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yoshikiさん

面白い作品を知り、自分でも書いて見たくなって何年も経ちました。よろしくお願いします。 2010年 小説現代S&Sコーナーに初めて送った作品が掲載されました。作品名『幽霊の見える眼鏡』 とにかく面白いものが書いていけるといいなと思っています。 イラストはエアブラシと面相筆で昔描いたものです。

性別 男性
将来の夢 楽隠居
座右の銘 不可思議はつねに美しい、どのような不可思議も美しい、それどころか不可思議のほかに美しいものはない。アンドレブルトン

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シマウマとライオン

13/02/08 コンテスト(テーマ):第一回 【 自由投稿スペース 】 コメント:4件 yoshiki 閲覧数:2260

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 ――あるところに動物の国があった。雄大な自然がどこまでも広がり、緑豊かなその大地は誰にも荒らされる事などない美しい世界だ。我々から見たら異次元の世界だと考えてほしい。 そこに住む彼らは確かに動物であったが、人間のように考えることが出来たのだ。
 その世界のサバンナにとても足の速いシマウマがいて、そのシマウマは子供のころから走るのでは、誰にも負けたことがなかった。彼は先天的に足が速いだけでなく、いつも走って脚を鍛えていた。そう、まるでオリンピックの選手のように。
 それに彼は頭もよく、進化論が好きで自然淘汰という言葉に傾倒していた。優れたものが生き残り子孫を残す。適者生存こそ自然の摂理である。
 彼は本気でそう考えていた。どういうことかというとサバンナにはライオンがいて仲間がよく犠牲になるのだった。
 足の遅いものは喰われても仕方がない。足の速い者のみがライオンから逃げおおせ、生き残り子孫を残す。彼は非情にこう考えていた。だから彼はまるで時には気でも違ったかと思える程走った。走って走って、走りぬいて、強靭な脚を自分で確かめられずにはいられなかったのだ。仲間のシマウマは彼をみとめ、彼の俊足を祝福さえしていた。
 彼が群れの先頭に立って走ると、早すぎて皆は息切れし、誰もついて行かれなくなったほどだ。彼はそれを見て高らかに笑った。
 ある時、ついにライオン達がシマウマの群れに近づいてきた。随分と獲物にありつけなかったらしく、腹を減らし凶暴な目つきをしている。でも彼には自信があった。絶対にライオンには捕まらない自信である。その為にこそ彼は懸命に脚を鍛えてきたのだから。
 シマウマの群れを見て、しばらく様子を窺がっていたライオン達だったが、いきなりその中の一頭が群れの中に突進してきた。仲間は恐怖に駆られ死に物狂いで四方に散って行った。
 彼は余裕でそれを観察していた。そして隙を見て自慢の俊足でそこから一気に駆け出したのだ。しかし思わぬことが起こった。予想もしないことだ。
 そのライオンは他のシマウマには目もくれず、事もあろうに彼だけを狙って襲ってきたのである。なんと簡単に倒せるシマウマが目の前にいるのに見向きもしなかった。さすがの彼もパニクってしまった。これにはさすがの彼も慌てふためいた。
 さらにライオンは信じられないほどの瞬発力と持久力をみせて、逃げ惑う彼の首筋に牙を突き立てたのだ。彼の意識が遠のいた。まさに白日夢を見るようであった。
 彼を倒したライオンに仲間がこんなことを訊いた。
「しかし、なんでまた、あんな足の速い奴を狙ったんだい?」
 するとそのライオンは一瞬きりりとした顔をしてこう言い捨てた。
「――俺は奴に勝つために奴の十倍走りこんでいたんだ」
「そ、そうなのか。――凄いな。おまえは」
 しげしげと顔を見て仲間がそう言うと、そのライオンは続けて言った。
「そうとも。ああいう奴に子孫を残されたら、俺の子供たちが苦労するに決まっているからな」
 彼は勝利の雄叫びをあげ、家族のもとに獲物のシマウマを咥えていった。
                 

                      了


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このストーリーに関するコメント

13/02/09 泡沫恋歌

yoshiki 様。

拝読しました。

なるほど、シマウマもライオンも努力家だったんですね。
もっとも努力する種が「自然淘汰」されずに生き残れるという原理か。

物書きも同じ、日々、努力しないと・・・ね(〃´・ω・`)ゞエヘヘ

13/02/10 yoshiki

泡沫恋歌さん。コメントありがとうございました。

まえに進化論読んでて考えたお話ですが、実際に種を残すのは単に「運のいいもの」らしいですよ(*^。^*)

13/02/13 草愛やし美

yoshikiさん、拝読しました。

ライオン賢いですね、しかも大変な努力家、きっと彼は、百獣の王の頂点に立つことでしょうね。

13/02/14 yoshiki

草藍さん。コメントありがとうございます。

ライオンが子孫のことまで考えていたとしたら、心憎いですね(*^。^*)

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