申し上げます』

差出人はわかりません。昔流行った不幸の手紙です。でも、やっくんはあまり気にしませんでした。なぜなら、やっくんは疫病神だからです。人間を不幸にしてこそ疫病神。不幸が商売道具ですから、不幸になると脅されても何ともありませんでした。一応神様ですから、死ぬこともありません。やっくんは手紙を無視することにしました。
 そろそろ働こうと、やっくんは不幸にする人間を探し始めました。若い会社員の男をみつけ、彼をターゲットに決めました。まず、挨拶代わりに道でつまずかせてけがを負わせました。
「……いってぇ」
男は顔をしかめます。膝から血が出ています。すると、近くにいた若い女性が彼に近づきました。
「大丈夫ですか? これで血を拭いてください」
きれいなハンカチを差し出します。
「ありがとうございます」
ハンカチを受け取ろうとした男の動きが一瞬止まりました。
(タイプ……!)
顔が真っ赤になります。
「大丈夫ですか? 立てますか?」
女性は心配そうです。
「い、いえ。かすり傷ですから」
男はカッコつけて立ち上がりました。その日、男は一日中上機嫌でした。
 やっくんは次に財布を落とさせました。気付いた男はおろおろしています。
「銀行で下ろしたばかりだったのに……」
なんとかみつけ出そうと家中を探し回ります。その様子が滑稽で、やっくんは笑いました。ところが、引き出しを漁っていた男は、宝くじをみつけたのです。
「すっかりわすれてたなあ……。もう当選番号は発表されたんだっけ」
新聞をひっくり返して調べ出しました。
「え……? 前後賞!?」
男は喜んで換金に出かけました。
 すべてがこんな調子なのです
「なんか最近、俺ツイてるかも」
男はにこにこしています。やっくんは不幸にしようとしているのに、なぜかそれは男に福をもたらすのです。やっくんは別な人間に憑くことにしました。
 ところが、それでも結果は同じでした。やっくんが不幸にしようと働きかければ、それがすべてラッキーなことにつながるのです。やっくんはようやくあの不幸の手紙のせいだということに気付きました。疫病神にとっての最大の不幸は、不幸にしようとした人間が幸福になること。3人に手紙を出そうにも、もう3日はとっくに過ぎています。
「疫病神が不幸になるなんて……」
やっくんは頭を抱えてしまいました。


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

13/04/11 yoshiki

読ませていただきました。

これは設定がとても面白い。人間にとっては目出度し目出度しですね。

疫病神がもし福の神に手紙を出したら、どうなるのかなあ? とか想像はふくらみます。

13/04/11 光石七

>yoshikiさん

コメントありがとうございます。
不幸の手紙を使ったちょっと皮肉な話を書きたくて、こんなのができました(笑)
神様同士が出し合ったら… 私では想像しきれません

13/04/12 鹿児川 晴太朗

拝読いたしました。

疫病神と不幸の手紙の目新しい組み合わせに、どんな展開になるのだろうかと期待しながら読み進め、クスクスと笑わせていただきました。
この後、疫病神は割り切って幸福をもたらす神となるのか、それとも不貞腐れて何もしなくなってしまうのか、読後に想像の余地が沢山あるのも良かったです。

13/04/12 光石七

>鹿児川 晴太朗さん

ありがとうございます。
やっくんがこれからどうするのか、私も楽しみです。
楽しんでいただけたようで、うれしいです。

13/04/13 草愛やし美

光石七さん、拝読しました。

面白い発想ですね、疫病神にとって、不幸は幸せ、なるほど、そうなりますね。でも、それって滑稽です。その男性は、幸運の神になって、得しましたね。
やっくん、悩まないで、ぜひ、私のところに来て取り憑いてください、宝くじ買ってお待ちしています、歓待しますよ。(笑)

13/04/13 光石七

>草藍さん

コメントありがとうございます。
ラッキーの前に痛い目にあったり嫌な思いをしたりすることを了承されるなら、やっくんに手紙を出してみてください(笑)
気に入っていただけてよかったです。

13/04/15 光石七

>メガネさん

ありがとうございます。
新しい解釈ですね。
疫病神って何人くらいいるんでしょう?

ログイン