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横井雀さん

趣味でぼちぼち小説書いてます。主に短編〜中編を書きます。 長めのを書きたい……

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あとがき 告白

18/07/04 コンテスト(テーマ):第158回 時空モノガタリ文学賞 【 あとがき 】 コメント:0件 横井雀 閲覧数:67

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 あとがき

 始めまして、作者の南智子です。本編の方はお楽しみいただけましただしょうか。
 突然ですが、私はこのあとがきにてある一つの告白をします。
 実はこの物語は私だけの作品ではありません。盗作か? ある意味そうとも言えるでしょう。ならだれの作品だ? これは私の友人の作品でもあるのです。
 その友人は私の大学時代からの男性の友人です。大学時代の創作系サークルでの同期でした。しかし、その関係は奇妙なものでした。
 ある日部室で「取り換え子の伝承」を話題に取り上げた時のことです。この「取り換え子の伝承」というのはヨーロッパの伝承で、妖精などが人間の子供を他の妖精や、木の枝に取り換えてしまうという伝承です。
 どちらが言い始めたのか覚えていません。適当に話し合っているうちに、
「こんな風にさ、お互いのプロットを交換して書いてみないか?」
 我々はその時以降お互いのプロットを取り換えて書き続けました。サークルでの会誌はもちろん、その時二人とも行っていたネット上への小説投稿もです。そのためここ数年間、数十作品、私は自分のプロットをそのまま作品にしたことはありません。
 最初はただ面白い企画で終わっていました。私は――そしておそらく彼も、他人の考えた設定を拝借して書くということに驚きと新鮮さを感じていました。その後サークル内でも同じようなことが流行しました。
 そしてその習慣は卒業後も続きました。お互い執筆をつづけ、プロットの交換を行い続けました。正直長期間続けてきてもうやめたいという気持ちもありました。というもの交換することで、どこか他人のアイデアを盗んでいるようなも何とも言えないやもやとした気持ちが片隅にできていたのです。まあでもいつか飽きた時にどちらともなしに辞めるだろう。そう思い続けて数年――問題になり始めたのはそこからです。
 私は皮肉にも交換したとある作品――この作品のことですが――で、コンテストを受賞し、日の目を見ることとなってしまいました。しかし、同じコンテストに応募した彼の作品は闇の中です。
 その時の私に嬉しさはありません。取り返しのつかないことになってしまった、という後悔の気持ちでいっぱいでした。自らで作成していればこの栄光は彼のものでした。そして私は見向きもされなかったでしょう。まさしく「取り換え子の伝承」のように取り換えることで、手にすることができなかったものを、私が手にしてしまったのです。
 そして、私はこの制度の廃止を訴えました。しかし、彼は賛同しません。曰く、
「君の文章がすばらしいからだよ。僕が同じものを書いたって、こうはいかない」
 何度言っても聞き入れてくれません。なら、せめて原作者の表記を入れさせてほしい、ともお願いしました。しかし、彼は首を縦には振りません。
 手放し、他人が完成させたものはもはや自分のものではない――それが彼の考えなのでしょう。だからたとえ元々は自分が作ったものであっても、それはもはや自分とは関係がない。だからこのような態度を取り続けていると思います。
 その後、出版のお話をいただいたときにも相談しました。しかし結果は同じでした。そのため出版することそれ自体にも悩みました。しかし、コンテストの際に応援してくださった皆様や、私の作品を読んでくださっている方々に真実をお伝えするチャンスと考え、このように運んだ次第です。
 もう二度とこのようなことが起こらないよう、私は執筆活動を休止しようと考えております。今後も彼に私の考えを理解してもらうようはたらきかけ、理解していただいたのちにまた執筆活動を再開したいと思っております。ご理解の方よろしくお願いしたします。
 ではこれにて締めさせていただきます。この告白を許可してくださった出版社の方々、担当者様、ありがとうございました。そしてこの告白に付き合ってくださった読者の方々にもお礼を申し上げます。


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