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gooddog3600さん

がんばって小説を書いていきたいと思います。  ※ただし、あくまでも「短編」です!!

性別 男性
将来の夢 マグロの養殖
座右の銘 みんな自分と同じくらいしんどい、はず。

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ペイル・マン

13/03/24 コンテスト(テーマ):第四回 【 自由投稿スペース 】 コメント:0件 gooddog3600 閲覧数:1367

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 僕が、「最狂の恐怖」を味わうことになったのは、地面に落ち続ける水がうなり声をあげている、雨の日のことだった。
 何気なく外で雨が降っているとしか思っていなくて、何気なく、青色が少しはげて白みがかったソファに腰をかけて、テレビを見ていた。少し肌寒くて、唇が青紫がかっていた。
 今、家にいるのは自分ひとりだ。まだ大量に残っている宿題なんて、まるでやる気が起こらない。しかし、いずれかはやらなければならない。ストレスだけが、順調に溜まっていく。そんな気持ちを心の片隅に置きながら、テレビを見ている自分はあまり好きではない。
 そんなことを思い続けているうちに、もう一時間が経ってしまった。
 「はぁ。いったい、生きてる意味ってなんなんだ?」
と、つぶやくと、なにやらテレビのチャンネルがいきなり変わってしまった。そのとき僕はふと、うっかり足でリモコンを踏んでしまったのだと、勝手に悟ってしまった。だが、実際は違っていた。そう気付くのに僕は、軽く1分使ってしまった。
 テレビ画面を覗くと、画面右上に、「緊急速報! JAXAとの連絡が途切れる」 と、青い背景に白い文字で表示されていた。それを見て自分は、何の関心も無かった。ただただ、チャンネルを変えたいが為に、足元のリモコンを探していた。
 しかし、リモコンは足元には無く、机の上に置いてあった。なら、なぜチャンネルが変わったのか。そんな単純な疑問は、そのときの僕には一寸も出てこなかった。それほど、チャンネルを変えたかったのだった。
 見つけたリモコンをすばやく手に取り、先ほど見ていたチャンネルの番号を入力してみたが、画面に映っているチャンネルは変わらなかった。もちろん、他の番号を押してもだ。こういうことは最近、頻繁にあることだ。何か特別な号外なのだろう。
 そして、何気なくその放送を聞き流していると、その内容は一瞬にして、自身の体中を、まるで光よりも速い電流のように走り、刺激し、手に多量の汗を握らせた。その内容とは、「JAXAの国際宇宙ステーションに食料を運ぶため、打ち上げられた無人宇宙船がステーション到着後、急に経路を折り返し、東京に落下した」 というものだった。
 東京は、僕が住んでいる町の隣の都市だった。続けてニュースは、「その宇宙船から、体長3メートル程の青白い肌をした人型の異形が出てきた。そして、緊急で駆けつけた自衛隊が射殺した」 と、報道した。
 その瞬間、いきなりテレビの電源が落ちた。そして、画面には光が反射して、自分の姿が映っていた。それと同時に、僕の後ろに大きな青白い人が、自分を包み込むかのように映っていた。



 目が覚めると、手は鎖で止められていて、足には枷がはめられていた。
自分が今どこにいるのか、あの後、いったい何が起こったのか、全くわからない。視界がぼうっとかすんでいて、耳も若干痛いような、痒いような感じがして、気分はあまり良くはなかった。
 やっとこさ、視界がくっきりしてきた。そのとき、辺りに強烈な異臭が漂っていることに気付いた。
 「くっ、おえぇ。」
 腐った肉の臭いと、ひどく錆びた鉄のような血の悪臭が、鼻をつんざいた。
 辺りを見回したところ、鉄格子に囲まれた牢獄のような雰囲気だった。
 鉄格子の向こう側には、なにやら茶色く、黒ずんだ赤のようなものが山のように積んであった。少しだけ、青白くもあった。それが人間の死体だと気付くまで、そう長くはなかった。どうやら僕は、最終的にああなると、何回も何回も思ってしまった。いったい、何が起こったのか。そう考えた瞬間だった。
 遠くから、足にぬれ雑巾をつけて歩くかのような音が近づいてきた。
 ベチャ・・ベチャ・・・・
 すると、なぜか自然に体がものすごい速さで震えだした。こんな感覚は、生まれて一回も味わったことない。心の中と、頭の中は、ただ「怖い」という言葉だけが大きくなり始めてゆく。
 牢の中からでも、巨人が通りかかるのは、確かに分かった。あふれ出る涙、震え続ける全身、助けを求める微かな声。こんな自分は初めてだ。
 その巨人が牢の前を横切り、遠ざかってゆくのが音を通して分かると、全身の力は一瞬にして抜けた。もうすでに体中は痛み、きしんでいた。僕は上を向き、ただ呼吸をして息を整えるしかなかった。
 それから少しして、ここの牢屋は横にずらずらと、人が一人やっと寝ることができるぐらいの大きさの部屋が、並んでいることが分かった。そして、隣の牢に入っている人間と会話できる小窓を見つけた。
 すかさず、その窓越しに隣の人間を覗き込んだ。そこには、見覚えのある顔があった。どうやら、うずくまっていて、寝込んでいるようだった。その顔とは、最近知り合った友達であった。
 「おい、お前だろ!? この前、一緒に話した・・・」
すると、蚊が飛ぶような声で、
 「何?」
と、聞き返した。その声は、もう当時のアイツではなかった。死にかけた、いや、もう死んでいるかのような返事は、僕の心をズタズタにした。
 よく顔を見ると、青白く、不気味な紫色の血管がハッキリと、通っていた。それきり、もう動かなくなってしまった。
 


 気が付くと、もう何時間牢に入っているのか分からなくなってしまっていた。早く、早く、家に帰りたい。そう思っていたが、そんな思いが無駄なことぐらい、馬鹿な自分でも分かっている。
 視界はひどくうすれてしまって、何も見えなくなっていた。手を見ると、青白くなっていた。爪はぼろぼろでやせ細ってきて、足は、もう立てないくらい弱っていた。
 「俺は、こんなトコで死ぬのか?」
そうつぶやいた。
 その小さい小さい一言が、人生で最後に発する言葉になることは、よく分かっていた。


 


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