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とむなおさん

とむなお――です。 ちょっと奇妙な小説を書きます。どうぞ宜しく!

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しだれ桜の幻想

18/06/28 コンテスト(テーマ):第158回 時空モノガタリ文学賞 【 あとがき 】 コメント:0件 とむなお 閲覧数:76

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『……では、いつまでもお元気で。失礼いたします。敬具』

 美幸は、そう手紙を書き終えると、さっそく封筒に入れて、駅前の郵便局にあるポストへ向かった。
 その郵便局の近くには、中央児童公園があり、とても大きな、しだれ桜の木があった。
 その児童公園は川で囲まれていた。
 美幸は、その、しだれ桜が見たくなり、その児童公園に入っていった。
 きょうは快晴だからだろう、他にも家族連れ等が何組かきていた。
 美幸はベンチに座ると、うっとりと、しだれ桜を見た。
 その時に、ちょっとした風が吹いてきたので、美幸は手にしていた手紙を目隠しに使った。
 そして手紙を目から離した時、美幸は
 ――えっ?――
 と思った。
 しだれ桜の花びらが散る中、その下に、ちょっとシャレた屋台が出ていたのだ。
『手作り桜もち』
 の看板が目を引くその屋台に、美幸は呆然としながら立ち上がり、近付いていった。
 中で、桜もちを作っているのは、可愛いおばあさんだった。
 しかし良く見ると、値札がどこにも無かった。
「すいません……」
「はい、いらっしゃいませ」
「あの……一つ、いくらですか?」
「これは売り物じゃないので、好きなのを取って食べてくださいな」
 美幸は、適当に一個、手にすると、
「おばあさん、ありがとう」
 ベンチに戻った美幸が振り向くと、その屋台は消えていた。
 呆然としながら美幸が、その手を見ると、ちゃんと桜もちがあった。
 美幸は、その桜もちを食べてみた。
 とても美味しかった。
 ――幸せ……――
 と思った。

 美幸はポストに向かわずに自宅に帰ると、その手紙を封筒から取り出した。
 そして、その「あとがき」にそのことを書いてから、新しい封筒に入れ直し、再度ポストに向かった。
 向かいながら彼女は、
 ――あの方、どう思うかしら……――
 と照れ笑いを浮かべていた。


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